「その冬、風が吹く」オ・ヨンとオ・スの恋が痛い理由

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写真=SBS
彼らは互いに似ていた。生きたい男、オ・ス(チョ・インソン)はお金が必要で、死にたい女、オ・ヨン(ソン・ヘギョ)は愛がほしかった。欠乏感から欲望が芽生え、二人の出会いは運命のように始まった。

お金が必要だったオ・スはオ・ヨンに意図的に接近し、自身と同名だったオ・ヨンの本当の兄を装うことにした。緻密な準備で皆オ・スをオ・ヨンの実兄だと信じた。名前だけでなく筆跡も同じで、さらに幼い頃できた腕の火傷の痕まで同じだった。オ・ヨンの周りのすべての人が騙された。

だが、オ・ヨンは心を開かなかった。視力と共に信頼できる人を全て失った彼女は世の中に向け、心の扉を閉じてしまった。彼女は周りの全ての人を信頼しなかった。全て自身の金を見て存在する人だと思った。彼女はすでに亡くなった母、そして父の後をついて死にたいと思った。21年ぶりに登場した兄が本当の兄なのかも信じられず、引き続きオ・スを試している。もしオ・スが本当の兄なら自身の全財産を渡して死にたいということが彼女の正直な気持ちだ。彼女には生きていく理由がないためだ。

SBS「その冬、風が吹く」が面白いのは、まさにこの部分だ。生みの母に捨てられ、愛する女までなくしたオ・スは「息をするから生きているわけ」と人生への愛着が強いが、誰もが羨む財力を持ったオ・ヨンは無意味に生きている。その二人が会って互いのことを知りたがり、足りない部分を補っていくことになったという点で彼らは“運命”だ。

実は、何か欠けている人物が会って生きていく話はノ・ヒギョン流“ヒューマニズムドラマ”の定番だ。オ・スのように金が足りない人物、オ・ヨンのように愛と信頼が足りない人物など、ノ・ヒギョンドラマの中に登場する人物は物質であれ、精神的なものであれ、すべて“欠乏”を抱いて生きていく。欠乏による欲望は時には愛になり、時には葛藤を巻き起こす。運命として向き合ったオ・スとオ・ヨンがこれから愛と葛藤の前で苦悩するしかない理由でもある。

平坦ではないはずの彼らの愛…とにかく、風は吹いた

韓国で14日に放送された第3話でオ・ヨンはオ・スとのデートを通じて初めて“生きている”ことを感じた。これまで父の愛人で自身の乳母であるワン秘書(ペ・ジョンオク)の言うとおり生きてきた彼女は、ただ視覚障がい者ということだけで“据付家具”のように生きてきた。

だが、オ・スと遊園地でデートしながら彼女は初めて射撃をしてみたり、水風船も投げてみた。目が見えてこそできることを兄のおかげでやったのだ。オ・ヨンが投げた水風船に当たって顔を濡らしたオ・ス。そのオ・スの顔を拭いてくれるオ・ヨン。世界に向け扉を固く閉じて生きてきた彼女の心の中に温かい風が吹き始めた瞬間だった。

風が吹いたのはオ・ヨンの心だけではない。オ・ヨンの秘密の場所を探し、彼女の幼い頃のビデオテープを見たオ・スもオ・ヨンを理解し始めた。母と父が離婚する前、つまりオ・ヨンが視力を失う前、彼女は誰よりも幸せだった。優しい母、いたずらっ子の兄とともに楽しい思い出を作った。

だが、その思い出はもうモノクロの映像の中に封じ込められた過去の話であるだけだ。母も、兄もいない。なぜオ・ヨンが死だけ思い続けるのか、オ・スは少しずつ分かるようになた。最初は、ただ金目当てでオ・ヨンに接近した彼だが、彼はますますオ・ヨンに本当の幸福を伝えたくなる。たとえ、100日という時間が過ぎてお金の代わりに自身の命を差し出さなければならない状況になってもだ。

彼らが互いに愛する方向に進むと予測することは難しくない。だが、その愛は決して平坦なものではない。残酷な運命は彼らが簡単に愛し合うように放っておくわけにはいかないし、それはまもなくオ・ス、あるいはオ・ヨンの死、切ない別れ、あるいは傷など、色々な形の痛みとして現れるだろう。痛いから愛で、愛しているから痛い。また、偽りは長く続かないはずだ。オ・スが本当の兄でない事実をオ・ヨンはすぐ知るようになるだろうし、オ・スにも危機が迫ってくるのだろう。結局は二人が克服しなければならない課題だ。

とにかく、もう風は吹いた。その風がそよ風に終わるのか、そうでなければ強風になるのか、台風になるのかは見守るべきだ。

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記者 : パク・チャンウ