PSY「人生を楽しめば面白いことが起きるかもしれない」

10asia |

「番組が放送されるときには、この曲は話題の的になっているでしょうね」
PSYがMBC「黄金漁場-ラジオスター」で話したことが現実となった。異なっていたことは、世界的に話題となったことだ。彼の新曲「江南(カンナム)スタイル」のミュージックビデオは、YouTubeでの視聴回数が2600万を越えており、ジャスティン・ビーバーの所属事務所が彼に関心を持ち、全世界の数多くの人々が「江南スタイル」の様々なダンスをパロディ化した。最初から最後まで人々を笑わせるために作ったミュージックビデオ、タイトルは「江南スタイル」だが、漢江(ハンガン)川辺でサンバイザーを被った女性たちが後ろ歩きをするそのミュージックビデオが引き起こしたこの事態に対し、PSYは一体どんな気持ちなのだろうか。彼のコンサートが開かれた11日、蚕室(チャムシル)補助競技場で彼を取材したCNNとロイター、そしてアメリカABC放送に続いてPSYに会った。

―全世界で予想しなかったような大きな反響を得ている(笑) どんな気持ちなのか。

PSY:ただ衝撃を受けた。一体何が起こったのだろう…実は海外でいい反応を得ようと思っていたわけでもなく、期待してもなかった。韓国でヒットすることを望むだけだった。何も期待していなかったので、何も準備できなかった。実際に、「江南スタイル」に対する反響が大きな意味を持っているとは思っていない。人々は面白くて、笑えることに反応するだけだから。ただそれだけ。大きな期待はしていない。

―しかしT-PainのようなミュージシャンがTwitterで「江南スタイル」について言及したのは、本当に珍しいことだと思う。

PSY:嘘のようだ。韓国で録音するときや、機械音(オートチューン)を使うときに、「その部分でT-Painのような声を出してみたらどうか」と言われた。憧れの人から言及されたいうことだ。2回もメンションしてくれて、2回目のコメントには「お、お、お」と書いて、後に顔文字を使ってくれた。とてもセンスのある人だった。それにこの前、T-PainがTwitterでカラオケに行ったと書き込んでいたが、カラオケの機械がテジンメディアのものだった。韓国のカラオケに行ったみたいだ。今度、会うチャンスがあったら、カラオケに連れて行きたい(笑)

“面白くなければ何も残らない”が最初のコンセプトだった

―日本での活動を開始する計画だと聞いたが、このように大きな反響を得ているのだからアメリカで活動する方がいいのではないかという意見も多い。ジャスティン・ビーバー側から連絡を受けたという記事もあった。

PSY:まだ確定したことは何もない。何か決まったら、そのときに話したい。海外市場は巨大で、西ヨーロッパはアジア人が進出するには障壁が高いから。そこまで期待したくはない。ただし、コラボレーションのようなことは、良いチャンスがあるならいつでもやって見たい。今回のアルバムも6曲の中で5曲が、コラボレーションした曲であるくらい、いつもやっていることだから。良いチャンスが来たら、面白くやれそうだ。そして韓国の音楽と韓国のショーがどんなに素晴らしいかを見せたい。

―「江南スタイル」は発表するやいなや韓国内でも大きな反響を得て、その次は世界の皆が楽しんでいる。どのようなパワーでその様に人々を惹きつけることができたのだろうか。

PSY:「江南スタイル」や僕のショーに熱狂する理由は同じだと思う。面白い曲で、面白いショーだから。自分で言うのもなんだが(笑) 芸能人として本当に格好良いと思ったり、「あの人に一度で良いから会ってみたい」と思って来てくれる人はいない。ただ観客は自分のストレスを解消するために来ている。「江南スタイル」も音楽性が素晴らしいとか、音楽鑑賞用の曲だとは思っていない。「江南スタイル」と僕の公演、両方ともただ“fun”なのだ。面白くなかったら、何も残らないということが最初のコンセプトだった。蒸し暑い天気に、経済状況が悪化している今を、ただ楽しませてあげたかった。

―面白さのメインポイントとして江南を選んだ。どうして江南なのか。

PSY:江南に対してこんなに質問が多いとは…本当に江南(カンナム)区から賞でももらわないと(笑) 江南はソウルでもっともホットな場所だ。ところが、実際、このミュージックビデオではホットではない人が、ホットではないダンスを踊りながら、ずっとそれがホットな場所でのスタイルだと言い張っている。たまに見る、まったく江南スタイルではない人が、江南スタイルだと言い張ることが面白かったから、一度やってみたいと思った。一種の皮肉でもある。僕はずっと江南育ちだったけど、僕のビジュアルもまったく江南スタイルではないから面白いと思ったし、それがこの曲のポイントだと思う。

―ミュージックビデオでの一段と改まった姿も面白い。

PSY:僕は一度も笑わせようと努力したことがない。本当に、僕はいつも真剣だ。踊るときも自分で「あ、俺ってカッコいいな」と考えていても、人々は笑う。僕は本当に真面目な人で音楽、ダンス、ステージ、すべて真剣だ。私の外見やコンテンツは面白いけど、内面はとても真面目である。真面目だから改まってしまう。このミュージックビデオを撮るための撮影場所を探すために35ヶ所くらい回った。制作過程はほとんど壮大なスケールの一大叙事詩だった。もちろん情けない結果だったけど(笑) 最近のミュージックビデオは似ている部分が多い。キレイなセットでキラキラ輝いているから。しかしこの作品はミュージックビデオの最初から最後まで、一瞬もカッコよく映ってはいけないということを目標にした。思いがけないところで笑わせたかった。最終的には最高の仕上がりとなった。本当、全然カッコよくない(笑)

―真面目だけど面白い結果を出せることが、PSYだけの特徴みたいだ。あなたの音楽は、ジャンルは違うが、曲に込められている独特の感情やスタイルがある。

PSY:僕にはデビュー当時から決まったジャンルがあったわけではない。あえてジャンルを問い詰めるなら、歌詞による分類があって、「江南スタイル」は面白いことをするジャンルだった。そして、これをする理由は、その時の人々がそれを望んでいるからであり、踊りたいときはダンス曲を使い、走りたいときはロックの曲を使う。そして今回は、夏にこの曲に合わせて踊ってみようという趣旨があった。今回はこんな感じだったので、踊りやすい曲を作った。

今までの歌手生活は“今年で12年目”ではなく“それにもかかわらず12年目”

―特に今回の「江南スタイル」は人を楽しませる多様なアイディアが集約された曲のようだ。ミュージックビデオにユ・ジェソクとノ・ホンチョル、そして4Minuteのキム・ヒョナなどがゲストとして出演したり、次のシングルになるかもしれない「お兄さんはぴったり私のスタイル」も公開される。

PSY:「お兄さんはぴったり私のスタイル」は「江南スタイル」を作るときから上手くいけば、女性版を作ろうと話していた。これは、たくさんの方がカラオケに行って遊ぶ方法を提案しているのだ。「江南スタイル」がうまくいけば、人々はカラオケに遊びに行ってこの歌を歌うと思うし、女性も自分の立場で歌うほうがもっと面白くなると思ったから作った。それでキム・ヒョナさんが歌うバージョンも一緒に撮影した。キム・ヒョナさんはあまりよく知らない方だったけど、僕が行き当たりばったりで電話をかけた。ミュージックビデオを撮影する予定があると話し、内容とコンセプトを説明した上で、「相手役をしてほしい。一緒に“馬ダンス”を踊って下さい」とお願いした。それでEメールで馬ダンスの資料と音楽を送ったけど、「面白い」と言って、快く引き受けてくれた。何の代価もなしに、3日間もミュージックビデオの撮影に挑んでくれた。キム・ヒョナさんが報酬なしで3日間という時間を費やしてくれたのは簡単なことではないので、本当に有難かった。

―歌がヒットして望み通り、皆がカラオケでこの曲を歌って楽しむと思う。このような状況で行う公演は特別だと思う。

PSY:僕もそうだし、観客も今日は本当に気持ち良いと思う。一先ずサッカーの試合も勝ったし(笑) 僕が、「公演チケットが売り切れたらCDを買ってあげる」と約束したけど、本当にそうなった。今、3万枚のCDを無料配布中だ。こんなに上手く行くとは思わなかったからした公約だったのに…卸価格で買ってもすごい金額だった(笑) 自分なりの哲学のようなものはないけど、“人々を楽しませたい”ということが僕の哲学と言えば哲学だ。僕がエンターテイナーだからではなく、1人の人間として、それが自分が生きる理由だから。僕は人々を楽しませたいし、それが僕の音楽とショーとミュージックビデオのすべてだ。今回はそのようになって嬉しい。

―公演が終わるとMnet「SUPER STAR K4」が待っている。自身の哲学をもとにどんな出演者を選びたいのか?

PSY:プロではなく、プロになりたい人たちなので可能性とスター性、希少性に注目した。ただし一つ心配なのは、撮影した中に不本意ながら厳しく審査をした部分が多いということだ。予選では厳しいことを言ったので、それが放送されると思うと心配だ。「SUPER STAR K」には本当に切実な人たちがたくさん来ているが、時々軽い気持ちで参加していた人がいた。それぞれが異なる意図と心構えを持って参加している人たちの中で、まったく切実ではない人には本気で怒った。「帰れ」と言った。真面目に怒ったので編集してほしいとお願いしたけど、とても心配だ(笑) YGエンターテインメント代表のヤン・ヒョンソク兄さんは「K-POPスター」に出演中、とても優しかった。周りの知り合いたちが見たら「いつものヤン・ヒョンソクじゃない」と言うほどだった(笑) 個人的な飲み会で僕に「俺、最近人気出てきたんだよ~」と言ったりして。ハハ。とにかく僕はヒョンソク兄さんのライバル番組に出演することになって申し訳ないけど、僕は僕なりの基準で審査したい。

―「SUPER STAR K」で自分のような才能を持つ人がまた出てくると思うのか。

PSY:PSYという人は歴史が長い。良い歴史だけではなく、悪い歴史もある(笑) 今日まで計12年間歌手生活を送ってきたけど、“だから12年”や“それだから12年”ではなく、“それにもかかわらず12年”だ。僕に似ていたり、僕に追いつく歌手にはなってほしくない。僕の行く道は茨の道でもあるし(笑) このキャラクターが完成するためには、たくさんの事件がなければならない。ハハ。ただし、最近のアイドルはとても素晴らしいコンサートを開いている。後輩歌手たちもカッコいいコンサートをたくさん開催してほしい。

―“それにもかかわらず”12年間活動して、良いことも悪いことも、想像を超えたPSYの“PSYスタイル”は何なのか。

PSY:僕は幼いときから今日まで人生を楽しく生きようとしてきた。ところが、運が良かったのか、自分が楽しめることを職業にした。それで今でも面白いことを作りながら生きている。音楽とステージの上では、僕の状況、例えば既婚者であることとか、2人の子供の父親ということについて考えず、楽しく生きれば、面白いものが出てくると思う。これからも皆に面白い音楽を届けたい。

※このインタビューはアメリカのABC放送局とともに行ったものです。

記者 : カン・ミョンソク、インタビュー : Monica Suk、写真 : チェ・ギウォン、翻訳 : チェ・ユンジョン