Vol.2 ― 「ゴールデンタイム」イ・ソンミン“僕の人生のゴールデンタイムとは?”

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救急室に運ばれてきた外傷の患者が命を取り戻せる時間を意味する“ゴールデンタイム”。MBC月火ドラマ「ゴールデンタイム」の俳優イ・ソンミンは「主人公だったイ・ミヌ(イ・ソンギュン)とカン・ジェイン(ファン・ジョンウム)が医師としていろんなことを経験する時間という意味もある」と説明した。イ・ソンミンと会ったカフェで彼の人生の“ゴールデンタイム”とチェ・イニョクの手術ほど激しかった「ゴールデンタイム」の撮影にまつわるエピソードを語ってもらった。

―今回のように多様なメディアとインタビューをするのは初めてではないか?

イ・ソンミン:そうだ。写真撮影が大変だったが、楽にはなれないけれどかなり慣れてきた。インタビューは大変だが、今回は大変でもインタビューを受けなければならないと思った。楽しい。

―生放送に負けないほどのハードな撮影スケジュールだったと聞いたが?

イ・ソンミン:初めは一生懸命撮影に臨んだ。俳優やスタッフ皆が「この人たちどうかしてるのではないか?」と言うほど頑張った。目に狂気があった。でも、台風の北上、猛暑でだんだん疲れていった。台本も遅れて大変だったが、俳優とスタッフが仲良かったし、釜山(プサン)に閉じこもって数ヶ月を一緒に過ごしていたら戦友愛が芽生えた(笑)

―どうやってチェ・イニョクの役作りをしたのか?

イ・ソンミン:医療に関する資料をたくさん見た。EBS「極限の仕事」も参考にした。患者のために病院の近くに引っ越した医師を見て重症外傷について考えた。亜洲(アジュ)大学のイ・グクジョン教授のインタビューを見て自然に責任と使命感を持つようになった。
―チェ・イニョクが救えなかった患者の家族が2人の子供だったことに胸を痛めた
イ・ソンミン:そのシーンで感情をコントロールするために頑張った。コントロールできないと大変なことになると思った。リハーサルのときから子供たちを見て戸惑った。冷静になろうとしても戸惑ってしまった。これが僕に起こることかもしれないから、僕の子供もそうなるかもしれないと思った。

―チェ・イニョクというキャラクターはあまりにも理想的で非現実的なのでは?

イ・ソンミン:どこかにはチェ・イニョクのような人はいるはずだ。撮影に協力してくださった方もそう言った。チェ・イニョクのような医師はいると。イ・グクジョン教授のこともたくさん話したが、僕も彼を尊敬する。劇中のチェ・イニョクよりさらに大変だったはずだ。このドラマは「医師が一番怖がることは何か?」という根本的な問いを投げかけている。医師が一番怖がるのは恐らく自分の前で患者が死んでいくことを見ることだと思う。チェ・イニョクもその怖さのせいで、どうにかしてでも患者を救おうとしているような気がした。それが僕がこのドラマを通じて得られた答えだった。

―社会的に敏感な話題を扱ったドラマだが

イ・ソンミン:僕はこういうことを期待していた。このドラマを通じてより多くの人に重症外傷、外傷センターが認知され、その必要性を理解してほしかった。

―目標を達成したと思う?

イ・ソンミン:多くの人が重症外傷について理解しているようだ。海雲台(ヘウンデ)のペク病院に電話がかかってきて「重症外傷患者をそちらに運んでもいいか?」と聞いた人もいたらしい。このドラマがこういうところに影響を与えたと思う。

―相手役のソン・ソンミはどんな人?

イ・ソンミン:本当に良かった。初めはソン・ソンミさんが有名な女優さんなので、緊張していた。今回初めて会った。実際会ってみたら、目を合わせることができなかった。それで撮影が始まって、初めてのシーンを撮るときはぎこちなかった。でも、実際彼女は僕が思っていた女神ではなく、普通の女性だった。僕は女神だと思っていたが、とても優しい普通の人だった。

―恋愛模様が発展しなかったことを残念に思わない?

イ・ソンミン:残念だと思う。ロマンスを演じるために始めたわけではい。でも、演じていたら視聴者の反応もそう悪くなかったし、恋愛が描かれるんだなと思ったがそうではなかった。それでお互い演技に集中した。実は僕はロマンスや恋愛模様を演じたのは初めてだった。これまで男性とはあった。シン・ハギュンさんやイ・ソンギュンさんとはカップルになったこともある(笑) 演技でもこのように恋愛模様があるから、とても面白かった。恋愛模様がなくなって残念に思った。チェ・イニョクというキャラクターにとって休める所はシン・ウナ(ソン・ソンミ)だった。個人的にもそうだし、チェ・イニョクとしても最後にシン・ウナが病院に残ってくれて嬉しかった。そうでなかったら、チェ・イニョクはかわいそう。

―父がスターとなったことについて12歳の娘はどう思う?

イ・ソンミン:僕の娘は「お父さん、かっこいい。最高!」と言ってくれる子ではない。「ドラマの本番は必ず見る」とは言った。散弾銃に打たれた患者はどうなるのかも聞いてみた。「チェ・イニョクはかっこいいか?」と聞いたら「うん。かっこいい」と言っただけだった。でもチェ・イニョクに対する学校の先生や友達の関心が高まるから、嬉しがるとは思う。それを家で話したりはしない。子供の頃から父の仕事について話してあげた。俳優が父の仕事であり、それは楽しむための趣味ではないことと父の仕事は俳優で、芸能人ではないことを話してあげた。でも、やむを得ず芸能人になってしまった(笑)

―イ・ソンミンの“ゴールデンタイム”はいつ?

イ・ソンミン:ドラマでゴールデンタイムは救急室に運ばれてきた外傷の患者が命を取り戻せる時間であり、イ・ミヌとカン・ジェインが色んなことを経験する時間という意味もある。僕にとってもその経験する時間が“ゴールデンタイム”ではないかと思う。演劇をしていた20代にその時間を乗り越えずに止めてしまっていたら、今の僕は存在しない。もちろん涙をこぼすときもあったが、大変だとは思わなかった。目を輝かせながら何でも学ぼうとしたあの頃が僕の“ゴールデンタイム”だと思う。どうやってその時間を乗り越えたかが不思議に思えるし、もしその時間がなかったら、今の僕も存在しなかったと思う。

記者 : イ・スンロク、写真 : ソン・イルソブ