コン・ユ「『新感染 ファイナルエクスプレス』がカンヌに招待されたと聞いた時、正直理解できなかった」

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映画「釜山(プサン) 行き」が、コン・ユの人生においてターニングポイントになるとは、誰も予想できなかった。期待より懸念の方が大きかった。韓国映画界初のゾンビ映画である上に、多少平面的に見られる可能性があるキャラクターだ。それでも飛び込んだコン・ユだ。目立つという欲よりは、自分だけが放つことが出来る雰囲気を、素材の危険性よりも挑戦が持つ意義に「新感染 ファイナルエクスプレス」に参加した彼は、大きなやりがいをカンヌ映画祭で満喫した。

「第69回カンヌ国際映画祭」ミッドナイト・スクリーニング部門に公式招待された「新感染 ファイナルエクスプレス」はルミエール大劇場で上映され、カンヌを熱く盛り上げた。ゾンビウィルスから娘を守るために奮闘するファンドマネージャー、ソグを演じたコン・ユはデビュー15年目にして「カンヌ国際映画祭」のスタンディングオべーションを初めて感じた。映画祭執行委員長が「歴代カンヌ映画祭最高のミッドナイト」と驚いたほど、異例的で熱い反応だった。

若手スター、ラブコメディのキング、ファッショニスタ、芸能人という修飾語を脱ぎ捨て、いよいよ俳優として認められた気分だったと話した。さらに、なぜ今になってこんな気分を感じられたのか、また違う悩みに陥ったそうだ。フランス・カンヌでコン・ユに会い、映画に対する様々な話をした。

■以下はコン・ユとの一問一答

―初めてカンヌ映画祭レッドカーペットを歩いた感想は?

コン・ユ:海外映画祭に初めて参加できただけで、ときめいたし、嬉しかった。それだけでも感謝すべきことだ。正直「新感染 ファイナルエクスプレス」がカンヌ映画祭に招待されたと聞いたとき、理解が出来なかった(笑) 撮影のときは知らなかったヨン・サンホ監督のオーラを改めて感じている。現場では無礼だったことを反省し、今はすごく丁寧に接している(一同爆笑) 2500席近い劇場で「新感染 ファイナルエクスプレス」を見たときの気分は、言葉では表現できない。

―デビュー15年目にして初めての海外映画祭だ。

コン・ユ:そうだ。15年間演技をしながら初めて感じた刺激だった。現地の観客は僕をまったく知らない。「新感染 ファイナルエクスプレス」に出てくる俳優だということ以外は、どんな情報も知らないのにスタンディングオべーションをしてくれるから、いくら形式的な拍手だとはいえ、嬉しかった。スター、芸能人という修飾語ではなく、俳優として受ける拍手のようで嬉しかった。

―「新感染 ファイナルエクスプレス」に出演したきっかけが知りたい。見方によってはとてもフラットなキャラクターだが。

コン・ユ:説明するのは難しいが、気楽に見られるフラットなキャラクターが好きなようだ。僕にとってはキャラクターが強いか、強くないかは重要な問題ではない。僕が作品の中でどんな雰囲気を作り出せるかがポイントだ。社会告発的なアニメーションを作る監督が、韓国で初めてゾンビ映画を作るということ自体が新鮮だった。単なる商業映画ではなく、少しメッセージを添えたところが良かった。

―「容疑者」「密偵」「新感染 ファイナルエクスプレス」まで、最近制作費が高い映画に立て続けて参加した。

コン・ユ:プレッシャーを感じている。「容疑者」のとき、僕は演技さえちゃんとすればいいし、迷惑をかけなければいいという考えが変わり始めた。そのときから、損益分岐点という言葉をたくさん使うようになった。昔よりは大人になった気分もある。

―初めての災難映画だ。従来の作品との違いは何だろうか。

コン・ユ:大きな違いは無かった。一番大変だったのは、感染者を演じた方々だ。3ヶ月以上ハードトレーニングを受けた。僕がいつも話しているのは、僕たちの映画の本当の主人公は感染者を演じた方だということだ。本当に感動した。

―カンヌで過ごした日々の記憶が、俳優コン・ユの人生においてどんな意味を持つと思うか。

コン・ユ:韓国に帰ったら“ふとした瞬間”に思い出しそうだ。こんな気分をなぜ今になって感じているんだろう、考えが多くなる。俳優を15年もやってきたが、こんな刺激を今受けられたことについ悩んでいる。連続で作品に出演していたので疲れていた。大きな応援になった。得体の知れない自信もついたようだし、色々良い影響を与えた。気持ちよく韓国に帰ることができそうだ。

記者 : キム・スジョン、写真 : キム・ジェチャン