パク・ジョンミン「ファンのため、できることは何でもする」

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パク・ジョンミンの活動が興味深い。高麗(コリョ) 大学に入学したが、俳優を夢見て中退した彼は、韓国芸術総合学校に進学した。2011年の映画「Bleak Night」でデビューし、印象深い演技を繰り広げた。低予算、独立、商業映画とドラマに出演し、しっかりとフィルムリストを築いた。しかし彼は“逃避留学”を考えていた程、スランプに陥っていた。多数の映画祭において彼に新人賞を抱かせた映画「空と風と星の詩人 ~尹東柱の生涯~」の撮影の時だった。しかし映画を撮りながら「僕の好きなことは演技だ」ということを改めて悟った。以来、再び戦闘モードだ。tvN「アントラージュ」に出演し、演劇「ロミオとジュリエット」の舞台に立った。昨年は、散文集「役に立つ人間」を出版した。今年は、映画「念力」(監督:ヨン・サンホ)、「それだけが僕の世界(仮題)」(監督:チェ・ソンヒョン) そして、「狩りの時間」(監督:ユン・ソンヒョン) まで、目が回るほど忙しい。

――「それだけが僕の世界(仮題)」の撮影準備中だと聞いた。

パク・ジョンミン:本格的な撮影は6月から入る。ピアノも学んでいて、準備しながらチェ・ソンヒョン監督とあれこれ話をたくさんしている。監督と話すのが良いところは、お互いが映画を非常に愛しているというベースが敷かれているからだ。大変だが今現在は幸せだ。友達のように過ごしながら話をしている。

――「それだけが僕の世界」で、兄弟として共演したイ・ビョンホンとは会ったか?

パク・ジョンミン:まだ正式に会っていない。イ・ビョンホン先輩は今、映画の撮影中だ。イ・ビョンホン先輩とは映画授賞式で3回だけ顔を合わせた。授賞式で顔見知りとなった。見るたびに「僕たち、ここでしか会いませんね」と握手を求めたが、僕はその話を実際に耳にしたのか、よく分かっていなかった。本当に尊敬する先輩なので、夢心地だった。

――ユン・ソンヒョン監督の「狩りの時間」への出演は、ほぼ確定なのか?

パク・ジョンミン:監督が呼んでくださった。「Bleak Night」の後、久しぶりに作業をすることになった。デビュー作の監督だ。僕にとって恩人でもあり、また僕が本当に好きな兄さんだ。7年の時間が経過して一緒に映画を撮ることになった。「Bleak Night」を撮るときは、僕は0(ゼロ) ベースの状態だったので、体得していった。撮影をするとき、監督と僕はお互いの目を見ただけでも、何を話しているのか分かるほど話をたくさんした。今では僕も僕なりの考え方があるが、監督と僕の距離がどれくらい離れているかも気になる。

――「The Artist: Reborn」で呼吸を合わせたリュ・ヒョンギョンとは、仲良しとして有名だ。

パク・ジョンミン:デビュー当時から知っており、活動しながら、ますます親しくなった。今回の作品を撮りながら色々と学んだ。あそこまで熱心にする人はあまり見たことがない。本物に見えるように最後まで深く追求する。そうやって一生懸命準備して、カメラの前では力を抜いて演技しているのを見て感動した。激しく準備はするが、撮影する瞬間、それを解いてしまう姿に心から拍手を送った。

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――「ザ・キング」にもちょっと出演していた。どうやって出演できたのか。

パク・ジョンミン:シナリオがとても面白かった。ハン・ジェリム監督と知り合いで、お役に立てれば何でもやりたいと言っていた。ハン・ジェリム監督が、小さい役柄だよと慎重に提案した。僕は当然「する」と答えた。現場はとても楽しかった。4回しか現場に行かなかったが、本当に行きたくて仕様がなかった。僕の好きな先輩たちと共演して、監督が映画を撮る姿を見ることができて不思議な感覚だった。僕には色々な面で良い経験だった。

――休む時は主に何をするか。

パク・ジョンミン:じっとしている方だ。横になってリモコンだけ触ってる。旅行も好きだが、与えられた時間が決まった時だけ行く。それを除いては家から出ない日が多い。

――文章も寄稿しているではないか(パク・ジョンミンは、マガジンに毎月“オヌィ”というペンネームで文を書いている)

パク・ジョンミン:締め切りが近づくと「もう締め切り日だ」と思い立ち、文を書き始める。俳優が“締め切り”の話をするから変だな(笑)

――色々とやっていることが多いからか、とても真面目そうに見える。

パク・ジョンミン:僕は本当にめちゃくちゃだらしがない方だ。仕事がない時は、24時間でも寝たっきりでいれる。僕を起こしてくれるのは自虐だ。僕は、自分で髪を引っ張り上げないとダメだ。「やりたくないな」と思いながらも「ダメだ」「起きるんだ」「どうするんだよ」と考えながら起きる。

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――現在、パク・ジョンミンを応援してくれるファンが多い。

パク・ジョンミン:僕はそれがとても不思議だ。僕を好きになってくれる方は、僕の何を見て好きなってくれるのかよく分からない。僕の顔がハンサムな訳でもないのに。劇場や公演会場にわざわざ来てくれる人がいて、その方たちにできることは何でもやろうと思っている。

――何をしてあげるのか?

パク・ジョンミン:写真も撮ってサインもする。ファンは、一言でも話したいし、顔見知りになろうとしていて、それ位は僕が十分にやってあげれることだ。名前も覚えようとする方だ。自分の時間とお金を投資して来る方たちなのに、それくらいの喜びはやってあげたい。もし僕が受け入れられないほど人が多くなれば、別のイベントをしたいと思う。僕の傍にいてくれるだけでも有り難い。大衆の前に立つ人にとって、ファンとは誠に大切な存在だ。

――パク・ジョンミンはどんな俳優を夢見ているのか。

パク・ジョンミン:僕が尊敬する先輩たちのようになりたい。ソン・ガンホ、チェ・ミンシク、クァク・ドウォン、ファン・ジョンミンなど、忠武路(チュンムロ:韓国の映画界) を導いていく先輩たちのように、演技も上手くやって長く楽しく演技をしていきたい。

記者 : チョ・ヒョンジュ、翻訳 : 前田康代、写真 : チョ・ジュンウォン