ZE:A シワン「僕だけの競争力?運が良かっただけです」

OSEN |

もうすぐ観客動員数1000万人を突破する。ベテラン俳優たちもなかなか経験できないという“1000万”という爽快な喜びを、今演技を始めたばかりの俳優が映画デビュー作で味わうことになった。映画「弁護人」でジヌを演じたZE:Aシワンの話だ。

“1000万”。その甚だしい数字で有頂天になっているのではないかと思ったが、実際に会ったシワンは謙遜していた。興行成績が非常に良いことに喜ぶ気持ちもあったが、それだけ悩みも多かったためだ。シワンは「弁護人」を大切な作品であると同時に“課題”とも表現した。役者の道を歩む過程で、自身が解決しなければならない課題。彼に会う前にはヒットの喜びでひょいひょいと踊っているシワンを想像していたが、それとは正反対の姿だったため、非常に驚き、感心した。

彼が「弁護人」を課題と表現したことは、映画の中の自身の演技が完全に本人の力だけによるものではないということを認知していたためだ。そのためなのだろうか。「まだ成熟していない」という評価が多いと足りない部分について話すと、彼は頷き「未熟だということは、すごくよく分かっている。演技が上手くなるために努力しないと」と笑ってみせた。

本人が持つ能力に比べ、あまりにも沢山のものを頂いたと言う彼は「僕が自慢できるのは、運だけだ。だから今年も、ただ今のようであって欲しいと思う。欲を出してはならないほど身に余る」という思いで新年の計画も立てなかった。彼は「弁護人」のヒット、そしてこれから進むべき役者の道について記者と虚心坦懐に話し、控えめながらもしっかりと自身の考えを打ち明けた。

以下は、シワンとの一問一答である。

―「弁護人」を選んだ理由が気になる。

シワン:これだけは欲を出して必ずやりたいと思った作品だ。ジヌというキャラクターが僕と共通点が多くて、とても共感した。釜山(プサン)出身で釜山大学の学生である上、工科大学の学生であることまで。似ているところが多いから「僕の先輩たちの話だ」という気持ちでやりたいと思った。そして、ソン・ガンホ先輩など、キャスティングを見てそれ以上悩む必要がなかった。

―映画で見せた演技に賞賛が絶えない。

シワン:良い映像になった。幸いなことに(笑) 先輩に色々お世話になって相乗効果が生まれたので、僕が演じたもの以上、100%以上の演技ができた。「またやってみて」と言われたら、僕の手に余ると思う。僕の力量の100%以上が出たので、これがこれから僕が破らなければならない壁になりそうだ。

―拷問を受けるキャラクターだっただけに、大変なことも多かっただろう。

シワン:精神的に一番大変だった。物理的なものよりも。そういった痛みの経験を表現しなければならなかったし、訳も分からず無実の罪でそんな目に遭った状況で、純粋だった学生が徐々に疲弊していく状況を描かなければならなかったので、精神的な部分が大変だった。肉体的には続けてきた運動を止めて元気だった時とやつれたと時を対比させるため、体重を増やしたり減らしたりすることを繰り返した。それでも精神的なことの方がもっと大変だった(笑)

―生きていながら実際に経験しがたいことなので、演技自体も難しかったと思う。

シワン:経験された方もいらっしゃるだろうが、それほどよくある経験ではないので、ひたすら参考によるものだけで表現する必要があった。「どんな気持ちなのだろうか?」と沢山悩んで浴槽に水を張って頭を突っ込んでマインドコントロールをしたこともある(笑)

―「弁護人」はなぜこんなに興行成績がいいのだろうか。

シワン:舞台挨拶を回ってみると、年配の方から僕より若い人まで様々な人がいた。実はこの映画を僕と同い年、あるいは僕より若い人たちが沢山観るとは思っていなかった。題材が題材であるだけに僕と同じ年頃の人々から共感を得ることは難しいと思ったが、予想外に舞台挨拶に行ってみると年齢に制限がなかった。「感情に対するものは、老若男女を問わず共感が得られるんだ。だから『弁護人』が沢山の人に見てもらえるんだ」と感じた。

―映画デビュー作がこんなにヒットして次回作へのプレッシャーも大きいだろう。

シワン:プレッシャーは大きくない。むしろ「弁護人」がどこまで行くかよく分からないが、観客動員数の面から見れば、次回作が「弁護人」よりは低い可能性が高いと思っているので、記録へのプレッシャーはない。逆に、演技へのプレッシャーが大きい。自分を乗り越えなければならないので。どうすれば「弁護人」の壁を乗り越えることができるのかすごく悩んでいる。

―どうすれば「弁護人」を乗り越えることができるのだろうか。

シワン:一人で考えてみた時、人と比べて僕だけの競争力は何かと悩んでみたけれど、僕はただ人より運がいいんだと思う。僕が自慢できるのは運しかないと思う(笑) 僕の名前は漢字で書くと“時完”だ。名前に運がある(笑) 上手く改名したと思う。

―最近、演技をするアイドル、つまり“演技アイドル”が本当に多い。その中でライバルに思っている人はいるのか。

シワン:ライバルのことは一度も考えたことがない。ただ感じることは、生意気な話かも知れないが、わずか数年間でアイドルの演技も1段階進化したと思っている。「太陽を抱く月」に出演した時は、僕のように演技を両立する方はそれほど多くなかった。ところが、ここ数年間で演技をするアイドルが沢山登場し、目を見張るほどの成果を出した方も沢山いる。それだけ進化したのではないかと思う。その中で僕ももっと努力しなければならないと思うし。

―新年の計画は?

シワン:ない。2012年から計画を立てていない。僕の能力に比べてあまりにも沢山のことを頂いたので。僕の能力に比べてあまりにも大きなものが入ってくるので、それだけで十分感謝している。だからいつも新年の希望は「今のようにこれまでしてきたことを頑張ってやりたい」ということだ。ここでもっと欲張るなら負荷が掛かり過ぎると思う(笑)

記者 : キム・ギョンジュ