「ファッションキング」…血と欲望が渦巻く若者たちのドラマ

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リアリティーのあるドラマが、なぜ視聴者に違和感を与えるのか

毎週発表される視聴率を見ていると、面白いことが見えてくる。月火ドラマではMBC「光と影」が他のドラマよりはるかに高い視聴率を記録している中で、その次をKBS「ラブレイン」とSBS「ファッションキング」が追っている。

「ラブレイン」と「ファッションキング」は、これからがより期待される20代スターの競り合いの場になっている。しかもそれぞれ少女時代のユナとユリが同時間帯に別々のドラマにキャスティングされ、放送序盤では話題になった。

だが、もう中盤に入ってから、両ドラマの20代の若さのみでは、激動の歳月に向かって戦っているアン・ジェウクには勝てないということが確実になった。

写真=SBS

「ファッションキング」“みっともない”若者たちの現実的な話

同じ20代スターのドラマと言っても、「ラブレイン」が題名通り“恋愛至上主義”に集中したとすれば、「ファッションキング」はこの時代の若者たちの“恋と野望”をテーマにしている。二つのドラマがまったく違うテーマと展開を見せているにも関わらず、「ラブレイン」は、脚本家の前作「ラブレター」から、「ファッションキング」は「バリでの出来事」の影から抜け出せずにいる。“温故知新”と言うにはあまりにも陳腐に感じられることで、妙な共通点を感じられる。

それでも「ファッションキング」の奮闘は注目に値する。21世紀でも、相変わらず王子や財閥がシンデレラのようなヒロインをロマンティックに愛するストーリーが人気を集める。カン・ヨンゴルを演じるユ・アインがSNSで明かしたように、財閥であれ、東大門(トンデムン)を背景に立ち上がろうとする無一文の若者であれ、皆みっともないチンピラみたいだ、という「ファッションキング」の設定は、どのドラマよりも現実に近いリアリティーがある。

ドラマの中で、財閥のチョン・ジェヒョクは、本能的に自分と違うカン・ヨンゴルを嫌い、そしてあえて自分に対抗する彼を、容赦なく踏みにじろうとする。カン・ヨンゴルも同じだ。ことあるごとに「チョン・ジェヒョクは嫌い」という話をし、金持ちの家に生まれた彼の順調な人生を疎み、手段と方法を問わず、追いつこうとしている。

韓国のドラマは往々にして、主人公は優しいが、対立するキャラクターは悪いという道徳的な二分法によって見る者をドラマに入り込ませてきたが、このドラマは主人公たちの絶えない欲望で視聴者に違和感を与える。

ヒロインに盲目的な愛情を傾ける財閥に心惹かれながらも、父の前で「踏みにじってやろう」という彼が忌まわしい。また、女性を守っているかと思うと、自分の都合によって利用もするカン・ヨンゴルも憎らしい。私たちに内在している世俗的欲望、それをによって生まれる二面性、そしてそこで悶える若者の内面をこれより赤裸々に描き出すことができるのだろうか。


構成は充実しているが、内容が貧弱

ところで、「ファッションキング」の中で描かれる欲望は、どこか現実味がない主人公は、どのドラマよりも現実的に描かれているが、逆に、物語に現実味が感じられないとも言える。それは恐らく、今の若者たちの抱く欲望の描かれ方は充実しているが、それを埋めていくストーリーが貧弱だからではないだろうか。

「ファッションキング」という題名が物語っているように、このドラマは東大門(トンデムン)で始まったカン・ヨンゴルという若者の成功と失敗を描いている。そこにアパレル会社の後継者チョン・ジェヒョクが関わり、二人の中に天才デザイナー、イ・ガヨンと販売店の職員からデザイン室長まで上り詰めたチェ・アンナがいる。

だから、欲望を扱うのなら彼らの仕事から始まるのが自然なはずだが、イ・ガヨンがどれだけ天才なのか、カン・ヨンゴルはチョン・ジェヒョクを無視して見下げる程の能力を持っているのか、イ・ガヨンとチェ・アンナはどんな面ですれ違うことになるのかという状況がはっきり伝わってこない。

4人の主人公は毎回告訴だの、提携だのと騒ぐが、彼らの激しい争いが視聴者にははっきり伝わらず、ただ二人の女を巡って二人の男が反目しているようにしか見えない。

ここで、欲望がはっきり見えない決定的な理由は、二人のヒロインの受動的な姿勢かもしれない。確かにカン・ヨンゴルとチョン・ジェヒョクがぶつかる理由となるのはイ・ガヨンとチェ・アンナであるのに、二人の女性がどれだけ能力を持っているのか、あるいは立志伝中の人物なのにどんな面が足りないのか、ということがはっきり見えてこない。彼女らは、仕事をする時間より男たちに会って葛藤したり、せいぜいミシンを回したり、陰謀を企んだり、そうでなければ、やけ酒を飲んで時間を無駄にしているだけのように見える。

21世紀を生きる若者なのに、依然として男性優位の世界に安住したまま対立を起こしたり、“自己犠牲モード”に入ったりしているわけだ。これで仕事で成功するために結婚も先送りする今の若者たちの共感を得られるだろうか。

だが、近頃はめったにない、スマートではないが、熱い血と欲望が渦巻いている4人の主人公に出会えたことは「ファッションキング」が私たちに与えてくれるプレゼントに違いない。そのプレゼントが良い記憶として残るよう「ファッションキング」の奮闘を期待してみよう。

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2012/12/31 (月) 21:30~26:00

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記者 : イ・ジョンヒ