“国民のドラマ”を目指す「いとしのソヨン」に必要なこと

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イ・ジョンシンはなぜ“家庭教師”イ・ボヨンに惹かれたのだろうか

KBS 2TV「いとしのソヨン」は“キャンディ(漫画キャンディ・キャンディの主人公、お転婆な少女の意味)のような役柄”という設定だけを見ると、MBC「メイクイーン」と似ているようにも見える。無能力な父親イ・サムジェ(チョン・ホジン)とは反対に生活費や学費を稼ごうとあくせく頑張るイ・ソヨン(イ・ボヨン)の姿は「メイクイーン」の中のチョン・ヘジュ(ハン・ジヘ)のキャンディ型の役柄と似ている。

二人の女性主人公の強い生活力に比べて家族の生活力は落ちるということも共通点だ。「メイクイーン」のチェン・ヘジュの家族は母親チョ・ダルスン(クム・ボラ)が屋台をやってはいるが収入はわずかだ。無能力な息子チョン・サンテ(ムン・ジユン)は家計を助けるのはおろか、事業を口実に仕事まで辞める。チョン・ヘジュが稼ぐ収入に4人の家族が頼っている状況だ。「いとしのソヨン」でも、イ・ソヨンの父親イ・サムジェは娘のイ・ソヨンより生活力がない。

「いとしのソヨン」が国民のドラマとして人気を得た「棚ぼたのあなた」の名声を続けていけるかはもう少し見守る必要がありそうだ。これまで2話を放送しただけだが、展開や蓋然性、倫理的な面で疑問を持たせるシーンがいくつかある。

一つ目は家庭教師のイ・ソヨンがカン・ソンジェ(イ・ジョンシン)との初の授業で心理戦をした後のことだ。カン・ソンジェはいわゆる家庭教師“キラー”だ。家庭教師が来れば、皆が皆「これ以上は教えられない」と逃げていく問題児だ。そんあ彼を教える人がイ・ソヨンなので、二人の間で心理戦が繰り広げられるのは火を見るより明らかだ。

しかし、1回の心理戦をしただけなのに、カン・ソンジェはイ・ソヨンに興味を持つ。イ・ソヨンが置いていった上着を預かっておいて、家庭教師にすぐに反応を示す2番目の授業と1番目の授業の間、カン・ソンジェがなぜとりわけイ・ソヨンに興味を持つかに対する蓋然性が弱い。普通の家庭教師とは違って音楽を大きくかけた状態で授業をしたという理由だけでソヨンに親近感を持つのは説得力が弱い。

ニつ目は、イ・ソヨンが済州(チェジュ)島行きの飛行機に乗るために、カン・ウジェ(イ・サンユン)のバイクを盗むという設定だ。済州島にいる母親が倒れて緊急手術を受けるという知らせを聞いたイ・ソヨンは済州島行きの飛行機に乗り遅れないために目の前にあるバイクに乗って空港に走っていく。

しかし、イ・ソヨンが乗っていたバイクはカン・ウジェのもの。人のバイクを盗んだのだ。脚本家は倒れた母親を急いで会いに行くという目的のために、バイク窃盗という極端な手段も容認する。イ・ソヨンとカン・ウジェの“縁”または“悪縁”というストーリーの展開のために窃盗という非倫理的な設定をしたのだ。

既存のドラマで数多くみてきた設定、例えば、困難を乗り越えるキャンディ型の主人公やお金持ちの家の男性との恋愛という設定を他のドラマと違うように取り扱いたいのなら、蓋然性不足や非倫理的な設定は排除しなければならない。

記者 : パク・ジョンファン、イ・ジョンミン