「インサイダーズ/内部者たち」ペク・ユンシク“イ・ビョンホン&チョ・スンウ、二人とも狐科ではない”
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写真=SHOW BOX
ペク・ユンシクは密かに映画「インサイダーズ/内部者たち」(監督:ウ・ミンホ)全体に黒い影を落とす。政界の設計者であり、保守派新聞の論説主幹イ・ガンヒを演じた彼は、張り上げるよりも飲み込み、熱く盛り上がるより冷たく作品に溶け込んだ。彼が「インサイダーズ/内部者たち」で演じたイ・ガンヒは、有力な大統領候補チャン・ピル(イ・ギョンヨン)のそばでキングメーカーの役割をこなしながら自身の利益を求める狐のようなキャラクター。自身が踏みにじった“政治ヤクザ”アン・サング(イ・ビョンホン)が復讐を考えているのを知りながらも笑ってみせる人物がイ・ガンヒだ。
「観相師」のキム・ジョンソ、「タチャ イカサマ師」のピョン警長まで、いつもスクリーンを圧倒する存在感を見せてくれたペク・ユンシクは、イ・ビョンホン、チョ・スンウの間でじっくりと映画の重心を取った。ペク・ユンシクは「インサイダーズ/内部者たち」について「僕のフィルモグラフィに鮮明な跡を残すような作品」と言った。演技人生45年にして再び顕著な代表作を残したのだ。
「『インサイダーズ/内部者たち』が僕の人生映画なのかって? ただ、水っぽい作品やキャラクターではないということだけは確信しています。僕のフィルモグラフィーに跡を残すだけのことはある作品です」
以下、ペク・ユンシクとの一問一答である。
―シナリオのどんな面に惹かれて出演したか。
ペク・ユンシク:シナリオ上では否定的な人物だった。僕の前作と相反するキャラクターだった。僕は年齢的には保守的だが、考え方などは進歩的だ。若い後輩ともコミュニケーションできる方だ。ウ・ミンホ監督が僕に会って僕を求める理由をすがすがしく説明してくれた。気に入った。イ・ガンヒは普通の人物ではないじゃないか。なんだか、俳優としてイ・ガンヒが持つ強い力に魅力を感じた。
―「狐のような熊を見たか」は台本にあったセリフなのか?
ペク・ユンシク:そうだ。非常に絶妙な表現だと思った。拳を使っていた人が政界まで来たのだから、愚直だが普通の人物ではないのだ。
―イ・ガンヒはどんな瞬間でも落ち着きを失わない。イ・ガンヒの役になりきるために「これだけは逃さない」と設定したものはあるのか?
ペク・ユンシク:僕はイ・ガンヒがとても気が強い人だと思った。すさまじい度胸の持ち主だ。どんな極限の状況でも揺れない度胸を自然に表現したかった。
―「僕はしてなかったよ」と笑うシーンでイ・ビョンホンが衝撃を受けたという。台本を見て想像した演技じゃなかったからどんな風にリアクションすればいいのか困った瞬間がしばしばあったと言うが。
ペク・ユンシク:ハハハ。まったく知らなかった。現場では平気な顔してたけど?(笑) 台本を自分なりに分析して表現するのが僕たちの仕事であり、任務じゃないか。自分が期待したのと違うアクションが出て慌てたのかもしれない。イ・ビョンホンさんも本当に熱心に準備してくるタイプだ。
―逆にイ・ビョンホン、チョ・スンウの演技を見て驚いた瞬間はあったのか?
ペク・ユンシク:いつも良く見えた。二人だけでなく助演まで弾けるような演技をしていた。飛び火がするというか。エネルギーがすごかった。
―性的な接待を受けるシーンでの露出演技が衝撃的だった。俳優として気軽に演技ができるシーンではなかったはずだが。
ペク・ユンシク:後ろ姿が少し見えた(笑) イ・ギョンヨンさんとそのシーンを撮影した後、監督に「このシーンはぜひ生かせてほしい」とお願いした。権力階層の醜い面を表す象徴的なシーンだと思った。そのシーンの撮影だけに3~4日かけた。映画に登場していない赤裸々なシーンも多い。
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―チョ・スンウとは「タチャ イカサマ師」以来9年ぶりの共演だ。ペク・ユンシク:嬉しかった。性格が本当に良いからだ。「タチャ イカサマ師」も本当に楽しく撮影したけど、今回も同じだった。映画ではウ・ジャンフン(チョ・スンウ)がアン・サング(イ・ビョンホン)をもてあそぶじゃないか。実際の撮影現場でもウ・ジャンフン、アン・サングそのままだった(笑)
―実際本人は狐科なのか、熊科なのか?
ペク・ユンシク:確かに狐科ではない。愚直というか、生真面目っていうか。
―イ・ビョンホンとチョ・スンウは?
ペク・ユンシク:二人も狐科ではない。男が男を見ると分かる。愚直だ。イ・ビョンホンさんは意外に内気な面もあるし、本人によると慎ましい面もあるという。とにかくイ・ビョンホンさんもスンウも性格がとてもいい。
―「インサイダーズ/内部者たち」の人物のうち、一番共感したキャラクターは誰か?
ペク・ユンシク:難しい質問だ。人間群像の普遍的な面から少しずつ持ってきた仮想の人物じゃないか。確実にイ・ガンヒ側ではないし(笑)
―「インサイダーズ/内部者たち」がいわゆるペク・ユンシクの“人生映画”になれるか?
ペク・ユンシク:水っぽい作品じゃないことは確かだ。跡が残るような作品だ。
記者 : キム・スジョン