“1位獲得”VIXX、奇跡を成し遂げた…彼らの「1万時間」に期待する

10asia |

「切に願うと、現実になる」

2006年に発刊された「ザ・シークレット」の核心的な主題は、単にこのように要約できる。著者ロンダ・バーンは“引き寄せの法則”でこの主題を説明した。前向きな考えと切なる願いが出会った時、強力な力が発揮されるという著者の主張が盛り込まれたこの本は、全世界ベストセラーとなった。

「ザ・シークレット」が与えるメッセージは、ひょっとしたら言語の本質と関わりがあるのかもしれない。キム・チュンス詩人が「私がその名前を呼ぶ前までは/それはただのひとつの身振りに過ぎなかった/私がその名前を呼んだ時/それは私のもとへ来て花になった」と「花」で詠ったのと一脈相通ずる意味である。私が呼ぶことによってその名前がようやく現実になること、それこそが言語の意味であるだろう。

このような言語の本質のためか、「歌手は自分が歌った曲のタイトルのようになる」という俗説が事実になることも多い。憂鬱な歌を歌った歌手がその後命を絶ったり、別れを題材にした曲がヒットした後に恋人と別れて苦しんだという事例は、もしかしたら偶然の一致ではなく、自身が口に出した言葉が持つ呪文、あるいは祈りの力なのかもしれない。

最近、目立つ活躍をしているVIXXの4thシングル「奇跡」が本当に“奇跡”を起こしたのもその例だと見られる。先月27日にリリースされた「奇跡」はGAONチャートの6月第1週目(5月25日~5月31日)の1位を獲得し、公開5日でYouTubeのミュージックビデオの再生回数が100万回を突破した。それでも、8日にSBS「人気歌謡」で1位を獲得したことについて、所属事務所のJellyfishエンターテインメント(以下Jellyfish)とファンは“奇跡”だと喜んでいる。

VIXXは昨年、すでに1位を記録したことがあるアイドルで、情熱的で根強いファン層を確保している。それでも、今回の「奇跡」は緊張を緩めることができなかった。昨年、ヴァンパイア、ジキル&ハイドなど強烈なコンセプトでファンの心を掴んだVIXXが、大衆性を意識して発表した曲が「奇跡」だったからだ。今年の春から「今後もコンセプトを維持するか、それとも大衆的に変身するか」の岐路に立って悩んできた所属事務所とVIXXは、今回のミニアルバムで勝負をかけた。感性的な歌詞とメロディーが洗練に調和した曲だが、VIXXの以前の曲に比べて「少し普通だ」という評価を覚悟しなければならなかった。

しかも、VIXXがシングルを発表した時はFly To The Sky、godなど第1世代アイドルがチャートを占領していた。色んな面で挑戦的な状況であり、安心できない状態だった。そんな中、VIXXは期待もしなかった「人気歌謡」で1位を獲得し、涙を流した。大先輩であるFly To The Skyが「ショー 音楽中心」で1位を獲得した時、「僕たちではなく、INFINITEが1位になると思っていた」と話したほど人気の高いグループとして評価を受けているINFINITEと1位候補を争って手にした1位だった。

VIXXの所属事務所であるJellyfishは謙虚な姿勢で「歌のタイトル通り『奇跡』が起きた」と話したが、努力の時間を着実に積み重ねてきたVIXXにとって、当然の結果だと思う。実は10asiaは昨年の春、デビュー1周年を迎えたVIXXとインタビューを行った特別な理由があった。新人記者を採用する面接で「最近、注目しているアイドルグループがいるのか?」という質問に、嘘のように全員がVIXXと答えたからだ。先輩には少し馴染みのない名前だったが、20代のファンの実際の声を直接確認した気分になった。

実際会ったVIXXからは、将来宝石になる原石の輝きがうかがえた。携帯電話も持たず、お互いを頼りながらチームワークを形成してきたVIXXは、その後7ヶ月で堂々と音楽番組1位を獲得した。1位を獲得した後も、VIXXの初心は変わらなかった。昨年末、「呪いの人形」以来、「奇跡」を発表するまでメンバーたちは作曲を勉強(レオ)したり、演技活動(エン、ホンビン)やバラエティ活動(ケン、ヒョギ)に励んだり、フィーチャリング(ラビ)に参加するなど、それぞれのカラーを強化していた。

休まず着実に実力を磨き上げたおかげで、「奇跡」のステージを披露するVIXXは決して普通に見えなかった。カラーレンズも、マニキュアも、杖もなかったが、彼らの眼差しだけでステージにエネルギーを満たした。VIXXのことを心の底から愛するスターライト(VIXXの公式ファンクラブ)は、百人力でそんな彼らを応援した。音源発表後、2週目にチャートを逆走して音楽番組1位を達成し、9分でコンサートのチケットが完売した秘訣は、おそらく着実に歩んできた足跡が徐々に道を作っているからであるだろう。そのため、奇跡を願う心ではなく、“1万時間の法則”に従って黙々と歩んでいる彼らが積み重ねていく1万時間が楽しみである。

記者 : イ・ジェウォン、写真 : ペン・ヒョンジュン、Jellyfishエンターテインメント提供、翻訳 : ナ・ウンジョン