Vol.1 ― 「シークレット・ミッション」イ・ヒョヌ、キュートなだけではもったいない“男の中の男”

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俳優イ・ヒョヌ(20)はぷるぷるした白い絹豆腐のようだ。刺激的でもなく、くどくもない。見ているだけでも、その相手を優しい気持ちにしてくれる。笑うとき目を細めるイ・ヒョヌは、いつの間にか“守ってあげたくなる少年”になった。

それなのに、天真爛漫で可愛らしかったイ・ヒョヌが変わった。突然、殺気を帯びた眼差しで相手を制圧し、悲しみたっぷりの憂いを帯びた眼差しで見る人を切なくする。これまで知らなかったイ・ヒョヌの意外な一面が現れた。

イ・ヒョヌは映画「シークレット・ミッション」(監督:チャン・チョルス、制作:MCMC)で北朝鮮の最年少スパイであり、ハニカミ屋の貧困街の高校生、リ・ヘジンを演じた。

彼は映画に対する観客の熱い反応が信じられないと、恥ずかしがっていた。チケット前売り率83%が何を意味するのか、一日の観客数は何万人であるかなど実感できないという彼は、すべてが不明瞭だと言うだけだった。ただ、これまで感じたことのない人々の関心が不思議だということだ。

それもそのはず、イ・ヒョヌはこれまでしっかりとヒットを味わったことがなかった。しかも、デビュー7年目で初めて主演を務めたので、大衆の関心が実感できないというのも分かる気がする。もしかしたら、初主演に対するプレッシャーを感じているのではないか。少し心配になる。

「正直、初主演に対するプレッシャーは思ったよりありませんでした。僕は主演でも、助演でも、またはエキストラでも、役割の比重に大きな意味を持ちません。それに気を使っていたら、7年間耐えることは出来なかったと思います。代わりに、役割に関するプレッシャーはありました。リ・ヘジンのようなキャラクターは初めてでした。いつもニコニコ笑っていたのに、クールに振る舞うことになって、ぎこちなかったですね(笑)」

役割に対する悩みが多かったという彼は、この作品を通じて新たなイ・ヒョヌを見せたかったと欲を表した。これまであまりにも“キュート”だったという彼の言葉を否定することは出来なかった。もちろん、可愛らしい少年もいいが、20歳を越えただけにそろそろ荒々しく、カリスマ性のある“男の中の男”の姿も見てみたい。

「違う姿を見せたかったです。この映画を撮りながらも、目標は“一味違うイ・ヒョヌ”でした。僕は可愛いイメージが強いですが、実際はかなり男らしいです。男の中の男かって(笑)?血が騒ぐことも十分あります。ハハ」

イ・ヒョヌの言葉のように、「シークレット・ミッション」のリ・ヘジンは無邪気な顔をしているが、とてもしっかりとした決断力を持っている。「スパイ任務に何のミスもないと思いますか?」といいながら、キム・スヒョンの頭に銃を構えるときは、凄まじさまで感じられる。まだ、“男の中の男”という言葉が恥ずかしいのか、笑ってしまうイ・ヒョヌだが、きっと内面には彼が言うように、違う魅力も十分にあるようだ。

「以前とは異なるように、完璧に変身したいとは思いません。以前の弱いイメージも好きです。何事も急ぐとまともに出来ないので、180度の変身が時には逆効果をもたらしたりもします。今の僕の姿と、そこからさらに発展した姿を同時に見せたいと思います。可愛らしい弟のようでありながら、頼れる兄のようでもある様々な面を持つようになりたいです。ハハ」

記者 : チョ・ジヨン 写真 : ムン・スジ