【ドラマレビュー】「チョンウチ」は児童用特撮ドラマ級のCG?チャ・テヒョンさん、がっかりするにはまだ早いですよね?

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:写真=KBS

粗悪なCGという暗礁に乗り上げた「チョンウチ」の可能性

数十億、数百億ウォンをかけた商業映画、またはテレビドラマにおいてスターのオーラは絶大だ。さらに、高い視聴率を記録している週末の看板バラエティ番組に出演しているスターであれば、その相乗効果は倍増する。すでにKBS 2TVドラマ「カクシタル」がチュウォンを通じてその恩恵をたっぷり受けた。

21日に韓国で放送がスタートしたKBS「チョンウチ」は、映画「過速スキャンダル」以降“チャ・テヒョン”というブランドだけで「ハロー!?ゴースト」や「風と共に去りぬ」のような、2塁打レベルの興行成績を記録しているチャ・テヒョンのイメージを、そのままTVに移植した。KBS 2TVバラエティ番組「ハッピーサンデー-1泊2日」シーズン2が軌道に乗った今、KBS 2TV「芸能街中継」に出演し「代打でキャスティングされたと思う」と冗談を言う、そのチャ・テヒョンだ。

制作スタッフも視聴者も、そしてチャ・テヒョン自身も、コミカルファンタジー時代劇を掲げた「チョンウチ」で、彼のそのようなイメージが十分活かされると信じていたはずだ。そしてその予想は見事に的中した。初回放送の視聴率14.9%(AGBニールセン・メディアリサーチ基準)は、前作の「優しい男」の人気を受け継いだという点からみても、悪くない数字だ。

しかし、障害が現れた。一部では児童用特撮ドラマ「地球勇士ベクターマン」を思い浮かべてしまうほど、目の肥えた視聴者たちを満足させるには遥かに足りないCGが問題となっている。しかし、障害は果たしてCGだけだったのだろうか。

:写真=KBS

“100%幼稚”としていたアクション……CGの後押しさえあれば

「チョンウチ」の第1話は、主人公のチョン・ウチではなく、栗島国で反乱を起こしたガンニム(イ・ヒジュン)の強力な道術を説明しながらアクションシーンで幕を開けた。良い物語には魅力的で哀れみを感じられる悪党が欠かせないもの。それだけ「チョンウチ vs ガンニム」が“コミカルファンタジー時代劇”で重要な柱になるという予告のようなものだった。

ワイヤーアクションとブルースクリーンを使用したCG、爆発といった特殊撮影などが総動員された「チョンウチ」の初めてのアクションシーンで、最も輝いたのはガンニムの犠牲になる虎ハンターを演じた中堅役者キム・ミョンスの強烈な眼差しだった。

“CGは添えるだけ”のように、アクションファンタジーを実現させる(かのように見せる)のは役者だという簡単で明らかな命題。CGで作った矢とカメラに付けた実際の矢の違いを、制作スタッフは本当に気付かなかったのだろうか。

違う角度から見ると「チョンウチ」制作スタッフのアクションに対するこだわりは、至るところに布陣している。KBSドラマ「チュノ~推奴~」が既に映画「マトリックス」でも採用した「Flow-Motion」技法を活用したり、違和感はあるが映画「グリーン・デスティニー」の伝説的な“竹の森”でのワイヤーアクションシーンをオマージュしようとした試みは、かなり新鮮だった。ガンニムの位置に気づいたチョン・ウチが山を疾走するシーンの、サイズの大きい画面とスピード感もまた、TVドラマとしてはかなりのレベルだった。

つまり「今になって僕がフュージョン時代劇の砲門を開くのか」と言っていたチャ・テヒョンが、“100%幼稚”としていた掌風(チャンプン:掌から風を起こして相手を攻撃すること)を打つそのアクションは、CGの欠点さえ補えば、一風変わった画面を演出する可能性があると言っても良さそうだ。

写真=KBS

無限の可能性を持っている「チョンウチ」…がっかりするのはまだ早い。

むしろ制作スタッフの熟慮が要求される部分は、このような外見の部分ではない。チャ・テヒョンのイメージを持ち込み、彼の魅力的な台詞のトーンと親しみだけで「チョンウチ」は完成しそうにない。真面目な顔をして宙に浮きながら道術として設定された動作をしてみせるチャ・テヒョンとイ・ヒジュンの違和感のある表情はどうするのか。これが問題となるのは、これから裏切りと恋などのような正劇(シリアスで深みのある内容を扱った作品)分野で、主人公たちが、他のドラマのような感情表現をしなければならないためだ。

「チョンウチ」は最近放送されたタイムスリップを素材にしたSBSドラマ「シンイ-信義-」とは違って、さらに強いコメディとアクション、ロマンスが混ざっていることを予告した。第1話は身分を隠しイ・チとして生きていくチョン・ウチとガンニムの現在と過去を紹介しながら、多少平凡な物語でスタートを切った。

まず、このドラマが面白いフュージョン時代劇になるためには、アクションやCGの完成度くらい混在している多様なジャンルの特性を均等に維持する必要があるだろう。そうしないと一人二役に近いチャ・テヒョンのキャラクターが活かされない。映画「チョン・ウチ 時空道士」のカン・ドンウォンと比較される過酷な運命のチャ・テヒョンがドラマの中心になってこそ、ドラマも成功するはずだ。早くも「チャ・テヒョンしか見えない」との声が聞こえてきては逆に困るのではないだろうか。

消極的なフュージョンというよりは積極的なファンタジーアクションを取り入れてきたかのような“朝鮮版スーパーヒーロー”は、確かに多くの可能性を抱いているドラマだ。何とかチャ・テヒョンのセンスが輝いた「チョンウチ」第1話が、「地球勇士ベクターマン」レベルのCGに“急失速”した視聴者までも再び引き戻せる豊富なドラマの誕生の可能性を見せることを祈る。無限の可能性を抱いている韓国の古典小説「チョンウチ伝」の個性に捜査劇を取り入れ、キム・ガプス、ソン・ドンイル、チョ・ジェユンなど、個性溢れる助演が溢れている「チョンウチ」にがっかりするのはまだ早いはずだ。

:写真=イ・ジョンミン

記者 : ハ・ソンテ