カンヌで受賞なるか…日韓の強力タッグで実現した映画「ベイビー・ブローカー」の超豪華キャスト5人に再注目

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写真=「ベイビー・ブローカー」ポスター

6月24日より日本で公開される是枝裕和監督の最新作「ベイビー・ブローカー」が、「第75回カンヌ国際映画祭」で最優秀賞を競うコンペティション部門にノミネートされ、注目を集めています。同作は、是枝裕和監督の初韓国映画で、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、IU、イ・ジュヨンら韓国の人気俳優たちが出演し、日韓の豪華タッグに早くから期待の声があがりました。

子供を育てられない人が匿名で赤ん坊を預けていく赤ちゃんポスト(ベイビー・ボックス)を巡り、そこで出会った人々のストーリーを描く「ベイビー・ブローカー」。現在開催中の「第75回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門へ正式出品され、現地で上映されると、観客は12分にも及ぶスタンディングオベーションで絶賛。是枝監督の作品が同部門に選出されたのは、最高賞のパルムドールを受賞した2018年の「万引き家族」以来4年ぶり、6回目。受賞作の発表が近づく中、日韓最高のタッグがどのように評価されるのか、注目が集まっています。今回は、同作に出演した才能溢れる5人の主演俳優をまとめてみました。

◆ソン・ガンホ

写真=「ベイビー・ブローカー」スチールカット、Sublime Artist Agency
ソン・ガンホは、クリーニング店を営みながらも借金に追われ、裏稼業としてベイビー・ブローカーをしているサンヒョン役を演じました。名実ともに韓国を代表するトップ俳優として活躍を続けている彼は、「6~7年前に映画の話を頂いて、関心を持った。前から是枝監督の作品の世界観が好きで、尊敬する芸術家だったのでオファーを貰って光栄だった」と明かしています。是枝監督も「釜山映画祭で出会い、交流を続けていくうちに自然に一緒に映画を作る流れになった」と話しています。

写真=「弁護人」スチールカット
演劇俳優として活動をスタートさせたソン・ガンホは1996年、ホン・サンス監督のデビュー作で、俳優キム・ウィソンが主演を務めた「豚が井戸に落ちた日」に出演。キム・ウィソンの推薦により、長編映画デビューを果たしました。その後、「シュリ」「JSA」「殺人の追憶」「スノーピアサー」「観相師」「弁護人」「王の運命」「タクシー運転手」「麻薬王」など、数々のヒット作で演技力を認められ、数えきれないほどの受賞経験があります。

写真=「タクシー運転手」「パラサイト 半地下の家族」ポスター
ソン・ガンホはこれまで2006年、ポン・ジュノ監督の「グエムル-漢江の怪物-」をはじめとする出演作が7作も「カンヌ国際映画祭」に招待されています。そして昨年は「第74回カンヌ国際映画祭」の審査委員に抜擢。韓国人としては5人目ですが、韓国の男性俳優としては初めて審査委員となり、注目を集めました。そしてソン・ガンホと言えばまだ記憶に新しいのが、主演を務めたポン・ジュノ監督の映画「パラサイト 半地下の家族」が世界的なシンドロームを巻きおこしたこと。同作は「第72回カンヌ国際映画祭」でパルムドールに輝いただけでなく、「第92回アカデミー賞」で作品賞含む4冠を達成。韓国映画の新たな歴史を作りました。日本でも興行収入が40億円を突破し、「私の頭の中の消しゴム」の記録を抜いて、韓国映画1位の記録を作りました。次回作は最近クランクインしたキム・ジウン監督の新作映画「クモの巣」で、今後も韓国映画界を牽引する俳優として、素晴らしい演技を見せてくれると期待されています。


◆カン・ドンウォン

写真=「ベイビー・ブローカー」スチールカット、YG ENTERTAINMENT
カン・ドンウォンは赤ちゃんポストがある施設で働いている、児童養護施設出身でサンヒョンの相棒であるドンス役を引き受けました。彼についても是枝監督は、「東京で出会い、日韓で交流を続け、その中で一緒に映画を作る話になった」と話しています。カン・ドンウォンも「7年くらい前に東京で監督に初めて会った。さまざまな理由でクランクインが遅れたが、昨年やっと撮影ができて、公開を控えているので感慨深い」と心境を明かしました。

写真=「MASTER/マスター」「新感染半島 ファイナル・ステージ」ポスター
モデル出身のカン・ドンウォンは、2003年にペ・ドゥナ主演の「威風堂々な彼女」でドラマデビュー、さらに同年の「1%の奇跡」ではキム・ジョンファと主演に。日曜日の朝ドラマとして放送された同作は、“日曜日の朝、女子大生を起こすドラマ”と呼ばれ、早くから注目を集めました。翌年「彼女を信じないでください」で映画デビューも果たし、「オオカミの誘惑」では日本でも話題に。その後も「チョン・ウチ 時空道士」「私たちの幸せな時間」などでさらにファンを増やしました。そして2010年、ソン・ガンホと映画「義兄弟 SECRET REUNION」で共演。「ベイビー・ブローカー」では約12年ぶりの共演となりましたが、これについて彼は「個人的にあの時より今回の方が息が合ったと思う」と話し、ソン・ガンホも「カン・ドンウォンの成長を感じることができた」と話しています。

写真=「プリースト 悪魔を葬る者」スチールカット
さらに「プリースト 悪魔を葬る者」では司祭、「華麗なるリベンジ」では詐欺師、「隠された時間」では見た目は大人だが心は少年の役など、作品によって自由自在に変身を遂げ、観客を魅了してきました。他にも「MASTER/マスター」「ゴールデンスランバー」「新感染半島 ファイナル・ステージ」「人狼」など、数々の代表作を持ち、圧倒的な存在感を誇り続けています。カン・ドンウォンは今年、イ・ジョンジェとチョン・ホヨンらも契約したアメリカの3大エージェンシーの一つであるCAA(Creative Artists Agency)と契約を締結したことが報じられ、今後の世界的な活躍に注目が集まっています。


◆IU

写真=「ベイビー・ブローカー」スチールカット、EDAMエンターテインメント
IUは、本作に赤ちゃんの母親であるソヨン役で出演しています。是枝監督は韓国で2018年に公開されたIU&イ・ソンギュン主演ドラマ「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」を見て彼女の大ファンになり、ソヨン役はIUしかいないと思いオファーをしたといいます。オファーを受けたIUは、すでに出演が決まっていたペ・ドゥナに電話をかけ、「その役にぴったりだと思う」と言われたことで確信を持ったと明かしました。

写真=「ドリームハイ」スチールカット
2011年、KBS 2TVドラマ「ドリームハイ」で優れた歌唱力の持ち主キム・ピルスク役を演じて本格的に演技を始めたIU。その後、週末ドラマ「最高です!スンシンちゃん」や「キレイな男」「 麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」「ホテルデルーナ」でトップ俳優たちと共に主演を務め、ジャンルを問わず多彩な作品で活躍してきました。IUは2008年にソロアーティストとしてビュー。特に2010年に発表した「Good Day」では、3段ブースター(3オクターブの高音域)を歌い上げ、その歌唱力に注目が集まりました。

写真=「 麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」「ホテルデルーナ」ポスター
その後、シンガーソングライターとしてリスナーを癒やす楽曲で常にヒットを記録し、音楽配信チャート1位、音楽授賞式の常連に。2018年には韓国の女性ソロ歌手として初めて、KSPO DOME(オリンピック体操競技場)で2回の公演を満席で成功させました。さまざまな歌手とのコラボ曲も多数発表しており、特に2020年は同い年であるBTS(防弾少年団)のSUGAとのコラボ曲「eight」が大きな話題となりました。多くのK-POP歌手がロールモデルに挙げるIUですが、これまでに数億円を寄付するなど、率先して善行を行うスターとしても有名です。彼女は次回作として最近、パク・ソジュンと共に主演を務めたイ・ビョンホン監督の新作映画「ドリーム」の撮影を終え、リュ・ジュンヨルらと新ドラマ「The 8 Show」にも出演が決まっています。今後も女優、歌手としてさまざまな姿を見せくれるものと期待されています。


◆ペ・ドゥナ

写真=「ベイビー・ブローカー」スチールカット、ペク・ウナ俳優研究所
ブローカーを追う刑事スジンを演じるのはペ・ドゥナ。彼女は日本で2009年に公開された是枝裕和監督の映画「空気人形」で主演を務め、「第33回日本アカデミー賞」で優秀主演女優賞しています。是枝監督は同作以降、「また必ず一緒に、次は人間の役でと思っていたので、10年越しの夢が叶った」と、約12年ぶりにペ・ドゥナと作品を作ることに喜びを示していました。また彼女はドラマ「威風堂々な彼女」でカン・ドンウォン、映画「復讐者に憐れみを」「グエムル-漢江の怪物-」「麻薬王」でソン・ガンホ、「ペルソナ」でIUとも共演しています。

写真=「キングダム」「静かなる海」ポスター
日本、韓国だけでなく、ハリウッドにも進出している彼女は、個性派女優として限界のない演技を披露し、世界で注目されています。モデルとしてデビューした後、1998年のドラマ「天使のキス」、翌年の「学校1」などで演技の道へ。1999年に公開された日本映画「リング」の韓国版リメイク作品「リング・ウィルス」で貞子役を務め、映画デビューも果たしました。日本では「空気人形」の他にも「リンダ リンダ リンダ」に出演、また2006年の韓国ドラマ「サムデイ」では、韓国人の母親と日本人の父親の間に生まれた漫画家を演じ、流暢な日本語を披露しています。

写真=「秘密の森」スチールカット
さらにトム・ハンクス主演映画「クラウド アトラス」でハリウッド進出。クローン人間やメキシコ人女性など、1人6役をこなし、観客を驚かせました。他にもポン・ジュノ監督の「ほえる犬は噛まない」や映画「私の少女」、Netflixシリーズ「静かなる海」「キングダム」「センス8」、日本ドラマのリメイク「最高の離婚」や「秘密の森」など、数々の話題作で主演を務めてきました。次回作は、現在開催中の「カンヌ国際映画祭」でも注目を集めている映画「あしたの少女」と、ザック・スナイダー監督が演出するNetflixオリジナル「Rebel Moon」です。


◆イ・ジュヨン

写真=「ベイビー・ブローカー」スチールカット、ACE FACTORY
イ・ジュヨンは、ペ・ドゥナ演じる刑事スジンの後輩で、共にブローカーの捜査を行うイ刑事役を演じました。彼女はNetflixでも公開され、日本でも大人気を博したドラマ「梨泰院クラス」に出演。トランスジェンダーの料理人マ・ヒョニ役を見事に演じ、大きな注目を集めました。是枝監督も同作にハマって2回見たと明かしており、同作でイ・ジュヨンに注目し、「ベイビー・ブローカー」のオファーをしたと語っています。

写真=「梨泰院クラス」「野球少女」ポスター
「梨泰院クラス」でホットな女優となった彼女ですが、実は活動歴が長いイ・ジュヨン。2012年に短編映画「遭遇」でデビューし、「春の夢」「夢のジェイン」「ザ・ネゴシエーション」「恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ~」「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」など、多数の独立映画やドラマに出演してきました。彼女は数年前、あるラジオ番組で「世の中に公開された作品は20作ほど、公開されなかったものも合わせれば30作ほどに出演した」と明かしています。

写真=「タイムズ」スチールカット
「梨泰院クラス」の放送後は、映画「野球少女」で女子というだけで壁にぶつかりながらもプロ野球選手を目指す少女、OCNドラマ「タイムズ」では情熱的な記者を演じ、好評を得ました。さらにク・ギョファンと共に主演を務め、「第23回釜山(プサン)国際映画」にて4部門で受賞した映画「なまず」が7月29日より日本で公開されることが決定。今年でデビュー10年を迎える彼女が、今後どんな作品で観客を魅了する演技を披露するのか、さらなる飛躍が楽しみです。

記者 : Kstyle編集部