「私は王である!」チュ・ジフン“入浴シーン?期待しちゃ駄目ということで”

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俳優チュ・ジフン(30)が、コメディ時代劇映画「私は王である!」(監督:チャン・ギュソン、制作:Daisy Entertainment)で自身初の一人二役に挑戦した。外見が似ているという理由だけで、一夜にして身分が変わった奴婢(奴隷階級の男女)のトクチルと皇太子忠寧(チュンニョン)の絶妙な運命を描いた同映画は、チュ・ジフンの3年ぶりの復帰作で、彼にとって初のコメディ映画であるということから、話題となっている。

健康的な褐色の肌を見せつつ、明るい笑顔で挨拶をするチュ・ジフンは、気さくで親しみやすい人物だった。第一印象は上品で落ち着いた印象があり、こちらから近づくことは難しいだろうと思っていたが、思った以上に人懐っこくて優しく、礼儀正しい青年だった。

気まずい雰囲気を変えようと「なぜこんなに黒くなったんですか?」と冗談を言ってみた。するとチュ・ジフンは「いや~それでもこれ、メイクでトーンを明るくした方なんですよ」と冗談を交えた答えを返してくれた。「元々肌の色が黒いほうでしたが、軍隊に行ってからもっと黒くなったようです。僕はインドア派なのですが、軍隊では毎日一定の時間、外にいるでしょう?この肌は、軍隊での生活を頑張っていたという証拠なんです」と笑った。3年間のブランクがあったチュ・ジフンからは、人間味が溢れ出ていた。辛い時期も、大韓民国の男としての国防の義務もすべて果たした彼は、以前よりも図太くなり、シャイなところがなくなっていた。

「俳優は作品を計算した瞬間、脱落する」

―2009年の映画「キッチン~3人のレシピ~」(監督:ホン・ジヨン)以来の久しぶりのスクリーン復帰だが。

チュ・ジフン:今、とてもドキドキしている。映画を早く見たい。除隊後、久しぶりに撮影現場へ行ったら、不思議な気分になった。本番に入る前にテスト撮影を行ったが、軽い気持ちで行ったせいか、いつの間にか体が緊張していた。これまで舞台の練習などをやってきたので、大丈夫だと思っていたが、カメラを見た瞬間、緊張してしまった。本番になったら逆に緊張感がなくなった。前日から役作りや台本の分析に力を入れ、何よりも演技に集中するようになるので、他のことに気を使う余裕もなくなる。

―MBCドラマ「宮~Love in Palace」(以下「宮」)に続き、2度目の皇太子役だ。

チュ・ジフン:実は『宮』はあまりにも昔の作品なので、どう演じていたのかよく覚えていない。当時はハードスケジュールで眠ることもできず撮影を続けていたので、目が回るほど忙しかった。『宮』は完全な時代劇とは言えず、現代劇に近いものだったので、少しは楽に演じることもできたが、『私は王である!』は朝鮮時代を舞台としており、気を配るところが多くあった。しかし、フィクションだというジャンルは一致しているので、特別な苦労はしなかった。

―「私は王である!」を通じての復帰に、冷たい視線を送る人もいる。

チュ・ジフン:そういうことは『宮』と同じことかもしれない。『宮』のキャスティングが決まったとき、モデル出身の俳優への冷たい視線は相当なものだった。今回も色々と言われているが、僕に関する指摘を全部受け入れるわけにはいかない。もちろん、人々は『色々と計算しただろう』と思っているかもしれないが、役者が作品を計算して選ぶことはない。そうすると脱落してしまう。すごく慎重に作品を考えて選ぶ。また、観客には演技で応えようと常に努力している。

「忠寧とトクチルが胸倉を掴むシーンは、死ぬほど大変だった」

―クールで冷たいイメージがあり、コミカルな演技は少し意外だが。

チュ・ジフン:クールなイメージが強くあると思う。しかし、僕には面白いところも意外と多くある。元々外出をあまり好まないタイプだ。今も外よりは家にいるほうが好きだ。一人で映画を見たり、本を読んだり、ご飯と一緒に時々お酒を飲む時間を楽しむ。週に一日ぐらいは外出をしていたが、舞台を楽しむようになってからはよく外に出かけるようになった。外で友達に会えば、僕が一番お喋りだし、一番笑いもとる。表裏があると思われるかもしれないが、それがありのままの僕だ。面白い面も持っているので、今回の映画も苦労することなく撮影できた。

―忠寧とトクチルの一人二役を演じたが、大変だったところは?

チュ・ジフン:面白い部分もあったし、もちろん大変な部分もあった。演技をしていると、二人ともそれぞれ特徴はあるが、正直、その特徴を活かせていない部分もある。特に、相手役のセリフを聞いているシーンでは、僕も知らないうちに相手の話に夢中になってしまい、気がつくと相手の前で話を聞いているのがトクチルであったり、忠寧であったりした。そこが気になり、監督とたくさん話し合った。また、忠寧とトクチルが同時に登場するシーンがいくつかあるが、一つのシーンを丸ごと3日間も撮影した。二人が胸倉を掴むシーンだったけど、死ぬほど大変だった。

―忠寧とトクチル、どちらが本当のチュ・ジフンに似ているのか。

チュ・ジフン:トクチルよりは忠寧に似ている。トクチルは撮影の前に役作りをしてから撮影に入った。どちらかと言うと今の僕とは違う部分が多く、歩き方や喋り方などの特徴を捉え、役作りをした。忠寧はその状況に合わせて僕が自然に演じることにした。そんなふうにして両キャラクターの差をつけた。

―映画で入浴シーンがあり、上半身の露出がある。

チュ・ジフン:これまでドラマや映画を通じて結構露出をしたことがあるが、ファンは特に『私は王である!』の露出に期待をしているようだ(笑) 多分、お風呂に入るからだと思う。お風呂で立つと下半身が出ると思うかもしれないが、劇中では下半身の露出はない。落ちこまないでほしい。僕はその露出シーンのために逆に6キロも体重を増やした。奴婢のトクチルの感じを活かしたいと思ったためだけど、今はまたダイエット中だ。減量は本当に辛い。

「大先輩の方々と共演した気分?“やった~”」

―錚々たる演技派の先輩俳優たちが総出演した。

チュ・ジフン:プレッシャーより信頼を感じた。確固たる信頼が生まれ、『やった~』と嬉しい悲鳴をあげた。本当に、演技が上手い人と共演したほうがいい。勉強になるし、自分自身ももっと頑張るようになる。わざわざ教えてもらうとかではなく、上手な人を見ていると自分も自然と上手になるわけだ。今回の映画でもすごく勉強になった。

―相手の女優とは距離を置く俳優として知られているが。

チュ・ジフン:作品で共演して連絡先を聞いたり、簡単に敬語をやめたりはしないほうだ。だけど、イ・ハニさんとは思った以上にすぐ仲良くなった。イ・ハニさんはものすごく陽気な人だ。素晴らしいと思えるぐらいに優しい人で、意外と早く敬語をやめるようになり、連絡先も初めて僕から聞いた。『宮』では、ユン・ウネさんと8ヶ月ぐらい一緒に撮影をしていたが、作品を終えてから敬語をやめるようになった。シン・ミナさんともKBS 2TVドラマ『魔王』が終わるまで敬語がやめられず、連絡先も知らなかった。その後、『キッチン~3人のレシピ~』で再会してやっと敬語をやめるようになった。全部僕が未熟なせいだ。普段からあまり約束を守れないタイプなので。会って一緒に食事をして、親しい関係を保たなければならないのに、そうする自信がないので気楽に仲良くなることができない。

―公開の時期を考えると「10人の泥棒たち」のキム・スヒョンとの熾烈な競争になりそうだ。

チュ・ジフン:偽善だと思われるかもしれないが、僕は、韓国映画は全部ヒットしてほしい。様々なコンテンツとジャンルがあれば、その分観客の目も楽しくなるだろうし、僕たちも演技の幅を広げることができる。キム・スヒョンとは親しい関係だが、ライバル意識はない。僕も男なので、同じ男性俳優よりは女優に興味がある(笑) どちらかというとキム・スヒョンよりは大先輩たちの演技がもっと楽しみだ。

チュ・ジフンとの率直なインタビューが終わろうとしている中、俳優としての抱負を聞いてみた。毎回受ける質問ではあるが、もっとも答えることが難しい質問でもあると少し考え込んだチュ・ジフンは、自分の過ちを躊躇うことなく口にした。それだけ彼が成長したということだろう。

「俳優という職業は、時々体調や個人の事情に揺れることもあります。厳しい試練も多く経験することになりますが、これからは舵をしっかりと掴み、進んでいきたいです。『人生という嵐を、どうか乗り切れますように』と願っていますし、その分努力したいです。充実した人生を送りたいですし、慎重な人間になりたいです」

記者 : チョ・ジヨン