キム・ソンホ、映画「貴公子」でスクリーンデビュー…過去の騒動にも言及“監督が一緒にやりたいと言ってくれた”

OSEN |

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俳優キム・ソンホが、映画「貴公子」でスクリーンデビューを果たした。これまで演劇とドラマで活躍してきた彼が、今年は映画俳優として活動領域を広げた。「貴公子」では荒々しい高難度のアクションを披露し、これと共に異質のキャラクターも見事に演じきった。

2009年に演劇でデビューしたが、映画を始めたばかりのキム・ソンホの心を覗いてみると、まだ夢見る新人の姿勢だった。自身が演じるキャラクターと作品に向けた彼だけの初々しい心、情熱は対話を通じて感じることができた。

最近、ソウル昭格洞(ソギョクドン)のあるカフェでインタビューを行ったキム・ソンホは「すべてが初めてなので、まだわくわくしながら緊張しています。怖くもあります」と心境を伝えた。

続いて彼は「久しぶりのカムバックですが、スクリーンを通じて観客に会うことになったことで、より意味があると思います。主演として『貴公子』に参加し、期待もしています」とし「もちろん、僕は(観客から)『キム・ソンホの演技が上手だ』という評価を期待してはいません。しかし、『キム・ソンホはあんなキャラクターもできるんだ』という言葉を聞ければ、それだけで俳優としてとても嬉しいと思います」と新しい映画を披露する感想をつけ加えた。

彼は「マスコミ配給試写会の時、僕も映画を初めて観ました。僕の顔がスクリーンに出てきた時、すごく恥ずかしくて目を開けて観られませんでした(笑)。どの俳優でも自分の演技を見ながら『うごく上手だな』なんて思わないでしょう(笑)。僕は自分の顔を見たらすぐ目を閉じて、背もたれに寄りかかりました」と伝えた。

キム・ソンホのスクリーンデビュー作「貴公子」(監督:パク・フンジョン)は、フィリピンの不法競技場を転々とするボクシング選手のマルコ(カン・テジュ)の前に、正体不明の貴公子(キム・ソンホ)をはじめとする、それぞれ異なる目的を持ったミステリアスな人々が現れ、狂気の追撃を展開する物語を描いた。

同作は2021年12月にクランクインし、昨年撮影を終えた。彼がキャスティングされた後、元恋人に関する騒動で波紋を呼んだことと関連して、「当時パク・フンジョン監督や配給会社の代表が僕に『代案がなかった』という話はしませんでした。僕に『どう?(現在の状態で演技が)できる? 僕たちはあなたと一緒にやりたい』と言ってくださいました」とし、彼らの信頼から勇気を得て出演を決定した時を回想した。

キム・ソンホは続けて「この作品ができるかどうかという選択の問題ではなく、与えられた人物と作品に対して、俳優としてただ最善を尽くさなければならない立場でした」として「そのため今回の作品に臨みながら全ての瞬間、シーンに集中しました。作品に最善を尽くしましたが、メンタル的に大変ではありませんでした。幸いパク・フンジョン監督が友人のように、お兄さんのように接してくれたので、作品により没頭して楽しく撮影することができました」と振り返った。

しかし彼は「もちろん僕に対して誰かが悪く話せば、僕も人として愉快には思いませんが、謙虚に受け入れようと思います」とし、「僕の価値観のもとに見つめ、まともな判断を下そうと思います。その度に散歩をしながら考えや心を整理します。そうすると1日、2日ほどで回復します。約束がある日には歩く距離を減らし、疲れたらカフェで休んでからまた歩いたりもします」と日常を打ち明けた。

キム・ソンホは同作のため、これまでやったことのなかったアクションに力を入れたという。劇中の狂ったような表情と言葉遣い、雰囲気などは容易に作り出したものではないことをもう一度確認できた。

彼は「射撃の練習場で恐怖弾と実弾の音を区分しながら聴きました。また、アクションチームと息を合わせることが重要でしたが、監督がOKを言う直前まで練習しました。監督は『貴公子にはかっこいいアクションをしないでほしい』と言われました。いつでも変わる可能性があるので、状況に応じて調整しながら身につけました。特にアクションは撮影前日や当日に変わったりもしました。修正した部分にも慣れるよう、その場で練習しました」と明かした。

キラーである“貴公子”について彼は、「厳しい訓練を受けた人ですが、自分の外見を飾りながら、苦しみは隠します。僕は貴公子が自分勝手に事を企んだと思いました」とキャラクターの分析過程を話した。

彼はやったことのないキャラクターも演じこなせた秘訣として、パク・フンジョン監督を挙げた。「監督と初めて対話を交わす時に、貴公子がマルコを追う理由に関する根本的な質問から主なストリーまで、全て聞きました。僕は眼差し、話し方の習慣以外にも、どうすればもっと不気味に見えるか悩みました。結果的には監督がよくまとめてくださったと思います」と話した。

キム・ソンホは「演出者が描いたコンテを表現するためには、監督と俳優によりたくさんの対話が必要です。演出者と俳優は生きてきた人生が違うので、深い対話を交わす過程が必ず必要です」とし「例えば緑色についても、ある人は『青い』『薄緑だ』など、違う表現をするように、監督と撮影に入る前や撮影中にも細かい部分まで意見を交わしました」と、パク・フンジョン監督と意見を合わせるために努力したと打ち明けた。

「次回作も一緒にやりたいと思われる俳優になろうと、デビューした時から思っていました」というキム・ソンホは、「パク監督がこんな台本もあると言いながら、『暴君』の出演も提案されました。台本を見て面白かったため、また一緒にやることになりました。他の作品も監督が提案してくだされば、一緒に楽しく、うまくできると思います(笑)。『暴君』をやりながら、監督のディレクティングを『貴公子』の時よりもっと容易に理解できました」と明かし、一つのチームとして作品を作っていけることがとても嬉しかったと話した。

記者 : キム・ボラ