Vol.1 ― JYJ ジェジュン「全てを捨てて、やっと“キム・ギョンタク”を得た」

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写真=C-JeSエンターテインメント
「ドラマが終わったことが信じられません。もう少し撮影しなければと思うのに、終わってしまいました」

伝統衣装を脱いで会った、MBC「Dr.JIN」のJYJ ジェジュンは、まだキム・ギョンタクの名残が残っているせいか、両目を大きく見開いた。彼は、インタビュー前日まで撮影を続けていたと話した。ドラマで誰よりも悲劇的な人生を生きたキム・ギョンタクを演じた感想を、ジェジュンは「終わってしまった」という言葉で整理した。数ヶ月の道のりが、あっという間に終わってしまったということだった。

「アイドル」出身の俳優が時代劇に挑戦するとしたとき、人々の意見は二つに分かれていたと思う。彼の新しい挑戦に声援を送る人と、何ができるのかと非難する人だ。しかし、最終回だけを残している現時点で、彼に「合格点」を与えることに異議を唱える人は少ないだろう。21話で見せた彼の嗚咽の演技が話題になったのは、この青年がドラマで自分の役割をしっかり果たしたからではないだろうか。

そこで、「ギョンタクはこれからも残り続ける」というジェジュンの言葉が更にしっくり来た。「自分にできることをやり尽くした者」のみが得られる、ある種の満足感と名残惜しさが混じった彼の表情が、全てを物語っていたからだ。

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キム・ギョンタク……欲がなく、ただ「自分の人」だけを守ろうとした人物

―今まで出演したドラマや映画は現代劇だったが、「Dr.JIN」は初めて挑戦する時代劇だ。“初”への負担はなかったのか?

ジェジュン:実は緊張した。始まる前から怖かったし、上手く演じる自信もなかった。「上手くできる」と自負することもできなかった。上手くできなかった場合のことを考えて怯えていたと思う。幸い無事に終わったけど(笑)

―ドラマ序盤は、「声に力を入れすぎだ」との指摘もあった。

ジェジュン:従事管だからだった。最初に時代劇での台詞はどのようなトーンが良いのか、どう行動すれば良いのかが分からなかった。そこで「一応従事官だから力とカリスマが必要だ」と聞いて、そればかり考えていたと思う。つまり、時代劇については全く白紙の状態だったので、白紙をその一言で埋めてしまったことになる。しかし、モニタリングしてみると、自分でも感じることがあった。だからそういう部分を除いて、他のものを入れてみようと思った。

―それでは、キャラクターについてもう少し詳しく話してみよう。劇中のキム・ギョンタクは結局何も得ることのできない人物になった。演じながらもこのような部分の感情表現が大変だったと思うが。

ジェジュン:最初は、キム・ギョンタクは涙を流さないキャラクターで、冷たい感じがあった。しかし、後半に行くほど涙を流すシーンが多くて、撮影が大変だった(笑) 他の事より(体力的に)疲れるので。嗚咽シーンはエネルギー消費も大きかった。特に21話は、矢に打たれた状態の演技を続ける状況だったが、台詞も長く、演技もしなければいけないのに、痛がりながらも演技を続けるのが大変だった。

―ドラマに登場する他の人物に比べ、キム・ギョンタクの話は少ない方だった。しかし、キャラクターが持つ感情自体はとても重かった。そういう役を演じるにおいて、色々悩みもあったと思うが。

ジェジュン:(うなずきながら)他のキャラクターは思想自体が大きかった。イ・ハウンが持っていた野望も壮大で、父(彼はインタビューの間、キム・ビョンヒを父と呼んでいた)も欲深かったし……しかし、ギョンタクは“周りの人達”ただそれしかなかった。他の欲は無く、「僕の人は僕が守る」くらいだった。他のキャラクターが世の中を見るとき、ギョンタクは世の中を見据える彼らを見ていると思った。他の事を考えず、キャラクター自体の感情に集中するだけで良かったので、むしろ表現しやすかったと思う。

―沢山悩み、沢山考えた末に演じたことが分かる。それでは、「Dr.JIN」での自身の演技に点数をつけるとしたら?

ジェジュン:自身の演技にどう点数をつけろと(気恥ずかしそうにしばらく笑いながら)「ボスを守れ」のときもそうでしたが、撮影をしながら発展していく姿に、視聴者の皆さんが気づいてくださったのなら、有難いことだ。いつものジェジュンではなく、作品のキャラクターに見えたのであれば、それが一番成功したことだと思う。点数をつけるのは「今日のお昼は何にしようか」を決めることと同じくらい難しい(笑)

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「格好良いことへのこだわりを捨てたとき、更に格好良く見えることを知らなかった」

―「Dr.JIN」の話に限らず、もう少し広い次元の話をしよう。今までアイドル出身の俳優を中心に演技の腕が話題になる場合が多かった。本人は「アイドル出身」というレッテルはもう剥がれたと思うか?

ジェジュン:「ボスを守れ」のときもそうだったし「Dr.JIN」も頭ではそうだったが……本当の自分をを少し捨てるべきだったが、未練が残り、捨てられなかった部分があった。役者として(芸能界)デビューしたのではなく、歌手としてデビューして演技を始めたので、「捨てたくない部分」があった。格好良いことへのこだわりのようなことだ。そういうことを捨てる時に本当に格好良くなるということを知らなかったと思う。しかしキム・ギョンタクに集中すると「格好良く見せなければ」と思う暇もなく、自然に本来のジェジュンの姿を捨てることができたと思う。

―それでは「自身を捨てること」がキム・ギョンタクを演じながら得た、最も大きい収穫かも知れない。

ジェジュン:「自身を捨てる」ということは、僕を含めて歌手から役者に転向する人の殆どが持っている悩みだと思う。ステージではできるだけ格好良く、飾られた姿を見せて観客を満足させるが、演技はそうではなく、内面の姿が最も重要だからだ。しかし実は、それ(格好良いことへのこだわり)を捨てることは難しい。

短所を隠すことは簡単だが、長所を捨てることに納得いかない部分かも知れないが、それを捨てれば捨てるほど、キャラクターに集中できるようになる。僕もこれからもっと捨てる必要がありそうだ。「ボスを守れ」は本当に自身を捨てられなかった時だ。本当に後悔している。これからまた他の事に気づくためには、更に経験を重ねる必要があると思う(笑) 今回は時代劇で悟ったので、他のジャンルに挑戦すればまた別のことに気づくのではないだろうか。

―「既に認知度のあるスター」という点で、演技自体よりはスター性にフォーカスが当てられる場合が多く、残念だと思った。実際「Dr.JIN」も“JYJのジェジュン”が出演することで話題になったが。

ジェジュン:仕方がなかったと思う。チーム内でも僕は独特なビジュアルのメンバーではないだろうか。(「独特」という彼の表現について記者は引き続き、「つまり格好良いという話なのでは」と尋ねたが、ジェジュンは「独特」という表現を貫いた)普通じゃないので、更に(スター性に集中して)話される部分もあると思う。このような話は僕がこれから演技が上手くなっても続くと思う。だから僕は更に努力する必要がある。

―このようにさりげなく「外見」に関する話が出た(笑) しかし本当に非現実的な外見ではあると思う。これが演技をするにおいて得なのか損なのか?

ジェジュン:長い目で見ると得だと思う。こういった部分(外見)のせいで否定的に評価する方々にも、その評価を乗り越えて更に良い姿をお見せしたいと思っている(笑) なので、長い目で見ると良いと思う。そして、こういった外見なのに、更に自身を捨てる姿を見せたとき、多くの方々が良い評価をしてくださるのではないかと思う。


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「『Dr.JIN』以来、“したい役”という偏見がなくなった」

―「Dr.JIN」以来、したい役もかなり増えたと思うが。
ジェジュン:むしろ「したい役」という偏見自体がなくなった。映画「ウンギョ」を見ると若い俳優が年寄りの役を演じる。貴公子スタイルの俳優も坊主頭にして黒く塗れば(元のイメージとは)違う役をいくらでも演じることができる。もうビジュアルは問題にならないと思う。多様なものをできるだけ見せたいし、挑戦したい。

あえて主演じゃなくても、多様な演技ができればいいし、作品が良く、演じたいキャラクターがあればそれで良いと思う。今まで観客の前では(歌手としての)歌やダンスしか披露していなかったが、観客が見ている前で演技もしてみたい。ミュージカルにも挑戦してみたいし……。

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―「Dr.JIN」以降の活動計画は?俳優としても歌手としても、ジェジュンを求めている人が多いと思うが。

ジェジュン:一応来年上半期を目標にJYJのアルバムを準備している。ドラマ撮影をしながら曲を作る作業も地道にしてきたので、新曲を披露する機会があれば披露したい。

―キム・ギョンタクからヒントを得て作った曲はないのか?

ジェジュン:感情があまりにも悲壮で残酷な曲ばかりだったので、悲しくて全部消してしまった(笑) また、今年が過ぎる前に新しい作品を作って皆さんに披露したい。

―恋愛はしないのか?

ジェジュン:したい。アハハ。良い人がいれば紹介していただきたい。

―整理すると、「歌手としての活動も、俳優としての活動も逃したくない」となると思う。将来的にもこのように活動を並行していると思うか?

ジェジュン:予測は難しい。歳をとると声帯も老化すると思うので、できる音楽が限られると思う。そうすると、そのときの音楽の流れに付いて行けなくなる可能性もある。しかし、演技は中年になってこそできる演技があり、またもっと歳を取ってこそできる演技がある。常に新しいことへ挑戦できると思う。なので演技は続けていくと思う。もちろん音楽もやる。30年後に世の中にどのような音楽が出るかは分からないが(笑)

欲張りすぎかも知れないが、新しくやってみたいことが多い。それをしながら受けるストレスさえも好きだ(笑) ストレスを受けながらも一つ一つ解決しながら感じることがあるだろうし、挑戦してからの喜びというのもあるのではないか。そうしないと、ずっと楽しくやっていけないと思う。全てを急いで成し遂げようとすると面白くないのではないだろうか。

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記者 : イ・ミナ