【スターコラム】イ・スンギ、半人半獣チェ・ガンチが伝える「九家の書」撮影現場 ― Vol.1
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イ・スンギ。歌手からタレントへ、タレントから俳優としても活動領域を広げている彼がMBC月火ドラマ「九家の書」で再度イメージチェンジを図った。半人半獣のチェ・ガンチに扮し、神獣の青い目と人間の澄んだ目を併せ持ち女心を掴んでいる彼に、これ以上“国民の弟”という修飾語は似合わないと思われる。
彼の時代劇初挑戦で放送前からファンの期待を集めた「九家の書」は、いつの間にか中盤を迎えている。現在同時間帯で視聴率トップとなっているなど、視聴者からも高い人気を得ている。その中心にいる主人公として、作品への責任感とプレッシャーも大きいはずだ。
だが、これまで数々のドラマに出演してきた彼であるだけに、優れた演技力で視聴者の心を掴んでいる。「九家の書」を通じ挑戦と成長を重ねていくイ・スンギ、半人半獣チェ・ガンチとして撮影現場で活躍する彼の話を聞いてみる。/編集者
これまで僕がやってきたドラマは全て大事ですが、その中でも「九家の書」は僕にとって大きな意味があります。現場で撮影をしながらもそうですし、演技に集中しながら感じる様々なことが僕を成長させると言うのでしょうか?「九家の書」は僕にとって変化を与えてくれた意味のある作品だと思います。
それでは、これから僕の演技人生で遭遇した「九家の書」と、僕だけのストーリーに入ってみましょうか?
# 変化したイ・スンギ、それなりに先輩なんです
僕はこの頃とても忙しい日々を送っています。ほとんどの時間を撮影現場で過ごしています。周りから、今回の作品をしながら残念に思う点はないのか聞かれますが、逆に「九家の書」は僕がもっと成長するきっかけを与えてくれた現場だと思います。これまで経験した他の現場とは違って、もうちょっと僕が主人公になったような現場です。
以前は相手俳優の方々が経験もたくさんあったし、キャリアも多かったです。その時はドラマで主人公になっても、タイトルが主人公であるだけで僕のものだけ準備していけばうまい料理になりましたが、今は僕が自ら料理を作る段階に来ているのではないかと思います。また、後輩と作業しながら先輩として責任感も生まれたと思います。確かに前とは違うスンギになりました。ハハ。
何より、以前に比べ一番違うところは、僕が撮影現場にいる時間が長くなったことです。実は時代劇の特性上、たくさん動いたり移動したりはしません。そのため、いつも撮影がない時は車に入って休んだりします。撮影現場によく出ている僕を見れば、たぶんそれは一層緊張している証拠だと思います。
また、以前とは違って監督から言われたことだけをやるのではなく、俳優としてもう少し台本にあるものを研究するようになりました。そうすると、演技に多様な感情を取り込むよう努力するようになり、より忠実に演技に取り組むようになります。
僕が「九家の書」の撮影現場でこのように参加しているため、何だか一緒に作って行っていることを強く感じています。例えば、前は美味しいものを食べるだけでしたが、これからはそのおいしい食べ物を自分なりに器に盛るものだ、と説明できそうな気がします。
以前もドラマの撮影現場では僕なりに熱心に撮影に臨みました。実は、僕の前作である「キング~Two Hearts」では僕より演技が上手な方が多かったし、それを見ながら学んで勉強する気持ちで、楽しく現場で演じてきました。
しかし、今は一緒に撮影する後輩たちが僕に頼るところがあるようです。彼らにはやはり、僕が主人公として何か準備してくるだろうという期待が無意識にあるような気がしました。そんな状況で、もし僕が何の準備もなく、同じように台詞だけ覚えて行くのなら、やはり後輩たちにとって先輩らしい感じはなくなるでしょう^^;;
そのため、後輩たちと話をしながら、先輩らしく実力を見せようと努力しています。僕が後輩たちと現場でシーンを合わせて行く時、「僕が感じることはこうなんだけど、君はどう?」と話を交わしますが、僕の実力が足りなければそれはできないでしょう?それで、僕も自分なりに後輩たちに対して先輩らしい実力を披露するため、絶えず努力しています。
ガンチはハツラツとして愉快な感じがあるべきでしたが、キャラクターの方向性が変わったことで、1ヶ月間どういうふうに野獣のような姿を見せればいいか悩みました。
そんな中、イ・スンジェ先生に会って食事をしながらアドバイスを求めました。荒唐ですが、先生と食堂で突然台本読み合わせをすることになりました。そのとき、イ・スンジェ先生がガンチに合う“無知な感じのトーン”を教えてくれたので、再び活発な半人半獣チェ・ガンチのキャラクターを把握していきました。それだけでなく、イ・ジェギュ監督をはじめ、先輩たちにも迷うことなくアドバイスを求めました。そのようにして、僕だけのチェ・ガンチが生まれました。このように経験し、「九家の書」に大きい愛着を持って撮影に臨むことになったわけです。
# 「九家の書」撮影現場の諸先輩方、ありがとうございます!
皆そうだと思いますが、僕は立派な監督の方々と一緒に仕事してきたと思います。SBS「華麗なる遺産」のチン・ヒョク監督、「僕の彼女は九尾狐<クミホ>」のプ・ソンチョル監督、MBC「キング~Two Hearts」のイ・ジェギュ監督はもとより、いま一緒に作業しているシン・ウチョル監督もいます。まだ全て言えていないこと、分かってますよね?現場で立派な監督たちと一緒に撮影すると、戦慄が走ります。演技しながら僕が持っているものはもちろん、持っていないものも監督が引き出してくれます。それで僕は、僕なりに思い切って演技することができるので、本当に嬉しかったです。このように、ドラマに対する哲学のある監督たちと作業しながらたくさん学んでいます。
今回、「九家の書」という作品をしながら会ったシン・ウチョル監督には大きな好感を持つようになりました。監督には次回作もまたよろしくお願いしますと、一生懸命へつらって(?)います。
監督が僕を可愛がってくれることもありますが、とてもカリスマ性があります。それで、撮影現場の雰囲気もただ笑って騒ぐ姿よりも、現場にいる俳優とスタッフが最善を尽くして準備し、息を合わせながら完成度を高めるため努力しています。最高の演出と演技者たちの真剣な悩みが現場を一杯に埋める中で、自然に完成度の高いドラマを作るための緊張感も溢れていました。
もちろん、監督だけでなく俳優の方々も印象的です。相手役のヨウル(僕は現場でスジをずっとヨウルと呼んでいます)に対しては、現場でいつもよくやっていると賞賛しています。スジがあまりにも熱心で最善を尽くしているので、非の打ち所がないです。
また、もともとカン・ウンギョン脚本家は人間的にも素敵な方です。最初にヨウル役としてスジを考えていたそうです。それで、キャスティングした立場でもっとヨウルに合わせるため悩んだ痕跡が見えました。特に、カン脚本家は台本を書くとき、俳優に合わせて書いているということが台本から見えてきます。なので、撮影もそうだし、うちのドラマがもっと面白いようです。そうではありませんか??ハハ。
僕は撮影現場の外から見る演技、現場で俳優と監督が見る演技が少し違うと思います。俳優は台本などを通して事前に話の展開を見ながら演技します。周りからの力が入りすぎたとか、その他にいろいろと演技に対する話があるとしても、僕たちの立場からは長い目で見ると、うまくやっている箇所が見えてきます。「あれをあんなふうに解釈したな」ということがあります。そういう面でイ・ソンジェ先輩は、自身のキャラクターであるチョ・グァンウンをどんな言葉にも揺れ動かず押し進めていく力があると思います。僕にはまだ難しいことです(笑)
これからは新しいチャレンジよりも、今のチェ・ガンチを充実に維持したいと思います。個人的に「九家の書」は、この先も忘れられずに長い間記憶に残る作品になって欲しいです。僕はもちろん、視聴者の方々も後日「九家の書」を思い浮かべて「そのドラマ、面白かった」であったり、「『九家の書』はこうだったな」と覚えていてもらえればと思います。
次回は今日に至るまで、歌手として、バラエティ番組のMCとして、役者として活動してきたイ・スンギの話をしてみます。一人の人間であるイ・スンギが、これまで僕が歩んできた道を皆さんと一緒に振り返ってみたいと思います。引き続き関心を持っていただければ幸いです。近いうちにまたお会いましょう!忘れずにまた見て頂けますよね?それでは、すぐに戻ってきます!!
文:イ・スンギ
「NAVER スターコラム」は、注目の俳優やアイドル、アーティストたち本人がコラムを執筆。話題のスターが直接書いたコラムをお届けしています。記者 : イ・スンギ