【PEOPLE】イ・ジュンギを構成する5つのキーワード

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イ・ジュンギ

「かなり自意識が強いほうなんです。だから、なかなか落ち込まないタイプです。どんなに辛いことがあっても落ち込まないんですけど、もしそんな僕を落ち込ませるほど強烈な“何か”を経験したら、たぶんものすごく傷つくと思います。しかも、かなり長い間。挫折の期間は想像もできないぐらい長いかもしれませんね」―イ・ジュンギ、雑誌「COSMOPOLITAN」とのインタビューより


ソ・テジ

イ・ジュンギが幼い頃から“アイドル”として憧れたミュージシャン。
イ・ジュンギは後に、ソ・テジのカムバック特集番組に出演したり、ソ・テジが公演をした蚕室(チャムシル)室内体育館でファンミーティングを開催した。また、SMエンターテインメントのオーディションを受けたこともある。すでに知られている通り、イ・ジュンギは30万ウォンだけを持ってソウルに来て、様々なアルバイトをし、ファンクラブにも加入したロバート・ハリーの家でお世話になるなど、あらゆる苦労をしながら芸能人になるための準備をした。高校3年生の時、友達の演技の先生が出演した演劇を見て、「ステージに立っている俳優に向かう観客の視線を見て、羨ましいと思った。客席に座っている人々の感情をコントロールするその俳優が神のように見えるほどだった」と話したイ・ジュンギだが、彼は自分が感じたことを行動に移したのである。また、小学校2年生の時からパソコン通信のハイテル(インターネット普及前の韓国国内用パソコン通信)に加入しており、デビュー前にインターネット上で様々な活動を行った。彼はスターを“アイドル”として考え、本物のスターになるために積極的に努力し、インターネットを通じて自分に対する反応を見るのが当たり前のことになった最初の世代である。

CLAZZIQUAI PROJECT(クラジクワイプロジェクト)

イ・ジュンギが出演したミュージックビデオの曲「Sweety」を歌ったグループ。
このミュージックビデオでイ・ジュンギは、爽やかな美少年のイメージを見せてくれた。イ・ジュンギは学生時代、全国体育大会にテコンドー選手として参加するほど、ずば抜けた運動神経を持つ一方で、“少し鋭くシャープな形をした”目がコンプレックスだった。しかし、オーディションではその目のおかげで出演が決まり、強くタフなイメージよりも美男子であることが目立った。自分の実際の姿と芸能界が望む姿が異なっていたのである。しかし、演技の授業をまともに受けていない状態で、オーディションにすべてをかけなければならなかったイ・ジュンギは、あれこれ言える立場ではなかった。情熱一つで事務所に入ったが、それ以上のチャンスはなかなか訪れなかった。彼の言葉どおり、“不足を情熱で埋めようとした”時代だった。そして「王の男」に出会った。

イ・ジュンイク

映画「王の男」の監督。
イ・ジュンギの“何を考えているのか分からない目つき”に惹かれ、彼をコンギル役にキャスティングした。イ・ジュンイク監督は、オーディションでイ・ジュンギに「男と寝たことがあるか?」と聞いたが、それはあくまでもカム・ウソンが演じたチャンセンに愛されるコンギルのキャラクターを考えて投げた質問だった。「王の男」でイ・ジュンギは大道芸人コンギルを演じるためにタンブリングをはじめ、ほとんどの大道芸の技を自分で行った。しかし、映画でのコンギルは男女を問わず、すべての人を魅了するか弱い花のような男である。そのため、彼は技の練習をしているときでも、肌が荒れたらすぐに肌の手入れを受けなければならなかった。そんな状況のせいか、彼自身はコンギルが自分に合う役なのかと疑問を感じたこともあった。性別も本心も知ることはできないが、美しいということだけは確かな男。「王の男」でイ・ジュンギが見せた最も重要な演技は、特定の台詞や行動ではなく、作品全体を通して見せた美しさそのものだった。コンギルは数多くの女性たちに衝撃を与えた存在であり、韓国大衆文化史に新しく登場した男性像だと言っても過言ではない。そして、「王の男」は観客動員数1000万人を達成した。これについてのイ・ジュンギの感想は「どうやったらこんな数字が出るんですか?」だった。

ザクロ青年

イ・ジュンギが出演したCMのキャラクター。
女性たちに囲まれ、魅力的に歌を歌うイ・ジュンギの姿はコンギルの独特なイメージを最大化したものであった。当時、彼は男性的なCMを撮りたいと思っていたため、CMでの自分の姿が恥ずかしいと思った。しかし、彼が宣伝した商品が1ヶ月間で100億ウォン台の売り上げを記録し、彼は人々が思う自分のイメージを受け入れることにした。しかし、イ・ジュンギの実際のエピソードに似ているのはCMではなく、父親の反対を押し切ってソウルにやってきてスターになるという、漫画の中のザクロ青年のストーリーだった。それにも関わらず、人々はイ・ジュンギの実際の姿より彼のイメージのほうを好んだ。つまり、20代の若者イ・ジュンギとスター、イ・ジュンギの間にはそれほどの距離があったのである。「王の男」で始まった爆発的な人気は後日、「自分で考えてみても、その時は少し雰囲気に流された感じがする」と言うほど、彼が役者としてバランスをとるのを難しくし、しばらくの間「いきなりその人気が下がった」こともあった。そして、イ・ジュンギはその時から自分がやりたいと思うことをやり始めた。

キム・ジンミン

イ・ジュンギが出演したMBC「犬とオオカミの時間」の演出家。
SBS「マイガール」でイ・ジュンギが演じたキャラクターはコンギルのように美男子のイメージが強かったが、映画「フライ・ダディ」では長い髪を保つ代わりに、芯があり、けんかが強い高校生を演じた。また、光州(クァンジュ)民主化運動を描いた映画「光州5・18」では、当時の高校生のような短髪の姿を見せた。イ・ジュンギはコンギルのイメージから徐々に抜け出し、キム・ジンミン監督に「他人が話すイ・ジュンギは気にしていない」と告げ、「犬とオオカミの時間」に出演した。そのドラマで彼はやっと自分の運動神経を存分に発揮し、新しい可能性を示した。交通事故に遭うシーンを代役なしでこなして血を流したり、記憶喪失になった秘密工作員を演じるなどして、視聴者にタフな演技ができるということを見せた。彼自身も認めているように“相手との感情の交流を表現”するラブストーリーの演技にはまだ限界を感じるが、思い切り体を張った演技は、コンギルのイメージを払拭するための彼なりの方法だった。「犬とオオカミの時間」を起点に、イ・ジュンギは自分の実際の姿を作品に投影し始めた。

イ・ムンシク

映画「フライ・ダディ」とSBS「イルジメ【一枝梅】」で共演した俳優。
イ・ジュンギはイ・ムンシクと共演したいと思い、事実上、脇役に近かった「フライ・ダディ」への出演を決めた。そして、どんな状況であろうと徹底的に準備するイ・ムンシクから大きな影響を受けたという。イ・ジュンギの話題作が「王の男」だとしたら、イ・ジュンギの代表作は「イルジメ【一枝梅】」だといえる。彼は「イルジメ【一枝梅】」で「王の男」の時と同じく、美しい容姿を見せる一方で、「犬とオオカミの時間」の時のように休むことなく走り、転び、水に潜るといった様々なアクションを披露した。大道芸人コンギルはイ・ジュンギの容姿が持つイメージを最大化させたが、イルジメは彼自身が作品の中で思う存分に遊びながら完成させた新たなスーパーヒーローだった。彼の容姿が持つ柔らかなイメージを自分の性格や才能と組み合わせて、彼にしかできない分野を見つけ出した。

ポッピン・ヒョンジュン

イ・ジュンギの友人のダンサー。
「フライ・ダディ」で共演し、彼にポッピンダンスを教えた。イ・ジュンギは1万人を超えるファンを招待した大型ファンミーティングを開催し、彼から習ったダンスや歌を披露したこともある。そのファンミーティングはDVDとして発売されており、韓国はもちろん、海外でも高い売上を記録した。イ・ジュンギは出演作を通じて、徐々に彼独特の個性を持つ俳優の道を歩む一方、演技以外の活動を通じて自分の明確なキャラクターやスター性を見せてきた。幼い頃からパソコン通信に親しんだ世代らしく、インターネットを通じてファンたちと上手にコミュニケーションをとっている。また、ノ・ムヒョン大統領にスクリーンクォーター(自国内で制作された映画の上映日数やスクリーン数などに最低基準を設けて国内の映画館に義務付ける制度)に関して公開質問をした時は、「僕が用意した質問はほとんどNGが出た。あれもダメだ、これもダメだ」とあからさまに不満を表した。ブームの中心にいるスターがこのような率直な性格だったため、彼は非難を浴びることが多かった。しかし、イ・ジュンギはその分、作品の外でも興味深いキャラクターだと思われ、俳優というイメージを固めながらも、まるでアイドルのようにファンたちを熱狂させた。少なくとも今までのイ・ジュンギは、望んでいるものをその望みどおりに手に入れてきた。

シン・ミナ

イ・ジュンギの除隊後の復帰作、MBC「アラン使道伝」で共演している女優。
イ・ジュンギは軍に入隊するため、SBS「シンイ-信義-」への出演が取り消しになり、MBC「ヒーロー」は相手の女優が怪我をして交代するなど紆余曲折を経たあげく、結局いい結果にはならなかった。これまでの出演作を通じて興行成績はもちろん、スター性や俳優としての成長も認められてきた彼だが、初めて不振を経験したのである。また「アラン使道伝」は「犬とオオカミの時間」や「イルジメ【一枝梅】」のようにアクションを披露する男性主人公のストーリーに焦点が当てられるのではなく、その代わりにシン・ミナと“相手との感情の交流を表現”するラブストーリーを演じることが不可欠である。さらに、彼が演じるキャラクターウノは、いわゆる“カチルナム”(神経質で気難しい男)のようなはっきりとした性格を見せるというより、幽霊であるアランをリードする役である。そのため、イ・ジュンギにはより繊細な感情表現が求められる。「王の男」はイ・ジュンギに実際の自分と違う演技を要求した。「犬とオオカミの時間」では、彼がやりたがっていたものを見せることができた。そして、「アラン使道伝」では彼がより良い俳優になるために必要なことをやり遂げなければならない。彼は自分の意志で俳優になり、実際の自分とは違う強烈なキャラクターで愛されたが、最終的には自分の姿を表現して人々から認められた。「アラン使道伝」以降のイ・ジュンギも、自分の力や確信を推し進めることができるだろうか。イ・ジュンギの新たなストーリーが始まった。

記者 : カン・ミョンソク、翻訳 : ナ・ウンジョン