「ゴールデンタイム」病院は弱肉強食の社会?誰よりも生き残ってほしい人たち

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写真=MBC

病院の食物連鎖から生き残れる方法を身につけてほしい

先週の「ゴールデンタイム」第21話のラストシーンを覚えているだろうか。空気が全く読めないキャラクター、イ・ミヌ(イ・ソンギュン)が急患を目の前にして口論ばかりする“4人の科長”に「チェ・イニョク(イ・ソンミン)先生に連絡しましょうか」と尋ねるシーンは、痛快さと空気が凍りつくような感じが交差するシーンだった。

視聴者は当然イ・ミヌやチェ・イニョクに感情移入しているだろうから、4人の科長よりチェ・イニョクの腕を信頼するイ・ミヌの発言に痛快さを感じただろう。一方で4人の科長の立場から見ると、“なめているのか”と思っていたはずだ。

呼吸困難だけではなくアレスト(心停止)になって、生命の危機に瀕している急患を前にして、あれこれと揉めている4人の科長の代わりにチェ・イニョクがその場にいたら、どこの誰の責任かを気にせず、患者を助けるためにメスを手にしたはずである。

しかし科長らは最後までチェ・イニョクを手術室に呼ばなかった。その代わりにイ・ミヌを呼び出した。これは自分たちの力で急患を助けると見せつけるための行動であり、チェ・イニョクをパワハラする典型的な病院内の政治的な権力争いだった。

病院というのはヒポクラテスの精神に則って、命を救い病気を治療する、白衣の集まりであるはずだが、政治的に動く集団である。それを示した事例は、科長らがチェ・イニョクを“いじめる”前にもあった。

理事長代理のカン・ジェイン(ファン・ジョンウム)を牽制する人たちは他でもなく、彼女の親戚の叔祖父と叔祖母であることは、病院がどれほど政治的な動きに左右されているかを表している。

「ゴールデンタイム」のキャラクター同士の政治的な動きは、カン・ジェインやチェ・イニョクによるものではない。4人の科長、カン・ジェインの叔祖父と叔祖母が自らの利益のために繰り広げているものである。


人を救うべき病院が実は弱肉強食のジャングル?

ジャングルの法則で病院内の政治を見てみると、下記のような比喩もできるだろう。病院の科長らやカン・ジェインの叔祖父、叔祖母は自分の利益のためなら手段と方法を問わない肉食動物のようであれば、チェ・イニョクやイ・ミヌ、カン・ジェインは草食動物のように見える。利益のためなら何でもする人たちの前で無性に無力に見えるからである。

いくらチェ・イニョクの医術が他の医師より優れていても、カン・ジェインが病院のために建設的な対策を作ろうとひたむきに頑張っていても、自分たちの利益を最優先する“肉食動物”の前では無力であり、彼らの熱い思いは政治的な論理の前で餌食になりかねない“草食動物”に似ているからである。

このような事例はチェ・イニョクを“パワハラ”する科長らの行動以外にも、イ・ミヌへのキム・ミンジュン(オム・ヒョソプ)の態度からも窺える。ソン・ギョンファ(ホン・ジミン)はイ・ミヌにどんな科を志望するか尋ねる。イ・ミヌが躊躇しながら外科だと答えると、ソン・ギョンファは喜んでイ・ミヌを励まし、積極的に後押しすることを約束する。

だが、研修医志望者リストを見たキム・ミンジュン科長はイ・ミヌを落とすことをソン・ギョンファに明かす。慌てて理由を尋ねるソン・ギョンファにキム・ミンジュンは、「インターンはミスをしても患者の命を危うくしない。けど研修医は違う。経験を積むほど、特に外科は命に直結する。イ・ミヌはインターンの時からトラブルを起こした。研修医がそんなことをやったら、手に負えないことになる」と指摘した。

さらに彼は「それにイ・ミヌが開腹して執刀した妊婦がもしも助かって退院することになれば、あいつはもっといい気になるだろう」と妊婦が死んでほしいというひどい本音を明かした。

病院のルールを無視してインターンの身で妊婦を開腹したイ・ミヌを牽制するレベルを超え、その妊婦が無事に退院できないほうが病院内の序列維持に良いということである。

重症外傷センターが1ヶ所もない、韓国社会の恥ずかしい一面を厳しく指摘する「ゴールデンタイム」は、第21話でチェ・イニョクとイ・ミヌの試練を通じて病院の厳しい現状をそのまま見せた。病院内の政治的な動きは最高の結果を得るためのものではない。

カン・ジェインの叔祖父と叔祖母は利益のためなら、賄賂を渡すこともためらわない。実力本位で研修医を起用するよりは、病院内の序列を守るために有能な新人、イ・ミヌのような医師は冷酷に見捨ててしまう。

利益または序列の維持のために常に誰かをいじめる病院内の政治的な動きに立ち向かう方法を、カン・ジェインとイ・ミヌは学ぶ必要がある。そのずるい手に立ち向かいつつも、それに汚染されないように注意してほしい。

記者 : パク・ジョンファン