「優しい男」「メイクイーン」など…ドラマの共通点は“財閥”

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似ているようで異なるドラマの中の財閥…“シンデレラコンプレックス”を反映

最近のいろんなドラマを見てみると、マクチャンドラマ(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマ)や復讐劇、出生の秘密、家族が人生の足かせに変わる現象が相次いで描かれている。夫や先輩を殺害するという設定は「蒼のピアニスト」と「メイクイーン」、出生の秘密は「馬医」と「メイクイーン」、夫でない他の男性との不倫は「蒼のピアニスト」と「優しい男」、家族が人生の足かせになってしまう現象は「メイクイーン」「蒼のピアニスト」「いとしのソヨン」で見られる。

さらに、「大風水」はたった2回放送されただけにもかかわらず、“19禁”で視聴者を魅了している。イ・インイム(チョ・ミンギ)とスリョンゲ(オ・ヒョンギョン)の濃厚なベッドシーンや、ドンリュン(チェ・ジェウン)とヨンジ(イ・ジン)のフレンチキスシーンは、親子一緒に視聴するにはなんとなく恥ずかしい“19禁”の内容で描かれた時代劇だ。

そのような内容以外にも、もう一つの共通した設定がある。ドラマの中に財閥の話がよく登場するという点だ。まず、「蒼のピアニスト」はプソングループの経営権を手にとるため、継母チェ・ヨンラン(チェ・シラ)と彼女の息子ユ・イナ(チ・チャンウク)が一つになって、義理の息子ユ・ジホ(チュ・ジフン)と激しい対立を繰り広げる。

「優しい男」のハン・ジェヒ(パク・シヨン)は、ソ・ジョンギュ(キム・ヨンチョル)会長が亡くなった後、テサングループの会長を務める。ハン・ジェヒはテサングループの相続権争いにおいてもっとも邪魔であるソ・ウンギ(ムン・チェウォン)を排除し、ついに会長の座に上がる。

「メイクイーン」のチャン・ドヒョン(イ・ドクファ)会長は、友人のユン・ハクス(ソヌ・ジェドク)を銃で殺害し、カン・デピョン(コ・インボム)会長が一生をかけて成し遂げた企業をずる賢い手で奪う。株価操作と脱税などの企業型犯罪もやらかす人物だ。

チャン・ドヒョン会長の息子チャン・イルムン(ユン・ジョンファ)は、父親がいないときは継母を粗末に扱い、チョン・ヘジュ(ハン・ジヘ)の顔に水をかけたり、暴言を吐いたりする。チャン・ドヒョン会長とチャン・イルムンは、父子ともに悪行を平気でやらかす。

このように「メイクイーン」のチャン・ドヒョン会長とチャン・イルムン、「蒼のピアニスト」のユ・イナとチェ・ヨンラン、「優しい男」のハン・ジェヒは、いずれも財閥であると同時に、善きイメージの財閥ではない。自身の出世と栄光のためには他人の涙なんかは全然気にしない冷たいイメージの財閥として描かれている。

だからといって、ドラマの中の財閥がみんな悪の部類のように描かれてはいない。「いとしのソヨン」のお金持ちの家の兄カン・ウジェ(イ・サンユン)と弟カン・ソンジェ(CNBLUE イ・ジョンシン)は、イ・ソヨン(イ・ボヨン)という家庭教師に恋するようになる。

この兄弟は女性に優しいタイプの男性ではなかった。だが、冷たくて鼻高々だったこの兄弟は、劇が展開されるにつれ、誰が先にということもなく、進んでイ・ソヨンを助ける愛のサポーターになる。

「いとしのソヨン」の中でお金持ちの家の男性が貧しいお嬢さんを愛するようになる設定は、男性を女性に代えて登場したりする。裕福に暮らしてきたお嬢さんが、貧乏な男性を愛するようになる設定だ。財閥まではないが、裕福に暮らしているチェ・ホジョン(チェ・ユニョン)が、イ・サンウ(パク・へジン)に恋心を抱く設定も、カン・ウジェがイ・ソヨンを愛するようになる設定を女性に代えただけのことだ。

「メイクイーン」のチャン・ドヒョン会長の娘、チャン・インファ(ソン・ウンソ)が没落した企業の孫であるカン・サン(キム・ジェウォン)に惚れる設定も、財閥の娘が先に恋に落ちる設定だ。「蒼のピアニスト」のお金持ちの家の息子であるユ・ジホが、ホン・ダミ(チン・セヨン)に惚れる設定も、財閥の息子が貧乏な女性を愛するという設定だ。「優しい男」のソ・ウンギとカン・マル(ソン・ジュンギ)の恋愛模様も、財閥の娘が恋に落ちる設定で劇を展開している。

ドラマの中の財閥のイメージは、このように正反対の姿で描かれている。血も涙もない“悪役”の姿、あるいは正反対のイメージで“シンデレラコンプレックス”をドラマの財閥に反映させて、貧しい家庭の異性に恋心を抱く姿だ。

社会の二極化が進む中、財閥に対する嫉視が膨らむと同時に、ドラマの中の財閥を通じて、“シンデレラコンプレックス”に対する代理満足を得たい視聴者の心理が同時に存在して起こる現象が、今テレビの中で進行中だ。

記者 : パク・ジョンファン