【ドラマレビュー】「IRIS 2」恋愛ドラマの鬼才ピョ・ミンスの作品で間違いないのか?

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無表情な「IRIS 2」人物とストーリーが消えたスパイアクションドラマ

来週にはSBS水木ドラマ「その冬、風が吹く」が最終回を迎える。しかし、それよりも数回の放送を残しているKBS 2TV「IRIS 2」としては、200億ウォン(約17億円)をかけた大作にもかかわらず、一桁台まで落ちた視聴率の反発を狙う良いチャンスとなった。

だが、「IRIS 2」のストーリー展開を見ていると、果たしてそれができるのかと思うほど息苦しい。チャン・ヒョクのジークンドー(截拳道:様々な格闘技を取り入れた武道)が際立ったチョン・ユゴンとレイ(デヴィッド・マクイニス)の対決のように、確かに視線を引くアクションシーンがあり、チョン・ユゴン(チャン・ヒョク)の母の死に続き、チ・スヨン(イ・ダヘ)の兄も死に至るなど、ドラマチックな事件が次々と起きているにもかかわらず、見ていると退屈だ。事件だけが存在し、事件の間を埋めるキャラクターとストーリーが存在しないためだ。視聴者は皆知っているのに、制作陣だけが知らないまま連日事件を起こす。

写真=SBS

本当に恋愛ドラマの鬼才ピョ・ミンス監督の作品なのだろうか?

果たしてピョ・ミンス監督の作品で間違いないのだろうか?「IRIS 2」を見ていると、たびたびこのような質問をしたくなる状況に直面する。

27日に放送された第13話で家に帰ったチョン・ユゴンは、父を殺したと知っていたペク・サン(キム・ヨンチョル)が母の手を掴んでいる場面を目撃し、驚愕する。だが、すぐに母からなくなったと思っていた自身の父がペク・サンであることを知り、信じられないという表情を見せる。

母は仲直りを勧めるが、硬くなったユ・ゴンの表情はペク・サンの切ない視線にも変わらない。だが、その状況もペク・サンを探してきたユ・ジュンウォン(イ・ボムス)によって母は亡くなってしまう。親子の手を掴んだまま、母はペク・サンの側で亡くなったのだ。

だが、「IRIS 2」は母の死の前に初対面した二人の親子に焦点を合わせなかった。まるで「スパイアクションだからそんな人物の感情なんかに時間を費やすわけにはいかない」と決心でもしたかのように、チョン・ユゴンは母を殺したユ・ジュンウォンを必死に探し回り、父であるペク・サンは逃げるように消えてIRISを相手にした自身の計画を進行させる。二人が親子であることを明かすためそんなに力を入れたのに、母が死んだ後から2人の関係は消えてしまう。

思った以上に視聴者からの反応がないドラマは、視聴者の目を引くことだけに集中しているようだ。そのため、相次いで主人公の周りにいる誰かを犠牲にして事件を作るばかりだ。ペク・サンから核兵器がどこにあるのか聞かなければならないユ・ジュンウォンがペク・サンを狙撃すること自体がナンセンスだが、それはさておき、初めて会った父と息子が母が死ぬやいなや再び他人のようになって自身の仕事に集中するなんて!

だが、親子の関係だけではない。恋人のチョン・ユゴンとチ・スヨンも1話に1度切ない視線を交わす時間もほとんどないほど忙しい。逆にソ・ヒョヌ(BEASTユン・ドゥジュン)の複雑な表情がいつも二人の感情より優先になる。「IRIS 2」には、共感できるストーリーがない。誰より人間の感情にこだわってきたピョ・ミンス監督の作品で間違いないかと思うほど。

写真=KBS

有機的に繋がらない登場人物たち

インターネット掲示板のコメントの中で「IRIS 2」の主人公がレイだという冗談があった。だが、ただ笑ってしまうだけにはあまりにも的を射ているのではないだろうか?

主人公チョン・ユゴンは、爪が黒くなるほど全シーンで渾身の演技を見せているが、いつもフォーカスを合わせるのは、彼のすさまじい無表情だ。母が亡くなったと嗚咽することも少しだけで、さらには愛する女性の兄が死んだ時さえその表情を変えない。

彼が頭を打って暴力的になったかもしれないという設定も、他人の台詞で聞かせ、IRISに1年間いたためNSSチーム長に戻ることはできないということも短い台詞で流す。IRISだったときも、また戻ってきたときも、自身のアイデンティティへの悩みをこのドラマでは深く描かない。ただ、いつも無表情の殺し屋であるだけだ。

主人公がこうなっているのだから、他の出演者たちのことは言うまでもない。当初ドラマを広報する際、ユ・ジュンウォンはチョン・ユゴンに対抗する悪の根源と紹介された。しかし、ドラマが中盤を超えた今まで、NSSに対する、そしてチョン・ユゴンに対する悪の根源は、ユ・ジュンウォンではなくレイだった。

ユ・ジュンウォンは最初は脱北者として登場したが、スパイだったとして北朝鮮に登場し、韓国側の随行員だとして韓国に来てはIRISとしてミスターブラックの腹心になろうと努力する。このように書いてみれば、彼の経歴は華やかだが、いざドラマでユ・ジュンウォン役のイ・ボムスがするものは、少し違和感のある北朝鮮訛りに顔をしかめるくらいしかない。

写真=KBS
彼の多様な変化によって面白いところはあったのだろうが、ヨンファ(イム・スヒャン)がユ・ジュンウォンに「どんな人なのだろうか」と言った通り、アイデンティティに混乱を招いた。それで一貫してIRISの行動隊長だったレイが、悪の根源として確認されるほどに。

キム・ヨンファを演じるイム・スヒャンはもっとひどい。たまにボディラインを強調するシーン以外にはいつも復讐ばかり考えている彼女は、外国での活躍以来なぜ登場するのか分からないほどだ。先日登場したパク・テヒ(ユン・ソイ)も似たような存在になりつつある。「IRIS 2」に登場する人物は派手に登場するが、それだけでその後の展開で人物が有機的に繋がり、相乗効果を発揮することはない。逆に最初から目に力が入った、それであえていまさら公開しなくても裏切り者だということが確かに見えるMBLAQイ・ジュンの演技が目立つ。

「IRIS 2」には、他のドラマでは十分自身の役割を果たせる俳優たちが出演している。だが、ここではその俳優たちが機械人形のように無表情な顔で、あるいは一つの表情だけで自身に与えられた分だけを済まして退場してしまう。それぞれのキャラクターが、そして彼らの話がないからいつも「IRIS 2」は味気ない。

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記者 : イ・ジョンヒ