リュ・ジュンヨル「感情の演技をしないことが演技だと思う」

10asia |

写真=俳優リュ・ジュンヨルが16日、ソウル市鍾路区(チョンログ)三清洞(サムチョンドン)のカフェで10asiaとのインタビューに先立ちポーズを取っている。

俳優リュ・ジュンヨルは2015年の映画「ソーシャル・フォビア」でデビューした。tvN「応答せよ1988」(2015) で注目を浴びた後、すぐにMBC「運勢ロマンス」(2016) で地上波主演に抜擢。2年間で出演した映画だけでも5本になるほど休むことなく動いた。18日に公開された映画「ザ・キング」(監督:ハン・ジェリム、制作:宇宙フィルム) は、絶え間ない作品活動で成長を遂げてきたリュ・ジュンヨルの真価を垣間見ることができる。チョ・インソン、チョン・ウソン、ペ・ソンウなどそうそうたる先輩たちの間で、リュ・ジュンヨルは手ごわい存在感を見せつけた。彼は自分のステップを裁かず、一歩ずつ愚直に進んでいた。以降リュ・ジュンヨルは「タクシー運転手」「沈黙」「リトル・フォレスト」の順に出演。多多益善(タダイクソン:多ければ多いほど都合がいいこと) と言うではないか。リュ・ジュンヨルが公開する作品は多ければ多いほど良い。

「ザ・キング」は、最初の商業映画でした。感想をお願いします

リュ・ジュンヨル:ぎこちなくて恥ずかしい気持ちが大きかったです。だから、僕が出てくる場面は目を背けました。

暴力団トゥルケ派の第2位チェ・ドゥイル役を演じました。特に努力した点はありますか。

リュ・ジュンヨル:これまで、複数のメディアで見てきた暴力団の姿は排除しようと努力しました。典型的な暴力団のように見えないようにしたかったんです。劇中では、むしろ検事が暴力団のように見えるので。だから僕も「僕が検事役をするとしたら、どんなふうに演技するだろうか?」という考えで臨みました。入れ墨は、撮影するたびに3時間ずつかけてやりました。機械ではなくて、実際のタトゥーイストがペンで描きました。

木浦(モクポ) の方言も印象的でした。

リュ・ジュンヨル:練習をたくさんしましたが、母親が群山(グンサン) 地方の出身なので方言を使うんです。だから母や叔母と会話をするときに方言を使う方なので、撮影現場でも大変ではありませんでした。方言の先生も特に気に留めなかったので、木浦の方言と大きく異なる部分を除いては、気にせず演技しました。

ドラマ「運勢ロマンス」と撮影を並行したと伺いました。全く別のキャラクターなので、難易度が大きかったと思うのですが。

リュ・ジュンヨル:確かに容易ではなかったです。「ザ・キング」を撮影しに釜山(プサン) に行く車の中で、チェ・スホからチェ・ドゥイルへ変身をしようと努めました。移動する車の中で台本を見ながら、変化する時間を持ちました。チェ・スホとチェ・ドゥイル、二つのキャラクターに対する愛着が大きいです。それぞれの醍醐味がありますから。全く別の人物ですが、2人とも“人間的”な人物。制作スタッフがたくさん配慮をしてくれて、大きな事故なく撮ることができました。この場を借りて感謝の言葉を述べたいです。

本格的なアクションは初めてだったと思います。怪我はしませんでしたか?

リュ・ジュンヨル:体を動かすのが大好きなので、特に困難なことはなかったです。この先の俳優人生で撮るであろうアクション映画が期待されるほどでした。アクションチームと呼吸を合わせるのは初めてでしたが、技術的に学んだので興味をそそられました。器用にしっかり学ぶようだと賞賛もしてもらい気持ちが良かったです(笑)。

チェ・ドゥイルのどんな部分に重点を置いて演技しようとしたのかが気になります。

リュ・ジュンヨル:演技の面で何もしないようにしました。感情の演技をしないようにしようと。(チョ) インソン先輩が「演技をしているのに、演技しているように感じない」と言ってくれてとても嬉しかったです。まさに僕がやりたかった演技です。映画は、人に関する話だと思います。僕たちが生活する上で、露骨に感情を表現する瞬間は思ったより多くない。当然感情はありますが、顔や言葉で激しく表現するよりも、自分が感じる感情が顔に自然に滲み出てくる。その点が僕が指向する演技であり、宿題と思うのですが、インソン先輩がそれがうまく表現されたと言ってくれて嬉しかったんです。

ハン・ジェリム監督は、リュ・ジュンヨルさんのどんな姿を見てキャスティングをしたと言っていましたか。

リュ・ジュンヨル:「応答せよ1988」を観たと言っていました。ずっと見ていたのではなく、たまたま途中途中で見て、そこで僕に対する印象が深かったと言ってくれました。

ハン・ジェリム監督との息はどうでしたか。

リュ・ジュンヨル:僕がすごくファンでした。演出された映画がとても好きで。作品をご一緒することにした決定的な理由も監督でした。現場でもたくさんリードしてくださり、僕もたくさん頼りながら撮影しました。

「ザ・キング」の魅力を言うと?

リュ・ジュンヨル:特定の職業における権力を話している姿は、不思議に感じると思います。また、映画自体が時局(情勢) とかけ離れていません。劇中の人物たちをどのように滑稽に表現し、描くかを悩んだ作品なので、楽しんで観てもらえると思います。

観客には「ザ・キング」をどのように見て欲しいですか。

リュ・ジュンヨル:映画自体がとても愉快で痛快な感じがあります、爽快さも。映画が与えるいくつかのメッセージがあるのですが、ご覧になる人それぞれ受け止め方が異なるんじゃないかな? 各自の解釈で映画を楽しんでほしいと思います。

記者 : チョ・ヒョンジュ、翻訳 : 前田康代、写真 : イ・スンヒョン