ペク・チヨンの「この愛、忘れないで」を作詞したチェ・ガプウォン、女性を知り尽くした男の作品とは

OhmyStar |

パク・ヒョシンの「愛した後に」、ペク・チヨンの「この愛、忘れないで」、IUの「マシュマロ」、BUZZの「臆病者」、GUMMYの「大人子供」、ハ・ドンギュンの「彼女を愛してください」。

ジャンルもメロディもそれぞれ異なるこれらの曲の裏には一人の人がいる。作詞家でプロデューサーのチェ・ガプウォンN.A.Pエンターテインメント代表だ。彼を経て光を見た曲は500曲余り。「以前は1日に7曲も歌詞を書いた」という彼に、作詞家として生きることについて聞いた。

「曲に言葉を乗せる作詞…女性の感性が多く盛り込まれた」

若くして父を亡くしたチェ・ガプウォン代表は、母と二人の姉と一緒に暮らした。母とは恋愛するように暮らし、父の役割は事実上姉が担当した。「子供の頃から『女性に優しくしなければいけないと、早期教育を受けた』と打ち明けたチェ代表は「よく上の姉の顔色を伺った。姉の気持ちを察して、ふざけた時にも怒られないためだった」と話す。

家族を通じて女性の感情に細かく気を遣ったチェ代表は、その後作詞家になって、主に叙情的な曲の歌詞を書いた。そして、主に女性歌手と仕事をした。彼は「仕事をするときに、意識したことではないけれど、考えてみれば意識しないうちに僕に女性の感性が多かったようだ。作業をする時、大雑把にやるよりは、几帳面で繊細にやるほうだ」と述べた。チェ代表は歌詞を書くことについて「曲に言葉を乗せる作業だ」と定義した。

「作曲が先で、作詞はその次だ。作詞というのは、自身が話したいことを全部書くものではない。それぞれのメロデイにはストーリーがある。作詞家はメロディが伝えたいストーリーを作る人だと思う。メロディを聴きながら目を閉じて絵を描くけれど、『こんなストーリーじゃないか』と考えながら書く。作曲の割合が7だとすれば、作詞は3だ。物思いにふけて経験談を語るよりは、『メロディが何を話したがっているか』を考える」


「2泊3日で7曲を書いたことも…書くのがとにかく好きだった」

チェ・ガプウォン代表は2001年、チャン・ナラの1stアルバムに収録された「Gloomy Sunday」の歌詞を書きながら、本格的に作詞を始めた。しかし、彼の仕事は“作詞家”だけにとどまらない。フィソンの1stアルバムを皮切りにアルバムの制作も活発に行ったためだ。今は多くの人が彼を見て“うわ~”と感嘆するが、彼にも「何をして食べていけばいいだろう」と悩んで眠れなかった日々があった。

「頭の中が複雑で、3日間一睡もできなかった時があった。数年間『自分は何をして食べていけばいいんだろう』と考えていた。普段から書くのが好きで、音楽にも興味があったため、むしろ(音楽業界に)入りやすかったと思う。世界で仕事が一番好きだ。仕事をすることが一番楽しくて、誰かが僕に歌詞の依頼をしてくれることがありがたく楽しくて、眠らなくても、僕の歌詞を(依頼した人が)使ってくれなくてもとにかく無条件に書いた」

SE7ENの2ndアルバムに収録された7曲の歌詞は、2泊3日で書き上げた。「ほぼ超能力だった」と話して微笑んだチェ代表は「作曲家になる道は以前より広くなったけれど、プロの作詞家の道は狭くなった」と付け加えた。作曲家もアーティストも歌詞を書くため、専門の作詞家の領域は減ってきている。また、彼は「最近の歌謡曲は完成度よりは新鮮さを重視しているようだ。新鮮さに高級感を添えてこそ生き残ることができる」と強調した。


「お金になる歌詞だけにこだわらないために…いい文を書きたい」

最近チェ・ガプウォン代表は、男性グループHIGH4(キム・ソング、イム・ヨンジュン、ペク・ミョンハン、アレックス)に全力を注いでいる。HIGH4は、4月IUが参加した「春、恋、桜の花じゃなくて」で音楽配信チャート1位を獲得した新人グループだ。

「徹底的に作りこまれたチームは似たような雰囲気だと感じ、最大限磨かれていない自由なグループを作りたかった」というのがチェ代表の説明だ。HIGH4のアルバムにはメンバーたちの自作曲も収録される予定だ。

「IU、キム・イェリムとのコラボは事前プロモーションだった。何より音楽に気を使おうとした。実は、作曲や作詞は特に教えてあげるところがない。僕たちはすでにプロであるので、それぞれの作り方があるが、新鮮なものを作り出す人たちに『それは違う』と話す必要はない。『一度書いてみた』と言われれば『もっとやってみればどう?』と話すほうだ。放っておくと、自らちゃんとまとめていい結果を持ってくる」

歌詞は歌に依存するしかない。そのため、以前のように“一本の詩のような”歌詞は見られなくなった。故イ・ヨンフン、故ユ・ジェハ、ユン・ジョンシン等が好きだというチェ・ガプウォン代表は、自身の名前をかけて行っている「The Lyrics Project」を通じて“お金になる歌詞”ではなく“いい文”を書くために絶えず努力している。

「本当に古い曲なのに、古臭くない曲がある。『詩のための詩』みたいな。僕もそんな曲をぜひ書きたい」

記者 : イ・ジョンミン、イ・オンヒョク、写真 : イ・ジョンミン