Vol.2 ― 「同窓生」BIGBANGのT.O.P“20代のウォンビンではなく、僕はただ僕でいたい”

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BIGBANGののT.O.P(26、本名:チェ・スンヒョン)のアクションはかなり本格的なものだった。普段の彼を見ると、動きが素早いタイプでもなく、他のアイドルのように草食男子のようなスリムなボディラインをしているわけでもないが、なぜかスクリーンの中の彼は軽く飛び回る。

映画「同窓生」(監督:パク・ホンス、制作:ザ・ランプ、ファングムムルコギ)でたった一人の妹を守るためにスパイになるしかなかった少年リ・ミョンフンを演じた俳優チェ・スンヒョンは、劇中強烈なアクションで観客の目と耳を虜にした。韓国に派遣されたスパイを演じ、撃術から射撃まで20代の彼では見せられないだろうと思われた巧妙なアクションを披露した。

妹を連れてくるため、理由も分からないまま韓国にいる裏切り者を処断する任務を引き受けて、“技術者”という名のもと、体格のいい男たちを一瞬で制圧しその場で銃殺する。さらにバイクに乗って風を切りながら疾走する姿は、女性ファンを魅了する彼の抜群のビジュアルを最大限に引き出してくれた。

チェ・スンヒョンはすでに知られている通り、映画の撮影に入る4ヶ月前からアクションスクールで武術の練習をしてアクションシーンに備えた。撮影中も一日に4時間も武術を習うほど努力を怠らなかった。天もチェ・スンヒョンの努力に応えたのだろうか。プロのアクション俳優顔負けのシーンに仕上がっている。

「よく撮れたようで良かったです。実は、バイクに乗っているのは僕ではありません(笑) そのシーンだけは代役の俳優さんが演じてくれました。顔の出るシーンだけ別途に撮って、バイクの運転シーンは代役の俳優さんにしてもらいました。告白しますと、まだ免許がないんです。実際車も持ってないですし、必要性も感じないので免許を取っていませんでした。他の男性たちと違って、車や運転には興味がありません。もしバイクのシーンが本当に重要なシーンであったならば、免許を取ってでも僕がバイクに乗っていたでしょう。しかし、パク・ホンス監督もそう言われたように、そのシーンでそこまで僕が必要ではないということでした。観客も(代役だと)気付かなかったようなので一方ではホッとしています。ハハハ」

アクションシーンについての説明が、チェ・スンヒョンの告白で始まったことには理由がある。「同窓生」のすべてのアクションシーンは代役の俳優なしで彼が演じたためだ。体を動かすアクションを実際に演じたのはすべて彼だが、バイクのシーンだけは「それは僕ではない」とはっきり言っておきたいようであった。

「この映画を決めてから、すべてのアクションで代役を使わないことにしようと約束しました。代役に依存するよりは、僕がやってこそ演じる感情を最大限表現できると思いました。観客も僕でない人が演じると、チェ・スンヒョンのリ・ミョンフンを感じられなくなるでしょう?まるでステージの上にT.O.Pではなく他の人がT.O.Pという名前を掲げて上がったのと同じです。いくら気付かれないように代役をしてくれるとしても、僕と100%同じであるわけはないでしょう?」

アクション演技に対する哲学も人並外れたものだった。しかし、大きな負傷もあった。アクション中に割れたガラスの破片が右手の甲に刺さり、肉片が削がれてしまうという危険な事故があったのだ。今だから笑いながら話せるエピソードだが、当時は怖くもあり怒りも感じたという。

「手の甲にガラスが刺さり通り、刺身ひと切れ分ほどの肉片が削がれました。血管にも損傷があり、血もたくさん流れました。すぐ救命センターに行きましたが、医師の先生が『手が使えなくなるかもしれない』と怖いことを言うんです。元々は物怖じしない性格ですが、手が使えなくなるという言葉を平然と話す先生の言葉に本当に傷付きました。怒りも感じましたね(笑) もともと、救命センターでは最悪の状況に備えて大げさに言うようです。僕のケースもそれだったんですね。周辺の皮膚を集めて縫う手術をしましたし、幸いなことにかなりよくなりました。でもまだ傷は残っています。栄光の傷とも言えましょうか。ハハハ」

何であろうと最後までやりつくす彼の性格が、すばらしいアクションシーンを仕上げることに一役買った。苦労した分その甲斐のあるアクションだった。心の一方では手を怪我したせいで撮影が延期されることを懸念した。さらにコンサートツアーのスケジュールまで重なり、申し訳ない気持ちを超え罪悪感まであったという。スタッフに申し訳ない気持ちを伝えるチェ・スンヒョン。本当に真面目な人だ。

写真=映画「同窓生」スクリーンショット
「同窓生」のアクションの中で最高の名シーンとして挙げられるのが、手を使う武術である撃術のシーンだ。手だけで一瞬にして相手を制圧するチェ・スンヒョンの姿は人々を感嘆させた。おかげで映画「アジョシ」(2010、監督:イ・ジョンボム)のウォンビンを思い出す人も多かった。“20代のウォンビン”という評価もされた。

「映画に登場する武術は、イスラエルの特攻武術であるクラヴマガです。早い動きとキレのあるアクションが特徴です。それで『アジョシ』のウォンビン先輩と似ていると思われたみたいです。けれど、僕は“20代のウォンビン”よりは“20代のT.O.P”と呼ばれたいです。ハハハ。僕なんかにウォンビン先輩の真似ができるわけはないでしょう?また、誰かと同じ人になりたいとは思っていません。ただ僕は僕でいたいです。これからは“20代のT.O.P”と呼んでください」

自分だけの色を出したいというチェ・スンヒョンに「シークレット・ミッション」(2013、監督:チャン・チョルス)のことをさりげなく聞いてみた。「シークレット・ミッション」は彼にとっても特別な縁のある作品だ。「同窓生」を決める前にキャスティングリストに挙がっていた作品であるためだ。しかし、作品にも俳優との縁というものがある。「シークレット・ミッション」はキム・スヒョンと、「同窓生」はチェ・スンヒョンと縁があったのだ。同じくスパイを題材にした映画であるので、「シークレット・ミッション」と「同窓生」は様々な面から多く比較されている。

「考えてみると、『同窓生』が先に撮影したのですが、公開は延期されていました。それが悔しいと言うのは卑怯だと思います。ただそれがその映画の運命だったのでしょう。僕が『シークレット・ミッション』に出演していたら、あれほど多くの観客を動員することはできなかったと思います。僕なんかにはできない演技です。キム・スヒョンさんが上手く演じていました。僕とは合わない部分が多かったと思います。『シークレット・ミッション』の話をここでするよりは、『同窓生』の自慢をもう少ししますと、作家さんが自らシナリオも手がけたのですごく人間味があります(笑) 『シークレット・ミッション』とは空気が違うと思います。キャラクターも設定が似ていますが、性格や雰囲気は完全に違いますよ。『シークレット・ミッション』と『同窓生』は異なる映画なので、多くの方に見に来ていただけると嬉しいです。ハハハ」

記者 : チョ・ジヨン、写真 : ムン・スジ