Simエンターテインメント代表「10年前の初心に戻り、より大きな跳躍を夢見る」

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写真=Simエンターテインメント
「成功の秘訣ですか? 情熱と運のおかげでここまで来られたのだと思います。これからの10年はまたどうすればいいのか悩ましいですね」

控えめながらもすぐに平然とする彼の顔から笑みがこぼれた。オム・ジョンファ、オム・テウン、キム・ユンソク、ユ・ヘジン、チュウォン、チョン・ミソン、カン・シンイルなどのトップ俳優たちが多数所属するSimエンターテインメントを率いるシム・ジョンウン代表のことだ。2004年に本格的にビジネスを始めたSimエンターテインメントは、その名に相応しく“意志が堅い”芸能プロダクションとして定評がある。“有望な新人”を発掘して“大物級のスター”に成長させる推進力とノウハウから始まったことだろう。

この点を意識したのか、シム・ジョンフン代表は「既存の俳優をグレードアップさせたり、サポートすることも大事だが、今年は注目すべき新人が多い。現在、映画の撮影に参加しているイム・ジヨン、シン・ジュファン、ユ・スンモクなど5人前後だ。映画祭で男女新人賞を席巻するのが今年の目標だ」と明かした。“1年に1人の新人を育てる”という彼の所信が、今年はさらに大きくなったようだ。“このくらいの度胸と自信がなければ、エンターテインメント会社の運営はできない”という無言の答えではないだろうか。

「背中を押されて独立…こんなに大きく成長するとは思わなかった」

シム・ジョンウン代表はオム・テウンと同じ大学の演劇映画学科卒だ。しかし予想コースである俳優の道を歩まず、マネージャー界に飛び込んだ。「私のやるべきことはこれだと思った」という単純な理由からだった。彼は「GM企画を経てユニコリア文芸投資(株)でソル・ギョングのマネージャーとして現場経験を積んだ。当時、ソル・ギョングの他にもオム・ジョンファ、オム・テウン、カン・シンイルなどがいた」とし、「ところが、その会社のマネジメントパートが突然なくなった。まさに背中を押されて独立したというわけだ。城東(ソンドン)区玉水洞(オクスドン)の屋根部屋を住居兼オフィスとして構えたが、当時、俳優たちが来て驚いていたことは今も記憶に新しい」と言いながら笑った。

始まりは弱小だが、その結果は素晴らしいと言うべきか。Simエンターテインメントがまさにそうだった。シム・ジョンウン代表は昨今の成果について“俳優のおかげ”と言った。彼は「俳優に恵まれたと思う。10年近く一緒に仕事をしてきたオム・ジョンファ、オム・テウン、カン・シンイル、キム・ユンソク、キム・サンホが相次いでスポットライトを浴びた。演技の上手い彼らだから当たり前の結果だったし、マネジメントの仕事も比較的しやすかった」と打ち明けた。しかし業界ではシム・ジョンウン代表のこのような発言は自身を下げる知恵から始まった分析だという。シム代表は俳優に向けたきめ細かいサポートと作品選びに心血を注ぐことで有名だからだ。

写真=Simエンターテインメント

作品と俳優の基本的な条件…「何より○○○が重要」

そんな彼に作品選定の基準を聞くと、シンプルな答えが戻ってきた。「面白いかそうでないかが優先だ。また俳優の従来のイメージを脱ぎ捨てることができたり、見せなかった姿(演技)を見せることができる作品、そんな上で面白さがあればいいと思う。KBS 2TVの『グット・ドクター』が代表的な例だ。チュウォンにとっては過酷な挑戦だったかもしれないが、これが功を奏した」シム・ジョンウン代表はこの“不変の原則”を持って映画とドラマを行き来する。しかし、いざ彼は「(この分野で)ノウハウが身についただけだ」とし「これからはシステムとして定着させなければならない。毎年、もっと良い作品に出演させるべきだが、それが遅れると不安になる」とまだ満足していない様子だった。

Simエンターテインメントではオム・テウン、キム・ユンソクなど、ほぼ毎年所属アーティストがスターに浮上した。最近の代表的な俳優はチュウォンだ。チュウォンは「製パン王キム・タック」「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち」「カクシタル」「7級公務員」「グット・ドクター」などのドラマだけでなく、「特殊捜査本部」「ハート泥棒を捕まえろ!」に続き、現在撮影が行われている「ファッションキング」などの映画で活躍している。シム・ジョンウン代表は「チュウォンに初めて会ったのは、彼が『Spring Awakening』というミュージカルに出演した時だった。長い公演をダブルキャストなしに一人で頑張る姿が印象的だった。お酒を飲めないことも好ましいと思った」とし、「何より俳優は誠実さと強靭さが大事だ。それをチュウォンは全て備えていると判断し、そうやって一緒に仕事をすることになった」とチュウォンとの縁を説明した。

「心のタイマーを10年前に」…将来に向かって走る

チュウォンについての話を聞くと、シム・ジョンウン代表の“俳優観”がそのまま現れていた。俳優に対する彼の所信は今も変わっていない。彼は「数年間スター扱いされた俳優がある瞬間仕事がなくなったといって他の仕事ができるだろうか。その面で気の毒な俳優が多い。私は新しく迎え入れる俳優にも、特に強靭さを強調している。誠実性は基本だと思う」とし、「トレーニングは事務所が担当すればいい。最近は第2外国語だけでなく、ボーカルトレーニングや特技啓発にも気を配っている。俳優の基本的な資質さえ優れていれば、体系化されたシステムの中でもっと成長できると思う」と強調した。

シム・ジョンウン代表は終始“システム化”の重要性を説いた。その分、これからの10年に対する設計を大事に思っているように見えた。彼は「今年の頭、自分の心の中のタイマーを10年前に戻した。その時の情熱と今のノウハウをシステム化して、よりよい10年を作ろうと考えている」と話した。このような決然とした意志は、40人に至る職員たちが集まった場ですでに明かしている。シム・ジョンウン代表の起床時刻は相変わらず朝6時だ。Carpe Diem、すなわち“その日を摘め”という命題を実践しながら、黙々とより明るい未来に向かって前進している。「(従来の)俳優たちをサポートし、よい俳優を輩出し、作品の制作も準備し、付加的なビジネスも充実させる……これがまさにSimエンターテインメントの色である」

記者 : ソン・ヒョンソク