「ランニングマン」シン・ハギュン“アクションスターの卵が走り続けた理由とは?”

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公開を控え、「バラエティ番組『ニュー!日曜日は楽しい-ランニングマン』のタイトルをそのまま拝借したのか」とも言われたが、映画「ランニングマン」を見ていると、これ以外のタイトルは思いつかない。タイトル通り、劇中の人物は走って走って走り続けるためだ。殺人の濡れ衣を晴らすために走り続ける男チャ・ジョンウ役を演じた俳優シン・ハギュンは、「撮影前日は、いつもプレッシャーを感じた」と撮影当時を振り返った。


休むことなく走り続けたシン・ハギュン「プレッシャーは大きかったが、今は満足」

1998年にデビューし、いつの間にか15年目を迎えた。“俳優”という一本道を歩いてきた彼にとっても、「ランニングマン」は初めての経験だった。隣のビルに飛び移ったり、自転車で坂道を駆け下りたり、銅雀(トンジャク)大路を走り回り、アクションジャンルではまだ“新人”とも言えるシン・ハギュンにとって、多くのプレッシャーが一気に押し寄せたようだ。

「『二度とこんなことするものか』と思った(笑) 体を張るアクションは、全部披露したようだ。他の作品のことは分からないが、走って転がって、体を酷使するアクションはこれでもう十分だ。その上、清渓(チョンゲ)川の川辺や、上岩(サンアム)ワールドカップ競技場など人ごみの多い場所での撮影だったので、短時間内に効果的に終えなければならないというプレッシャーもあったし、高いところが苦手なので心理的なプレッシャーも大きかった。やるときは大変だったが、今は満足感の方が大きい」

ロケでの撮影は例外なくどこも大変だろうが、人波によって状況のコントロールが効かない都心でアクション演技をすることは、なおさら難しいことだった。人のいない時間帯を狙ってスケジュールを組んだとしても、天候が悪いとまたふりだしに戻る。シン・ハギュンは、「映画を撮る人たちは、余程のことがない限り(人ごみの多い場所では)撮影しない。ほとんど地方で撮る。覚悟を決めて撮ったが、苦労した感じが画面にそのまま生かされていた」と微笑んだ。

シナリオを見ただけで、撮影が容易でないことを直感した。しかしシン・ハギュンは、それにも関わらず「ランニングマン」を選んだ。彼は、「何か惹かれるポイントが一つでもあれば、がむしゃらに突進するのが俳優だ。僕もそうだ。新しい刺激を与えてくれて、観客に伝えたいことがあるなら、苦労を承知でも選択する」と伝えた。

「“新しい”という言葉の意味は様々だ。一緒に仕事をする人が新しいこともあるし、物語が新しいこともあり、ジャンルもまた然りだが、観客に対して新しさを与え続けなければならないと思っている。僕にも限界があるので、正反対の姿をお見せすることはできないかもしれないが、それでも新しいものを見せ続けなければならないと思う」


「キム・サンホはムードメーカー、イ・ミノは本当に頼もしかった」

シン・ハギュンは、「ランニングマン」で呼吸を合わせたチョ・ドンオ監督を“アイデアバンク”と表現した。アドリブ演技をほとんどしない彼に感覚的なアイデアを出してくれたそうだ。シン・ハギュンは、「監督が俳優に対し、『こういうのはどう?』と聞くのではなく、俳優がよく解釈して表現すれば良かった。監督がいつも揺るぎない姿でエネルギーを失わず、現場の指揮を取ってくれた。俳優、スタッフ、みんながエネルギーをたくさんもらった」と話した。

一番年上のキム・サンホは、現場でムードメーカーを務めた。劇中で記者役を演じ、気さくな魅力をアピールしたチョ・ウンジは、実際は非常に女性らしいという。シン・ハギュンは息子チャ・ギヒョク役のイ・ミノについて、「年齢の割に思慮深く、大人っぽかった。劇中の設定のように、反対に僕が子供みたいだった」と打ち明けた。お互いに身内なので困難があると助け合うが、もっぱら穏やかでない父子関係。シン・ハギュンは、演じながら自身のことを振り返ってみた。

「韓国社会で父子関係は、普通平行線に近い。父と息子が目を合わせ、お互いに腹を割って話し合ったりはしない。和やかに会話することさえ少なくなっている。チャ・ジョンウを演じながら、自分の事を振り返り、父との関係を考えるようになった。以前よりはましになったが、依然としてぎこちない」

撮影期間中、シン・ハギュンが「ランニングマン」だったなら、彼は今、「ビジーマン(Busy Man)」だ。映画公開に続き、ドラマ(SBS「私の恋愛のすべて」)まで始まり、映画の宣伝とドラマ撮影を同時にこなしているためだ。

シン・ハギュンは、「2本が同時にスタートしたので活発に活動しているように見えるが、自分の中ではいつも通りだ。疲れて止まるまで、走り続けるだけ」と付け加えた。「ランニングマン」での“逃亡者”チャ・ジョンウと「私の恋愛のすべて」での“シニカル政治家”キム・スヨンとしてスクリーンとブラウン管を行き来する彼の“疾走”を、人々は今日も見守っている。

記者 : イ・ジョンミン、イ・オンヒョク、写真 : イ・ジョンミン、クリピクチャーズ