「餌【ミッキ】」チャン・グンソクが語る #5年ぶりのドラマ出演 #バンド活動 #ファンの愛

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※この記事にはドラマのストーリーに関する内容が含まれています。
写真=Coupang Play
Coupang Playシリーズ「餌【ミッキ】」は、史上最悪の詐欺事件を犯して、死の裏に隠れてしまった“あいつ”を追跡する人々の物語を描く。

今年1月に公開された「餌【ミッキ】」パート1では、ク・ドハン(チャン・グンソク)を中心にノ・サンチョン(ホ・ソンテ)、チョン・ナヨン(イエリヤ)、カン・ジョンフン(イ・ソンウク)、ソン・ヨンジン(パク・ミョンフン)らが前代未聞の詐欺事件と連続殺人事件に直面する過程が興味深く描かれた。そして4月7日、パート2が公開された。

5年ぶりにドラマに出演したチャン・グンソクは、元財閥専門弁護士の刑事ク・ドハン役を務めた。これまでのイメージを完全に脱ぎ捨てたタフなキャラクターへのイメージチェンジで好評を得た。

―― パート1に対する満足度はいかがでしたか?

チャン・グンソク:撮影中には編集の過程をチェックできなかったですし、配信前にも監督が何も言わなかったので緊張していました。作品を見た時、満足という言葉よりは達成感があったと思います。最初に感じたのはチームワークです。これまで撮影した中でチームワークが1番良かった作品の1つでした。もう1つは、僕自身5年ぶりのカムバックなので、堅苦しく見えるんじゃないか、緊張している様子が見えるんじゃないかと心配していたのですが、共演した俳優の皆さんが引っ張ってくださり、うまく入り込むことができたと思います。

―― 今まで見せたことのない姿でした。喜びを感じた瞬間はありましたか?

チャン・グンソク:最初の撮影の時でした。この作品を撮影する前は、硬直していました。数ヶ月間演技のレッスンを受けて準備をして、初めて撮影現場に行った時は緊張とときめき、恐怖がありました。最初のテイクで監督がOKサインをくれた時の喜びは、「僕はこのために俳優という仕事をしているんだ」というカタルシスがありました。1シーン1シーンを作っていく時に感じる躍動感みたいなものが集まって、パート1、2まで無事に終えることができました。

―― これほどの経歴があって、演技レッスンを受けるのは簡単な選択ではなかったと思います。

チャン・グンソク:周りからは不思議に思われました。運転を10年間していた人でも、1年ほど休めば慣れないものです。体の中の細胞に記憶は残っていても、それを引き出す作業が必要だと思いました。演技のレッスンは、新しい自分の世界観を開くというより、自分の中の細胞を目覚めさせて、ストレッチをするという感じでした。呼吸法からやり直しながら、大学時代や子役の時を思い出せてすごく良かったです。謙虚になるのも良かったですね。適度な緊張感が適度な謙虚さも作り出す、良い時間でした。

―― レッスンを通じて感じたことは何ですか?

チャン・グンソク:演技レッスンを受けた理由は、新しい何かを生み出すためではなく、自分の中の感覚を目覚めさせる作業だったので、何か新しい自分のテクニックを作るという欲はなかったんです。レッスンが大きな意味を持つというよりは、自分に水をやる感じでした。いくらキャリアが長くても、自分で必要だと思いましたし、誰かに言われたのではなく、自分でやろうと思って演技の先生に連絡を取りました。

―― 先生もプレッシャーを感じたのではないでしょうか?

チャン・グンソク:最初は先生もどのように授業をすればいいのか悩んでいて、「僕を目覚めさせてくれればいい。お任せしたい」と言ったんですけど、最初の授業で僕が大泣きした記憶があります。これまで演技しながら持っていた世界観に関係なく、自分の人生の感情を引き出す作業だと思います。普通の人は感情を100%表現して生きているわけではないですが、俳優たちはそれ以上の感情を引き出す必要があります。これまで自分の人生で誰が1番恋しく、恨めしいかを考えているうちに、号泣してしまいました。先生が「あなたはもう半分はできているよ」と言ってくれて、自信を得ました。良いスタートだったと思います。

―― 復帰作を選ぶ時に悩んだと思いますが、「餌【ミッキ】」に惹かれた理由は何ですか?

チャン・グンソク:「餌【ミッキ】」というドラマを引き受けた理由は、外見的なものやキャラクターよりは、俳優たちのアンサンブルでした。イメージチェンジした姿を見せようとするのではなく、自分が持っている能力の1つだと思って準備する方が良いと思いました。見ていただく方々や現場で、「こんな姿は初めて」という声が多かったです。最初からそれだけを狙っていたわけではありませんでした。ストーリーが魅力的だったんです。親切なドラマではなく、視聴者が一生懸命に探さなければならないですし、シーン1つを逃したら、次のシーンに疑問符がつく作品ですが、そういったクエストをこなしていく作品に参加したいと思っていました。

―― もともと明るい方なので、作品を見てファンも驚いたと思います。

チャン・グンソク:いつもファンの反応を追うタイプですが、今はファンも僕が何をしても満足してくれるとは思っていません。何をしても無条件に、絶対に応援してくれるとは思いません。ファンが僕をサポートできる理由、努力があってこそ、僕を好きになってくれると思います。僕がそのようなサポートを受けたら、絶対にお返ししたくなります。本気でそう思っています。だから自分を応援してくれる人がいるのなら仕事を続けたいですし、納得できるだけの演技を見せなければならないという責任感も持っています。ファンの皆さんも最初は驚いたようですね。あそこまで暗いとは思っていなかったと思いますので。

―― パート1ではク・ドハンに関する叙事があまりなく、感情的にも表現を節制していますが、パート2で変化はありますか?

チャン・グンソク:序盤に作家さん、監督に会った時、台本をたくさん見てからお会いしました。ク・ドハンの背景が少ないと思いました。一次の台本は、今よりもはるかにドライでした。僕がキャラクターを作っていく上でもそうですし、視聴者もク・ドハンの叙事をどのように受け取るだろうかと考え、叙事を作った部分があります。広々としたク・ドハンの家で横になっているシーン、モニターを見ながら、妹に対する記憶で目つきが変わるシーンなどを逃したくないと思いました。親切ではないけれど、そういった装置があれば、このような話をした時に「そういうのがあったんだ」と思えますから。パート2ではもっと説明があります。なぜノ・サンチョンに執着するのか、理由がはっきりと描かれます。

―― 絶頂にいる時に俳優が5年間も休むのは容易ではなかったのではないでしょうか?

チャン・グンソク:僕は今が絶頂だと思っています。自分が頑張って機会を作るのは当然重要ですが、俳優にとって作品、監督、俳優は運命です。除隊後も作品のオファーが全くなかったわけではないですが、果たして僕が戻ってきた時に何をするのかという選択が、これからの僕の道を作ると考えたら、慎重になりました。それで時間がかかりました。

―― ク・ドハンというキャラクターをどのように作りあげていったのでしょうか?

チャン・グンソク:俳優は人生の反対側にあるキャラクターを演じなければならない時が多いと思います。ク・ドハンもそうでした。事前に監督と調律しました。キャッチしたい部分について議論をたくさんしました。ひげを生やしているという設定にもいくつかの意見がありました。最初は僕もぎこちない感じになるかもしれないと心配したのですが、結局はキャラクターの表現能力ではないかと思いました。僕がうまくできたのかは分かりませんが、悩むことが多かったです。パート1で見せたク・ドハンと他のキャラクターの姿が変わるのがパート2なので、そこからはク・ドハンの世界を受け入れることができるのではないでしょうか。僕だけでなく、パート2では(他のキャラクターも)大きく変わります。

―― 5年ぶりに復帰して変わったと思ったことはありましたか?

チャン・グンソク:まず、カメラが小さくなりました。すべての機器が小さくなったと思います。スタッフの年が若くなったのか、僕が年を取ったのか、現場の雰囲気が若くなりました。助監督がファンだったと言ってくれましたが、僕が出会ったスケジューリングの中で最高のスケジュールでした。現場でのスタンバイする時間が10分を超えませんでした。最初は僕より幼くて可愛らしい弟として仲良く過ごさなければと思いましたが「僕が遅れてはいけないな」という緊張感のある現場でした。年齢は僕より若いスタッフでしたが、きびきびと動いていて僕を緊張させました。すべてがスムーズで不満を持つ部分がありませんでした。

―― 空白期の5年間、変身に対する悩みはありましたか?

チャン・グンソク:休みながら、今後僕はどのように生きなければならないか、どんなマインドで生きなければならないかとマインドマップをたくさん描きました。成熟しなければならないですし、礼儀正しくならなければならず、そういった悩みがたくさんありました。僕が最初に感じたことは、“ナチュラルさ”にはどんなものも勝てないということです。何になったとしても、5年間感じたものが自然に表出されることが自信のあることだと思いました。最初は重みを出そうか、厳かな姿を見せるべきだろうかと思いましたが、僕にはそういったものがないようです。

俳優たちとも親しく過ごしていて、「ドラマが終わったら趣味としてこんなことをするよ」という話を交わしましたが、僕は本当にそれをすべてやります。本当に全部やるので、イエリヤさんが「兄さんは本当にやりたいことを全部やって生きているんだ」と驚きました。それが僕だと思います。キャンプが好きなスタッフも何人かいて、撮影をしている時は何もできないので「今度やろう」と言いましたが、撮影が終わって一週間後にスタッフ、監督らとすぐに行きました。4月にまた行くことにしました。

音楽もすごく好きで、趣味で知人たちとバンドをやっていましたが、そのバンドも小さな公演会場で5月にデビューします。CDを出すのではなく、ひっそりとやる予定です。それが僕の充電する方法です。以前は韓国でドラマを撮って、日本でドーム公演をやったら「僕は生きている」という感じがしたのですが、今は小さいところでコミュニケーションをとり、自分のやりたいことをやる、それが必ずしも音楽でなかったとしても、学びたいことを学び、ゆっくりと一日を過ごすのが、今自分にとって重要な休息方法になっています。

―― やりたいことをすべてやっていたら、事が大きくなって当惑したこともありませんでしたか?

チャン・グンソク:僕の人生がそうでした。日本で僕が歌手という職業を持つことになるとは思いませんでしたし、大きな会場で公演をすることになるとも考えられませんでした。漠然といつかはできるだろうと思い、計画的にやったことはありません。運が良かったのだと思います。

―― 相変わらずグンちゃんと呼ばれていることについてはいかがですか?

チャン・グンソク:最もよく聞くのは「アジアプリンス」「グンちゃん」です。アジアプリンスはあちこちで僕自身が言っていたらこうなりました。恥ずかしくはありません、それは今更もう遅いです。グンちゃんというのはファンが作ってくれたニックネームで、親しみやすくて聞き慣れています。アジアプリンスは恥ずかしくはないですが、年齢がプリンスと言うには……そろそろ抜け出す時になったのではないかと思います。それでも星の王子様のような感じで良いのではないかと自分自身に言い聞かせています。

―― これから人間チャン・グンソクの姿をもっと見ることはできますか?

チャン・グンソク:どんな姿であっても、恐れないようにしています。僕の姿が投影された、僕と似たキャラクターでも、正反対なキャラクターでも、結局はやりきるのが僕たちの仕事だと思います。幼い頃から俳優を夢見ながら考えていたのは「僕はこんな俳優になる。こういう役をやるんだ」ではなく、「僕がうまくできることがあればやろう」ということです。まだその気持ちを持っています。「次に何をやるべきだろうか」ではなく、僕ができることがあればやり遂げて、経験したことのないキャラクターであればやりたいです。「餌【ミッキ】」を通じて恐れはかなりなくなったと思います。自信と勇気をたくさん得ました。

―― 最近「SNL KOREA」にも出演されましたね。

チャン・グンソク:一種の大衆に伝える挨拶だったと思います。新しいドラマに出ましたが「俳優として帰ってきました」というよりも、チャン・グンソクらしく、愉快にいきたいと思いました。それが一番僕らしい姿だと思いました。「SNL KOREA」もたくさん会議をして、どうすれば組まれたように見えないかと言った。「ザ・グローリー」のパロディのかつらと衣装は3回ほど変えました。1つのシーンだけでしたがそうしました。若い頃はそういった細かい部分までは考えられなかったと思いますが、今は何か1つやるにしてもちゃんとやりたいという欲があります。滑稽に見えないかと悩んだこともありますが、結論は「だったら何なの?」です。

―― 最も印象的な反応は何ですか?

チャン・グンソク:「ザ・グローリー」では「女装よく似合う」「なぜあそこまで同じなの」でした。タナカに関しては思わぬコメントがたくさんありました。「私が寄付をして家族の助けを借りて元気に暮らしている」から始まって、「なぜ日本人よりも日本人のようなのか」「衣装がムカつく」というようなものです。衣装は皆僕のものでした。こういった反応を大衆から久しぶりにもらったので面白かったです。

―― 「餌【ミッキ】」でOTT(動画配信サービス)プラットフォームのコンテンツを経験していかがでしたか?

チャン・グンソク:少し慎重になる話かもしれませんが、表現の世界が制限されないということに大きな魅力を感じました。「餌【ミッキ】」という作品は、プラットフォームによって性質が変わり得るものであったことは事実です。ジャンル的な特性上、残酷なシーンがあって、はばかられるかもしれません。それを浄化させれば「餌【ミッキ】」は今の「餌【ミッキ】」ではなかっただろうと思います。Coupang Playで世界観を広げることができたのは良い相乗効果だったと思います。OTTの特性だけにこだわるというより、どんな作品がどんなOTTという服を着て照らされるかによって世界観が変わると思うんです。「餌【ミッキ】」は最高の組み合わせだったと思います。演技する上で制限なく表現できてよかったです。

―― OTTの特性上、世界中の視聴者が見守っていましたね。

チャン・グンソク:全世界の評価が9.8点だと聞きました。東南アジアでは初回から反応が良かったです。そういった反応が僕の力になります。僕たちが撮影が終わったからと言って「これで終わり」ではなく、私たちが愛情を持って結束し、PRももっと頑張ろうと思う応援になることもあります。胸がいっぱいになります。5年ぶりに僕がした選択が間違いではなかったのだという安堵もあります。作品を作ってくれた仲間たちに感謝しています。

―― オーディション番組が増え、「プロデュース101」でMCとして活躍したことが再び注目を集めています。

チャン・グンソク:すでに6、7年たつと思います。その時もMCの役割はここまでという制限なく、僕は本当にやりたいことを全部やりました。「ショータイム!」と言うのなども全部やりましたし、撮影のない日も行って見たり。今は公式ができて、MCをやってもその時のように自由ではないと思います。あの時、制限なしで遊ぶような感じでやったのが面白かったです。今は「開かれた音楽会」の方がもっと似合うのではないでしょうか(笑)。

―― ファンを恋人と言って話題になりました。

チャン・グンソク:慎重に接しています。尊重に対する意味があり、2つ目としては、無条件的であるとは思いません。ファンを辞めた人が一番怖いです。本当に怖いです。僕たちの関係は何だろうのかと考えてみると、ファンと僕の関係は恋人と変わらないと思います。お互いに対する責任感、無条件の愛ではなく、条件付きの部分、義務もあります。ファンにいつも「僕たち、恋愛しているのと同じじゃないか」と言いますが、ファンは「くだらないことを言わないで」と言います。僕は本気です。本当に感謝していますし、失望させたくありません。

「餌【ミッキ】」の撮影で、ファンがキッチンカーを送ってくれました。スタッフもこのような撮影現場は初めてだと言うほどサポートをたくさんしてくれました。5年ぶりにカムバックしたからでもあり、「私の俳優、どこに行ってもくじけないで」というマインドなのを分かっています。僕はそれに応えるだけのことをしなければならないと思います。その方たちの努力を無駄にするのは裏切ることですから。5年間休んでいて一番申し訳ないと思った人はファンでした。ファンは僕と性格が同じなんです。情熱的です。過度です。だからいいんです(笑)。5年間で離れたファンもいるでしょう。でも、僕には希望があります。どうせまた戻ってくるだろうと思います。僕がしばらく退屈になったら、別のところに行っても大丈夫です。どうせまた「チャン・グンソクだ」と思うでしょう。

記者 : イ・ミンジ