【CLOSE UP】パク・シネ ― 立派に成長してくれてありがとう

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20歳の女優が自分の顔を持つということはなかなか容易なことではない。14歳、中学校1n年生の時にデビューをしたとすれば、なおさらのことだ。数多くの少女達は芸能人になるのと同時に無数の“カメラのフラッシュ”を浴びる中で、多くの記事と書き込みに振り回されながら、自分の顔を無くしていく。話していい事と、話してはいけない事が分かれて、好きな事と嫌いな事に正直になることを恐れるあまり、早く大人になってしまったり、人形になってしまう世界。パク・シネはそういう世界で7年を送った。だが、彼女は相変わらず7年前の顔を持っている。


自分の顔を失わないで育った子供

通った勉強部屋の先生がオーディションに送った写真がきっかけで、2003年イ・スンファンのミュージックビデオ「愛していますか」と「花」に出演した時、彼女は演技について右も左も分からない素人だった。しかし、見る目のある監督らが、この独特なオーラを放つ少女を逃すはずが無かった。SBS「天国の階段」でチェ・ジウの子役として彼女を抜擢したイ・ジャンス監督は、「天国の木」の女主人公として当時高校生だったパク・シネを再び選択した。また、SBS「飛天舞」の現場で彼女に可能性に気づいたというファン・インレ監督は、MBC「宮S -Secret Prince- 」の貴族令嬢、シン・セリョンの役に彼女を選んだ。MBCベスト劇場の「ある素敵な日」では目が不自由な少女を、週末ドラマ「カクテキ」ではワケありな主人公を演じたが、その全ては10代ならではの感受性で演じた役だった。

年齢を全く感じさせない純粋無垢な少女の表情と、成熟した女性の表情を持っている彼女。それで彼女が出演するドラマは、孤独な男たちの憩いの場となった。そんな彼女はドラマの中とは違って、流れる時の中で普通に成長期を経た。イ・スンファンが代表であるドリームファクトリーに所属し、デビューした時から現時に至るまで、活発に活動してきた彼女は、芸能事務所間の激しい競争で心が傷ついたり、収益に対する負担を感じる代わりに、コンサートステージで自由に歌って踊りながら“ドリームファクトリーの子供”として育った。木が大きく育つためには適当な量の水と肥料と光が必要なように、注意深く良い作品を選んで演技をしながら学校に通って、待ち時間が長い撮影現場ではマネジャーやスタッフの“お兄さん”達とキャッチボールをしながら成長した。そういう時間の積み重ねが、明るくて元気な21歳のパク・シネを作り上げたのだ。


ネバーランドを離れた後の彼女

「カクテキ」以後1年半ぶりに帰ってきた彼女が、“大人”の演技者としての変身を図るより、等身大の自分に合うSBS「美男ですね」のコ・ミナム役を選択したことは非常に嬉しいことだった。90年代の「学校」シリーズの以後、主演俳優の平均年齢が最も低いドラマだと言われるほど、20代前半の俳優陣で固めた「美男ですね」で、彼女はチャン・グンソクと共に初々しいながらもしっかりとした演技で作品を引っ張っていく。悲劇のヒロインである彼女が、雪原の上で大泣きするシーンで見せた大きな目は、「美男ですね」で“テギョン兄さん”と“シヌ兄さん”を、子犬のように慕う男装少女コ・ミナムの明るい表情にも表れていたし、“軍隊へ行った従兄弟の兄さんらからヒントを得たという”軍隊式の口調は、男装女性キャラクターに対する固定観念を跳び越えて、コ・ミナムという“人間”を完成させた。

「美男ですね」のミナムという役は、世俗から断絶された修道院を出てきて、双子の兄さんコ・ミナムの代わりとして、秘密とゴシップ、計略と陰謀が渦巻く芸能界で生きていく中でも純粋な心と誠実さを持っている。それはネバーランドだった“ドリーム”ファクトリーを出て本格的な市場に飛び込んだ生身の彼女とオーバーラップする部分がある。人間なら誰もが持っているが、ある世界ではそれを維持することが難しい状況があるならば、それはまたその人の魅力となるだろう。だからこそ、この日差しのような少女がこれから歩む道に一層期待が持てる。そんな彼女に伝えたいことが一つある。「立派に成長してくれて本当にありがとう」

記者 : チェ・ジウン、編集 : イ・ジヘ、翻訳 : ミン・へリン