IU「不安で憂鬱だった」成功の裏側とは…闇を抱えた彼女の物語

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写真=FAVE エンターテインメント
IU(アイユー) は、音源さえ発売すればランキング1位は当たり前の“音源強者”である。コンサートの一部をフィーチャリングした他の歌手の歌で構成するほど愛されている歌手だ。しかし、なぜか彼女の何曲かの歌は、憂鬱で重々しい。どうしてだろうか。

IUは3日と4日の二日間、松坡(ソンパ) 区オリンピック公園SKオリンピックハンドボール競技場で2016年単独コンサート「二四歩:一二三四」を開催した。アンコールを含め26曲を一人でライブで歌い、3時間以上の公演をリードした。

IUは、2009年「Boo」でポップな魅力をアピールし、翌年「マシュマロ」でイメージを根付かせた。2010年には「Good Day」で3段高音を披露し、一躍スターになった。その後は、リリースする度に音源ランキングと音楽番組1位を総なめにし、代表的な女性ソロアーティストとして定着した。

しかし、彼女のデビュー曲は全く違う雰囲気だ。2008年に発売した「迷子」は訴えるようなボーカルが印象に残るオーソドックスなバラード曲である。若々しい少女のイメージがある彼女だが、実は専門家たちはIUの音楽と声には恨(ハン:韓国特有の恨みの感情) が潜んでいると声を揃える。彼女が作った曲はなおさらそうだ。これには、理由があった。

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4日に開かれたコンサートでIUは「私の話をたくさんしたかった」とトークと歌を組み合わせて行った。IUは10年前、LOENエンターテインメントの練習生だったころを思い出し「私は暗くて人見知りが激しい方だ。練習生の中でもうまく混ざれない末っ子だった。独りでいるのが好きだった。現実よりよくなった未来を一人で夢見たりしていた」と話し始めた。

続いて「練習生の宿所は高級マンションだったし、ましてや他の練習生たちとは違って広い一人部屋を使わせてもらった。そのように温かい所にいたにもかかわらず、心の醜い私だった。宿所に行きたくなかったし、毎日自信がなかった。その暖かさが、私をさらに寒くした」と言い、「嫌な日」と「迷子」を歌った。ギターを弾きながら歌をうたう彼女の声に、ファンたちは息を潜めて清聴した。

IUは他の練習生に比べて10ヶ月という短い期間でデビューした。歌がヒットするほど、彼女は次第に忙しくなった。しかし彼女が歌手になったことを実感したのは、デビューして6年が経った2014年だそうだ。「春、恋、桜の花じゃなくて」、「君の意味」、「SOGYEOKDONG」などをフィーチャリングしてリメイクした曲が溢れる愛を受けたためだった。

今年のアーティストになるほど高い所に上り詰めた彼女だが、一方では憂鬱で不安だったそうだ。IUは「自分で自分を蔑んでいた。自分を嫌った。活動したくなくて、家に隠れていた。たくさん食べて、眠れなくなった。不眠症になって仕事の能率が下がり、意気消沈になる悪循環が繰り返された」と打ち明けた。

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そのような状況で彼女は、昨年初めてアルバムのプロデュースを担当し、4thミニアルバム「CHAT-SHIRE」を発売した。しかしタイトル曲「二十三(Twenty-three)」を始め、収録曲「Zeze」などが色んな騒ぎの基となった。成功したミュージシャンとして右肩上がりの勢いを見せていた彼女には、人生最大の試練だった。

悩んだ末に、あるがままの自分を音楽に盛り込もうとしたIUとしては気を落としたはずだ。彼女は「本当に苦労して作ったアルバムだった。終わった日は、逆にぐっすり眠れた。でも、足りないところも、抜かりも多かった。つなぎ目がでこぼこしていたが、過剰包装しない、それが私だった」と本音を打ち明けた。

2015年、23歳に激しい成長痛を経験したIUは、歳をもう1歳取り、彼女なりに成熟した。もう来年は25歳。彼女は「結構明るくなった。幸せ発信者になった。デビュー以来、最近が最も良い。健康な音楽をお聞かせしたい。来年は、自分がもっと好きな歩みを歩きたい」とカムバックを予告した。

4日のコンサートの日は、IUがデビューして3000日目だった。いつの間にかデビュー10周年を目の前にしていることになる。明るい顔の裏に闇を隠していた彼女が、25歳にはどのような音楽を聞かせてくれるだろうか。

記者 : パク・ソヨン