「ワン・ザ・ウーマン」イ・ウォングン“除隊後の作品…最初はかなり緊張した”

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写真=Yooborn Company
イ・ウォングンは最近、韓国で放送が終了したSBS金土ドラマ「ワン・ザ・ウーマン」で、チョ・ヨンジュ(イ・ハニ)に片思いする同僚検事のアン・ユジュン役を演じた。同作は、一夜にして不良検事から財閥家の令嬢に人生がチェンジしてしまった後、財閥家に入った“不良指数100%”検事のダブルライフコミカルドラマだ。最高視聴率が20%を突破するほど人気を博し、幕を閉じた。

まず、作品に関する好評についてイ・ウォングンは、「作品には満足しているが、自分の演技に満足することはないと思います。僕たちの職業は絶えず経験し、見せなければなりません。満足したらその瞬間からそこに留まってしまい、成長が止まると思います。なので僕自身にムチを打って、良かった部分もあるけれど、もう少し頑張っていつも緊張して作品に臨もうと思いました」と謙遜した。

「ワン・ザ・ウーマン」はイ・ウォングンが除隊後初めて出演する作品であり、その意味が特別だった。これに対し、彼は「無事に(ドラマが)終わって感謝しています。新型コロナウイルスの感染拡大の時期にこのドラマに出演することができてありがたかったです。現場で毎回、PCR検査を受けたりして大変なこともありましたが、コメディドラマらしく、楽しい作品に仕上がったのが僕の心の中にはいつも残っています。いつまでも記憶に残ると思います」と語った。

また「除隊後、初めて作品を撮影することになった時はかなり緊張しました。現場も不慣れで、カメラも怖くて不思議でした。以前とは現場の空気が違っていました。また、52時間という労働基準法ができた後、初めて撮影に臨んだので、すべてが不慣れで不思議でした。それでも慣れていこうと思って、自ら積極的に挨拶をしたら、少しずつ緊張もほぐれて楽しめるようになりました」と打ち明けた。

役作りについては「アン・ユジュン役を準備しながら考えたのはたった一つでした。最初に撮影に入る時、先輩とは違うかもしれませんが、第8話まで台本を読んだ状態で撮影に挑みました。僕の役柄はヨンジュ(イ・ハニ)を応援してサポートする役だと思いました。年下の男性であることは分かっていましたが、あしながおじさんのように彼女がどんな状況でも、彼女との関係を優先しようと思いました。そして、イ・ハニ先輩が演じるヨンジュとユジュンは、10年以上前からの知り合いなので本当に親しくなければならないと思い、自ら積極的に挨拶しました」と語った。

さらに「監督は僕に優しく、よく笑うように要求しました。調査をするシーンでは、ギャップのある姿を見せなければならなかったので、ヨンジュだけには親しみやすく本当に愛しているような温かい視線を見せてもいいと言われました。そういった指示を撮影がスタートして、第2話から10話までのセットでの撮影が全部終わった時に聞かされました」と伝えた。

クールな片思いで好評を博したアン・ユジュンの結末も、イ・ウォングンのアイディアで完成したという。彼は「アン・ユジュンが屋台で別れるシーンも、台本では平気で未来を応援する雰囲気でした。ところが、リハーサルを行っているうちに感情が高まってきたんです。なので、監督にフラれた感情を持って演じても良いのか聞いてみました。監督は一度やってみて、感情が高ぶり過ぎたら違うバージョンにしようと言ってくださいました。それから撮影したものを見て、そっちの演技の方が正しいと言ってくれたので、そのようなシーンに仕上がりました」と明かした。

さらに、「別れのシーンも淡々とした感情の演技でしたが、現場ですべての物を外して撮影をしたら、言葉も震えて息も上がってしまいました。別れの感情を演技で間接的に体験して表現したら、その瞬間、役と同化することができたと思いました。後から、監督さんもこうした方がユジュンの感情も一段落して整理できるだろうと言ってくれたので、(フラれた感情を表に出しながら)撮影しました」と説明した。

では、イ・ウォングンもアン・ユジュンのように片思いした経験があるのだろうか。彼は「片思いは美しい感情だと思います。片思いほど純粋な感情はなくて、一方では胸の痛い感情ではないでしょうか。僕はそんな片思いが本当に美しくて純粋だと思うので好きです。僕も片思いをたくさんしてきました。小さい頃からしていました。でも、僕は勇気を持って積極的にアピールする性格ではありません。すぐ後ろではなく、10歩ほど後ろから好きな人を見つめるタイプでした。学生時代も、告白すると『私のことが好きだったの? 全然知らなかった』と言われました。それにもかかわらず、片思いという感情が僕たちが持つ純粋で美しい感情だと自信を持って言えます」と笑った。

除隊の前後で彼にとって最も大きな変化はなんだろうか。イ・ウォングンは「除隊する前も今も、僕が望むのは家族です。親においしい食べ物をごちそうして、良い服を買ってあげたいし、もし親が欲しいと思うものがあれば買ってあげられる息子になることが目標です。なので俳優としては、入隊前も後も僕の考えは変わっていません。俳優以前に良い人間になって、自分自身の負担を減らしたいですし、よい人間であることを忘れないことが僕の目標です。僕は携帯電話に母親を「犠牲」、父親を「柱」と登録しています。父は僕たち家庭の大黒柱で、母はいつも僕のため、僕たち家族のために犠牲を払う姿を見て、安易に考えてはいけないと思いました」と話した。

しっかりとした意志のおかげなのだろうか。軍服務による空白期の心配もなかったという。彼は「僕がすごく人気俳優でもないし、どれほどの地位なのか考えたこともありません。ただ一日一日に感謝し、与えられた事に感謝して生きています。適当にせず、手を抜くような姿は見せないようにしようと思っています。軍隊に行くからといって、僕の立場が弱くなることは考えたこともありません。いつも最善を尽くして謙遜して挨拶しましたし、僕がどれくらいの地位にいるとかは考えたこともありません。いつも与えられたことに感謝していました。軍生活をしながら、僕という人間はどんな人なのか、本当にたくさん悩みました。僕だけでなく、たくさんの方が軍隊に行ってそのような考えを持つと思います。そのため、人間イ・ウォングン、俳優イ・ウォングンとして成長するきっかけになりました。俳優としても少しも焦らず、謙遜した僕を作るきっかけになったと思います。軍生活は、ありがたくも楽しく終えることができました」と語った。

すでに30代でデビュー10年を迎える俳優として、しっかりした姿を見せたイ・ウォングン。彼は「最初から考えていたのは『変わらないこと』でした。以前、ある実務者の方が僕に『人気が出て、年を取ったらみんな変わる。ウォングンも変わるだろう」と皮肉たっぷりに言いました。僕が23歳の時の話です。本当に傷つきました。心を開いてすべてを注ぎ込んだのに、僕に皮肉を言うなんて……本当に心に大きなキズを負いました。その時に思ったのが、絶対に変わることなく『こういう人もいるんだな』ということを見せたいということです。小心者なりの復讐をしなければならないと思いました」と告白した。

何より彼は「常に僕は20代、30代もその姿を失わないようにしています。父も『いつも感謝の言葉を繰り返しなさい』と言ってくれます。僕はそんな父の姿が素敵だと思います。いつも感謝と緊張感を忘れないように教育してくれる父に感謝しています。30代になってもその姿勢を崩さずに、一生懸命に変わらない姿で視聴者の皆さんにお目にかかりたいと思います」と付け加えた。

記者 : ヨン・フィソン