「バトル・オーシャン/海上決戦」クォン・ユル“一喜一憂しないチェ・ミンシク、父であり将軍だ”

OSEN |

以前は見たことのない李舜臣(イ・スンシン)の息子。だから一層俳優クォン・ユルの李薈(イ・フェ)は特別だった。観客に将軍李舜臣を超えて、父親李舜臣の温かい一面を感じさせたのが李薈だったためだ。

1500万人の観客動員数突破を控え、韓国歴代最高の興行作になった「バトル・オーシャン/海上決戦」(キム・ハンミン監督)の記録的な興行にお祝いの言葉を述べると、明るく笑いながら「ありがとうございます」と答える。父チェ・ミンシクの反応を聞いたら、クォン・ユルは「一喜一憂しない。相変わらず落ち着いていて静かだ」と答え、チェ・ミンシクの性格を伺わせた。

「僕の役は、みんなが知っていた英雄李舜臣ではなく、父と息子、人間李舜臣を見せられるという点でとても光栄に思いました。李薈という息子は、実際もああだったのではないでしょうか。父と息子の会話が観客にちゃんと伝わってほしいと願いました」

スペクタクルな海戦シーンに参加できなかったのが、俳優としては残念でもあったという。映画的には朝鮮軍と日本軍が戦う状況で第三者の役割をしたのだ。しかし、クォン・ユルはそれを客席、スクリーンを見る観客の視線だと考えたという。「剣を振り回すことも意味があったと思いますが、残念な気持ちよりは感謝すべきところが大きいポジションだったと思います」

演出を務めたキム・ハンミン監督に対して「カリスマ性が溢れるが、きれいなディレクションをする」と説明する彼に、キム監督がなぜ李薈役に自身を選択したと思うかと質問した。

「演技をしながら大変だと思った時が何度もありました。能動的な行動をする人物ではないですが、感情的に父の気持ちを知りたがって、そこに複合的な民としての感情もあります。観客が李薈を通じて人間李舜臣を感じさせる機能的な役割もしなければいけませんでした。頭の中が非常に混乱していて、監督に『なぜ僕をキャスティングしたんですか?』と聞くと、『君の演技が上手だったからでもなく、彫刻のようなイケメンであるからでもない。李薈は将軍の気持ちをまともに受けて抱いていなければならないが、その気持ちが見えた』と答えてくれました。それを聞いて本当に感謝する気持ちで演技しました」

もっぱら将軍の気持ちを汲み取ることに集中したという彼だ。撮影途中に演技の悩みがある時、李舜臣の「乱中日記」を読んでみたりもした。その時は、父が書いた日記を後で息子が成長して見た時のように込み上がってくるものがあったという。父であり将軍である李舜臣が、自身が直面した暗い状況の中で1つずつ炎が消えるまでどうやって戦っていったかに対するストーリーが小説ではなく歴史の記録だと考えると、身震いするほど実感が湧いてきたという。

李薈役を演じながら、もっぱら李舜臣に対する、またこんな李舜臣を演じた先輩チェ・ミンシクの気持ちを理解しようとし、知ろうとした。「塑像という感じがした。今までは彫刻のように固まりから削って役作りをしたとすれば、李薈は骨からくっつけていきました。そのサイズも僕が決めるものではありませんでした。どれだけ大きくすればいいのか、そんなサイズの限界を決めずに父に対する気持ちだけ追っていこうと思いました。今回の作業は逆の方向からアプローチしたのです」

インタビュー中にチェ・ミンシクを父または将軍と呼び、愛情と尊敬を表す彼に、後輩から見るチェ・ミンシクはどんな人でどんな俳優かを聞いた。

「父親将軍の真の心は、一瞬足りとも嘘だった時はありませんでした。演技する時に集中度がものすごいですが、楽にさせる時はさせてくれます。一方で、後輩たちにいつもいいアドバイスをしてくれます。先輩の率先さは現場では有名でした。冗談を言いながらも『俳優としてこれだけは覚えておきなさい』とポイントをさらりと教えてくれます。父が言った言葉は忘れられません。終始いい言葉ばっかりだと、そうはならなかったと思います。10分ほど正確に教えてくれますが、父が感じた試行錯誤を減らせるように助けて下さいます。現場ではそんな将軍にエネルギーを与えたかったです。人生を生きながら悩みを相談できる心強い父を得たことに感謝するばかりです」

もう一度「バトル・オーシャン/海上決戦」を撮影することになったら、李薈ではなくどんな役に挑戦してみたいかと聞くと「また李薈をやりたい」と答えた。

「本当にどんな役でも変えられません。李薈はいい息子でその年頃の熱い心を持った青年です。もう一度演技できるチャンスがあれば、その年頃の血気盛んな姿、もっと熱い武人の姿を表現したい気持ちはあります。今回の李薈が落ち着いてしっかりした姿だったとすれば、優しくまっすぐで父を支持する気持ちを重心に持ちながらも、自分が先に出て戦いたいし、沸き立つエネルギーが溢れる武人青春の感じをもう少し加えて、より立体的な役にしたいです」

ドラマ「私に嘘をついてみて」「ブレイン 愛と野望」「優雅な女」、映画「 私のチンピラのような恋人」「嘆きのピエタ」「イントゥギ」等、テレビと映画を行き来して着実にフィルモグラフィーを積んでいる彼にターニングポイントになった作品を聞くと「すべての作品から学んで得た」と成熟した答えをする彼だ。そんな彼にも1500万人の観客動員数を目前にして韓国歴代最高の興行作となった「バトル・オーシャン/海上決戦」は、数字上でもメッセージ的にも格別なはずだった。

「『バトル・オーシャン/海上決戦』という映画を支持してくださり、何より感謝しています。俳優としていつ経験できるかわからないことを経験させてくださり、本当に感謝しています。417年間李舜臣将軍への国民の尊敬が消えずに残っていたと思います。また、李舜臣将軍について知っていることは知っていても、詳しくは知らなかった人々が将軍を少しでも思い返せるようにしたことに意味を持っています。映画が教育をしたとは思いません。ただ、光化門(クァンファムン)交差点に立てられている彫刻像が、単なる彫刻像を超えて、どんな人物だったかを考えさせる余裕を与える作品だったことが、俳優として幸せです。李薈としては、今まで知っていた李舜臣の姿ではなく、人間李舜臣を見せる観点からアプローチした役です。李舜臣をスーパーヒーローではなく、一人の人間として苦しい思いをしながら自身を投げ捨てて戦った、そんな人物として見てもらいたいです」

記者 : チェ・ナヨン