「泥棒たち」チョン・ジヒョン“なぜ彼女に偏見を持っていたのだろうか?”

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映画「10人の泥棒たち」で久々に映画に復帰した女優、チョン・ジヒョン。彼女は同作品内で、4年という空白期間を感じさせないほどの存在感を放っている。

時にはかわいらしく、時にはセクシーな魅力のイェニコール役を演じたチョン・ジヒョンからは、女優として一段と成長したかのような印象を受ける。映画「猟奇的な彼女」へ出演後、約10年間に及び披露できなかった女優チョン・ジヒョンとしての姿をすべて見せてくれた。実際、彼女はCMスターとして有名な女優だった。彼女のプライベートもベールに包まれており、秘密主義の女優というイメージが強かった。

彼女のことをあまり知らない人なら、チョン・ジヒョンは他人とあまり交流しない、口数の少ない女優だという偏見を持つだろう。しかし、多くの人は彼女の演技への情熱も知らない。そのため、彼女の結婚が報道された直後、芸能界引退説も浮上した。

しかしチョン・ジヒョンは“引退説”について「私がですか?まったくあり得ません。私は女優を続けます」と語った。さらに彼女は「昔から演技はずっと続けようと思っていました」と付け加えた。

「私はテレビに映る俳優を見ていると、実際会わなくても『たぶんあの人はああいう人だろうな』と思います。観客もそうだと思います。言わなくてもわかる、そういう感じってありますよね。私は映画『猟奇的な彼女』にも出演したし、地道に活動してきたので、多くの人は私が明るい人物だということを知っていると思いました。とは言え、CMなどを中心に活動してきて、CMスターというイメージが強かったので、そういう印象を持つようになったのではないかと思います。私はこういう人間ですと言える機会がなかったし。でも、確かに私がどんな人間なのかは感じられたと思います。そう思っているのは私だけでしょうか?普通、女優はメディアの取材に応じる機会はそんなに多くありません。大体は、映画に出演してインタビューをしながら、自然にメディアに露出するようになりますが、私は主に海外で活動していたので、韓国メディアの取材に応じる機会が少なかったんです。私がこれまで海外を中心に活動していたので、偏ったイメージで見られるようになったのかも知れません」

チョン・ジヒョンの復帰作「10人の泥棒たち」の前作は、「ラスト・ブラッド」(2009)と「雪花と秘文字の扇」(2011)などの海外映画である。残念ながらどちらも、韓国での興行成績は芳しくなかった。しかし、彼女はかけがえのない経験だったと語りつつ、“経験したこと”と“経験したことのないこと”には大きな差があるため、機会があれば必ず“挑戦する”という積極的な一面も見せた。

「いざ撮影が始まると、嫌になりました。あまりにも大変なので、ここまで苦労する必要はあるのかと思うようになったんです。海外ではただの新人女優ですから。韓国で有名でも海外では何の役にも立ちません。あまりにも大変だったので『二度と海外映画に出演するものか』と思いましたが、そのことはさっぱり忘れて映画『雪花と秘文字の扇』に出演しました。この映画も本当に大変でした。私は流暢に英語を話せるわけでもないですから。韓国映画に比べて準備期間が長かったです。例え監督と英語で流暢に話せたとしても、韓国の監督と話しているようには話せないので、じれったい時もありました。でも、今振り返ってみると、出演して良かったと思います。今回の映画『10人の泥棒たち』を撮影しながら、チェ・ドンフン監督が『ジヒョンさんはワイヤーアクションが上手だと思っていた』とおっしゃいました。私自身も『ラスト・ブラッド』でワイヤーアクションの経験があるので、私ならできるという自信を持つようになったんです。私は『そう、私は海外映画に2回も出演したし、アクション映画にも出演したから大丈夫。アクション女優でもいい』と考えながら、撮影に臨みました。自分はできる、という自信は、こういった経験のおかげだと思います。また、今は韓国で監督と自由に話せることだけでも幸せです。このこと自体が私にはメリットだと思います。だからかけがえのない経験です。その時その時で、柔軟に対応できる余裕もできました。また海外映画に出演する機会ができたら、もちろん出演しますよ。できる時には、やるべきだと思います。経験の有無の差は大きいからです。経験を重ねるうちに、私でないとダメな何かを見つけることができるはずです」

女優チョン・ジヒョン。彼女は勇敢な女優だった。映画「10人の泥棒たち」のイェニコールは彼女自身でもあった。彼女はインタビューで「これからスタートです」と、意味ありげなことも語った。32歳、デビュー15年目を迎えた彼女の今後が期待される。

記者 : ペ・ソニョン、写真 : クァク・ギョンフン