演技歴24年のオ・ヨンス「童顔?プロポーション?いや!スッピンに靴一足だけで十分」

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2012年夏、女優オ・ヨンスは数日間島に滞在した。全羅南道(チョルラナムド)莞島(ワンド)から船で3時間もかかる島。そこへ向かう船は、一日一隻のみだ。コンビニはもちろん、エアコンさえない場所だった。「文明と断絶された生活を楽しめるかも知れない」と思いがちだが、まともな宿もない場所で、閉じ込められている感じだったそうだ。

「韓国で、ここまで何も備わっていない島に閉じ込められるとは思いませんでした。お金があっても使う所がないですし、食べるものもないです。数日間、合宿撮影をしました。小道具として作った料理も、腐ってしまうのが常だったんです。虫や蛇もたくさんいました。今思えば、“いつまたそんな苦労ができるだろう”とも思えるし、母も『行ってみたい』と言い出していましたが、当時は本当に早く過ぎることだけを祈っていました」

オ・ヨンスは映画「サウスバウンド/南へ走れ」で15年ぶりに映画に復帰した。普段から映画への愛情が大きかった上、実力派俳優キム・ユンソクと共演することに魅力を感じたというのがオ・ヨンスの説明だ。そこに、イム・スンレ監督が演出を担当し、原作の同名の日本小説がベストセラーだったことも“復帰作”に意味を加えるに十分だった。彼女はこの映画で、化粧っ気のない顔で適当に髪をまとめるアン・ボンヒ役を演じた。

しかし、撮影は円滑には進まなかった。イム・スンレ監督が演出権の侵害を理由に撮影を中断して現場から去ってしまったのだ。その後、イム監督は復帰したが、この事件をめぐる様々な推測は続いた。当時、黙々と現場を見守ったオ・ヨンスは「20代だったなら『私もソウルに帰ってしまうわよ』と思ったでしょうが、私まで動揺したらダメだと思った。ドラマ現場でもよくあることだけれど、特に大きく話題になったみたいだ」と打ち明けた。「映画を成功させたいがための意見の食い違いがあり、お互いに一歩ずつ離れて考える時間が必要だった」と話した。

この時代を生きる人々は、社会に対する不満を一つくらいは持っている。ただ、チェ・ヘガプ(キム・ユンソク)のように、面と向かって話すのか、胸の中に潜めておくかの違いがあるだけだ。そのため、国民年金の納付を拒むチェ・ヘガプの姿に痛快さを感じる観客も多い。子供の通う学校を訪れ、不祥事の疑惑を提起するシーンもそうだ。演じながらも清々しかったというオ・ヨンスは「チェ・ヘガプとアン・ボンヒのように、去って行ける勇気が羨ましかった」と伝えた。

「どこかにチェ・ヘガプやアン・ボンヒのような人がいるでしょう。似たような夫婦じゃないですか。でも実際の私なら、夫を支えて応援しながらも、稼がずに自分勝手には生きさせないと思います。それはできない相談です(笑) 社会への不満を胸に抱える方たちが私たちの映画をご覧になったら、自分のことのようにすっきりすると思います。その上、美しい風景までありますから、2時間の癒しになるのではないでしょうか?」

2013年を映画で忙しく迎えたオ・ヨンスは、2月も人々に会い続ける予定だ。韓国で13日から放送が始まるKBS 2TV「IRIS 2」で、NSSの新任副局長チェ・ミン役を演じるためだ。映画の公開を前にドラマ撮影で忙しい時期で、オ・ヨンスは映画のアン・ボンヒよりはドラマの要員に近い姿だった。「生まれ変わっても女優になるか」という質問には、「女優よりは、歌唱力もありヒット曲まである男性アーティストになりたい」と答えたオ・ヨンスに、今後の目標を尋ねた。

「ただ“俳優オ・ヨンス”でありたいです。童顔でプロポーションが良いなんて、何が重要でしょうか。そんなことを考えていたなら、映画でも綺麗に映ろうとしていたでしょう。靴も一足だけで済ませましたから(笑) 俳優は、演技がうまくなければいけません。ただ、どの瞬間も、自分が演じる役に入り込めたらと思います。その人が見えないほどに」

記者 : イ・ジョンミン、イ・オンヒョク、写真 : イ・ジョンミン