「花より」シリーズ&「三食ごはん」が連続ヒット!ナ・ヨンソクPDが休まず走り続ける理由

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写真=イ・ソンファ記者
まさに黄金を作るミダスの手だ。細かい日常も“黄金”の価値に作り上げる。“クリーンなバラエティ”の新しい風を巻き起こしたナ・ヨンソクプロデューサーのことだ。

自他共に認めるスタープロデューサーとして名をとどろかせているナ・ヨンソクプロデューサーは2013年1月、tvNに移籍した。その年の7月、旅行バラエティ「花よりおじいさん」を手がけ、“旅行バラエティ”の新たな歴史を書いた。「花よりおじいさん」はtvN開局以来もっとも高い初放送視聴率(最高視聴率5.39%、平均視聴率4.15%)を記録した作品でもある。その後、“台湾編”と「花よりお姉さん」「花より青春」などを連続ヒットさせた。

ナ・ヨンソクプロデューサーはKBS 2TV「1泊2日」時代からすでに旅行素材では定評のあった演出家だ。そんな彼の魔法は、生活バラエティでも光を放った。一日3回ご飯を作って食べるというシンプルなコンセプトの「三食ごはん」まで話題作りに成功したのだ。このような関心を証明するかのように、初放送は9.68%(ケーブル基準)を記録した。なんと10%近い数値だ。「三食ごはん-漁村編」は9.2%で華麗なフィナーレを飾ることに成功した。

放送界で前代未門の伝説を残している“スタープロデューサー”ナ・ヨンソクプロデューサーに会い、彼の作品世界に対する信念および本音を覗いてみた。

―高い視聴率、満足でしたか?

ナ・ヨンソク:個人的な考えですが、これほどに高い視聴率が取れる番組ではありません。マニア層が“粘り強く”楽しんでくれればと思いました。それで満足しています。視聴率に対する目標は立てていませんでした。「三食ごはん」や「花より~」シリーズは「1泊2日」のように大衆的で娯楽的な性格ではありません。むしろ静かで退屈なほどです。ここでもっと上がっていたら、恐らくアイデンティティが揺らいだと思います。

―「花より~」から「三食ごはん」まで、失敗しない要因は何だと思いますか?

ナ・ヨンソク:そうですね。分かりません。イ・ウジョン作家が一緒にいるからだと思います。僕たちスタッフはみんな古い仲です。昔からやってきた作業方式があります。大規模生産ラインから、今は多品種少量生産に変わったぐらいでしょうか。大手企業で働いた後、小さな会社を作った気分です。大変ではありますが、本当に楽しかったです。プロデューサーとしてこれより楽しいことはありません。やりたい素材があれば、その時々でできるじゃないですか。しまっておいたり、腐らせないということ、それが最高です。

―「三食ごはん」の企画意図は?地上波のときとはかなり変わりました。

ナ・ヨンソク:プレッシャーはすごかったです。最初企画するときも“視聴率は低くてもいい”と思いました。面白さを諦めても情緒という部分を持っていきたいと思いました。少しの間でも悩みを忘れたいという、そんな気分です。最近、視聴者は共感も視聴ポイントの一つとして取り上げるじゃないですか。「人間の条件」「私は一人で暮らす」などの番組も同じです。それで、出演者の数も少なくしました。4~5人が集まると、お互い冗談を言おうと大騒ぎになります。空間も限定しました。もちろん、地味だと思いました。まさにその地味な情緒を利用して風の音、料理する音を聞かせたいと思いました。些細な日常のようなものを見せたいと思いました。“余白の美”といいましょうか。ダメかもしれないと覚悟しました。

―農村、漁村が似合わない都会的な出演者をキャスティングした理由は?

ナ・ヨンソク:“田舎っぽくない”方をキャスティングしたのは事実です。いきなり田舎に落とされて次第に変わっていく姿を描きたいと思いました。漁村編は特別です。チャ・スンウォンさんは誰が見ても都会的です。しかし、家事の腕は意外です。ユ・ヘジンさんもそうです。純朴な顔をしていますが、絶対に田舎者ではありません。焼酎も飲みますが、ワインが大好きです。チャ・スンウォンさんより都会的です。そんな二人のケミストリー(共演者同士の相性)が気になりました。イ・ソジンさんと2PMのテギョンは兄弟コンセプトでした。年の差および経歴の差がかなりありました。チャ・スンウォンさんとユ・ヘジンさんは古い仲です。実際に親交もありますし。“夫婦のような呼吸”が出来た理由ではないかと思います。

―急に投入されたソン・ホジュン、チャ・スンウォン&ユ・ヘジンとの相乗効果、期待していましたか?

ナ・ヨンソク:ご存知の通り、ソン・ホジュンは元々メンバーではありませんでした。「三食ごはん」の当初の企画意図は、40代の男性二人と、若い男性一人が描く物語を届けたいと思いました。ソン・ホジュンは緊急状況で投入されました。最初のゲストとして来て、自然に溶け込んでいたので合流を決めました。あれこれ選んでいる暇もありませんでした。

―チャン・グンソクの編集は改めて考えても残念ですね。

ナ・ヨンソク:心が痛いです。チャン・グンソクも晩才島(マンジェド)で長い時間苦労しましたから。公人として仕方なく降板を決めました。しかし、自然人としては心がとても痛かったです。すべて編集するつもりはありませんでした。しかし、ところどころ登場しているのを見ていると、それも何だか違うと思いました。いない人のように見えるのがあまりにも申し訳なくて。

―「花よりおじいさん」の旅行地として再びヨーロッパを選びました。

ナ・ヨンソク:歴史的背景が重要でした。それから、冬にしては暖かかったです。先生たちが好きな場所でもありました。

―「花よりおじいさん」の最強ケミストリーを選ぶとしたら?

ナ・ヨンソク:イ・スンジェ先生とイ・ソジンさんです。二人を見ていると気分が良くなります。イ・ソジンさんがイ・スンジェ先生を、実際に自身のお爺さんのように接します。とりわけ気をかけます。先生のことが大好きだからというのもあります。

―「花よりおじいさん」シリーズ、いつまで続くでしょうか?

ナ・ヨンソク:機会があるたびに行きたいです。先生たちと一緒に行く旅行が本当に嬉しいです。まるで自分のお爺さんと一緒に旅行に行くような気分です。「花よりお姉さん」「花より青春」も可能性はいつも開かれています。

―番組の連続ヒット、休まず走る理由が気になります。

ナ・ヨンソク:会社としても様々な番組が必要な時期です。移籍してから2年ぐらいになりました。番組は僕一人で作るものではありません。今は後輩たちを軟着陸させているところです。いい力量が維持されるぐらいになれば、一息つく計画です。まだ後輩たちが学ぶ時期です。伝えるべきことがとても多いです。

―時代の流れを読んでいるという好評も多いですが。

ナ・ヨンソク:洞察力があるわけではありません。運が良かっただけです。僕は今年で40歳です。私たちの社会でもっとも平均的な時期を過ごしています。人生においてもそうです。なので、大衆的で一般的な悩みが何かを良く知っています。会社生活を10年以上やっていると、実は本当に辛いです。うるさく賑やかな人生が懐かしいです。「田舎でご飯を作ってのんびりしたい」と思うようになるのです。オーガニックライフカルチャーを作ろうと決めたのではなく、トレンドをリードしたわけでもありません。50代になれば恐らくひっくり返ると思います。

―「花より~」「三食ごはん」に続く新たな計画はあるのでしょうか?

ナ・ヨンソク:計画を立ててはいません。その時々、大衆の趣向を反映しようと努力しています。これからもアンテナを張り続けます。

記者 : キム・プルリップ