パク・ユファン「兄JYJ ユチョンとは特別な関係!普段振りまけない愛嬌を役の中で表現した」

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不治の病に冒されたヒロインと彼女を一途な愛で支え続ける男、そして家族の究極の愛のドラマ『千日の約束』。アルツハイマーで徐々に記憶を失っていく姉を懸命に支える弟ムングォン役を好演したのは、日本でも人気のJYJ ユチョンの実弟、パク・ユファンだ。兄に似た繊細な感性でその演技力を高く評価された本作について、そして兄への思いを語る。

―役者になろうと思ったきっかけは?

パク・ユファン:実は、最初は演技に対してまったく関心がなかったんです。でも、たまたま兄(JYJ ユチョン)が「トキメキ☆成均館スキャンダル」のため演技の練習をするのを見たんですが、兄はその役に完全になりきっていたんです。その姿を見て、僕も演技をやってみたいなと。本来なら経験するはずもない他人の人生を経験できるのが魅力的に感じたんです。それで、演技を始めました。

―デビュー作の「きらきら光る」はオーディションで出演が決まったそうですが、どんな気持ちでしたか?

パク・ユファン:とにかく信じられませんでした。当時、僕はとても未熟でしたし、果たしてうまくできるだろうかというプレッシャーもありました。でも、不安以上に嬉しさの方が大きかったですね。興奮してドキドキしたし。とにかく最善を尽くして、1話から最終話までで、キャラクターも自分自身も成長していく姿をお見せしたいと思っていました。

―実際に演技をしてみて、どうでしたか?

パク・ユファン:初めてカメラの前に立った時、事前に用意していたように演技ができず、緊張して汗だくになってしまいました。その時の、耳の中でドクンドクンと鳴り響く心臓の音がいまだに忘れられません。でも、1人で練習している時より、実際に現場で演じるほうがたくさんのことを学べるようです。直接ぶつかって経験したほうが、はるかに効果的というか、より本物の演技に近づけるようです。

―『千日の約束』もオーディションだったのですか?

パク・ユファン:オーディションでした。その時も、とても緊張しましたね。あまりにも有名な監督と脚本家がいらしたので……。あとになって僕を選んで下さった理由を聞いたんですが、スエさんととても似ていて姉弟として違和感なく、ムングォン役に最もよく合っていたと言われました。

―出演が決まった時の心境は?

パク・ユファン:やはり信じられませんでした。僕がこんな作品に出演できるなんて……。監督と脚本家の先生は韓国ではあまりにも有名な方々で、しかも共演のスエさん、キム・レウォンさんも有名な俳優です。僕が下手過ぎて、迷惑をかけたらどうしよう……と不安にもなりました。でも、最善を尽くそう! 先輩たちと先生方にたくさん学ぼうと思いました。

―周囲の反応はどうでした?

パク・ユファン:もちろん祝ってくれました! 母も兄もこんないい作品に参加できることを喜んでくれましたし、とくに兄は「最善を尽くして頑張れ、いろいろ大変だろうけどその分、学べることも大きいから」と言ってくれました。

―脚本のキム・スヒョン作家は俳優にも厳しいことで有名ですが。

パク・ユファン:ムングォンという人物は脚本家が作ったキャラクターです。なので、僕がいかに役作りをしようが、回答は脚本家が持っていると思いました。だから、できるだけ脚本家が考えるムングォンを演じようと頑張りましたし、台本の読み合わせの時にも、僕がセリフの言い方、表現を間違えると、その度に先生が「ここはこういう感情でこういう風に表現すればいいのよ」と教えて下さいました。

―ユファンさん自身ではムングォンというキャラクターをどう解釈し、どのように演じようと心がけたのですか?

パク・ユファン:まず、この姉弟はつらい幼少期をともに過ごしてきたため、普通の姉弟とは違う特別な関係にあると思いました。ムングォンにとっては姉が母であり父であり同志であり……すべてなんです。なので、その姉が難病を患っていると知った痛みを、真心込めて演じようと心掛けました。他の誰よりもつらいはずなので、それを最大限に見せようと思ったし、姉のことを誰よりも思う良き弟に見えるよう演じようと心がけました。

―泣く演技が多かったと思いますが、その点で苦労はありませんでしたか?

パク・ユファン:泣くと言っても、みんな同じ泣き方ではありませんよね。その都度の理由があって、その時々の感情があるので。僕がもし気持ちのとらえ方を間違えて泣きだしてしまったりすると、脚本家の先生が「そうではなくて、こういう気持ちなのよ」と詳しく教えて下さいました。でも、感情を出すシーンは、僕がまだ新人だったこともあって、最初はとても大変でしたね。役に入り込むのも大変だったし。感情を出すために、兄が同じ病気にかかったら……と想像もしてみました。はじめは兄を通じてそういった感情を引き出していたのですが、撮影も中盤以降になると、自分自身も知らぬ間に、完全に役に入り込んでいました。スエさんを見ただけで悲しくなり、自然と涙が出てくるほどでした。

―ムングォンとユファンさん自身が重なったり、共感したりした部分はありましたか?

パク・ユファン:ソヨンとムングォン姉弟は小さい頃から二人きりで、(親に捨てられているので)悲しみも喜びも分かち合ってきた仲です。そういう部分で、僕と兄の関係ととても似ていました。僕も、兄とは特別な関係だと思っているので。そこからムングォンの気持ちを引き出したりもしていました。

―ムングォンは理想的な弟に見えましたが、ユファンさん自身はどんな弟なのですか?

パク・ユファン:兄にとって誇らしい弟になりたいと思いますが、いろいろと失敗することもあり……。兄と2人でいるときは、お互いへの気持ちをあえて表現することはないのですが、離れているときは互いを意識したり、気にしたりします。やはり僕たちは心が通じ合っている、特別な兄弟なんだと。なので、普段、兄に愛嬌を振りまきたくても照れてできない分、ムングォンを通じてソヨン姉さんに表現していたと思う。僕が兄に本当はしたかったことを、代わりにソヨン姉さんにすべて捧げたと思います(照笑)

―そのスエさんをはじめ、共演者からアドバイスを受けたり、演技について相談するようなことはありましたか?

パク・ユファン:スエさんには常に相談していましたね。「このシーンは、ソヨンの立場から見てどうでしょう?」とか。スエさんの方から「セリフを合わせてみようか」と声をかけてくれたこともあります。何より、先輩方と一緒に演じることそのものが助けになったし、学んだこともたくさんありました。

―物語はシリアスでしたか、現場の雰囲気はどうでしたか?

パク・ユファン:本当にシリアスで悲しいドラマだったので、そういったシーンを撮るときはスタッフの方々がうまく感情を出せるように雰囲気づくりをして下さったのですが、それ以外はファミリーのように過ごしていましたね。たくさんふざけたり、おしゃべりしたり。それに、僕だけが映るシーンでも、キム・レウォンさんやスエさんなど、先輩方が本当に真剣な顔で僕を見つめているのを見て、とても感動しました。

―特に苦労したシーン、悩んだシーンは?

パク・ユファン:すべてのシリアスなシーンが大変でした。中でも涙を流すシーンですね。それぞれに別の意味合いがあったので、それぞれを分析するのが最も大変でした。また、分析してから、それを現場で表現するのも大変でしたが、それは本当に演技の勉強に役立ったと思います。

―撮影を終えたとき、どんな気分でしたか?

パク・ユファン:終ってからも、なんだか悲しい気持ちでした。ムングォンの余韻が残っていた気がします。

―「千日の約束」を終えて以降、「美男<イケメン>☆スター誕生」や「あなたなしでは生きられない」と主演作が続いていますが、どこにポイントを置いて出演作を選んでいますか?

パク・ユファン:まず、オファーがたくさん入ってくるといいなと思っています(笑) 出演作については、より新しい役をやってみようと思いながら選んでいます。前作とは違うキャラクター、僕の新しい面を見せられるキャラクターを求めていますね。もちろん新しい役を演じるということは、前作よりうまくいかない場合もあると思いますが、挑戦を恐れたりはしません。精一杯、頑張るのみです。

―では、演技の面白さを感じるのはどんなときですか? 逆に難しさを感じるのは?

パク・ユファン:演じる前はいつも、悔いのないように頑張ろう! と意気込むのですが……それでもやはり悔いることはあって(笑) でも、最も面白くやりがいを感じるのは、僕が想像していた気持ちで役にうまく入り込めたときは、演技を面白く思うし、やりがいを感じますね。最も難しいと感じるのは、役に入り込めないとき、集中できないときです。そんなときも監督がいろいろと助言してくださるので、有り難く思います。

―役者以外でやってみたいことはありますか?

パク・ユファン:実は、役者の世界に入る前は、僕には夢がありませんでした。そのことにストレスを感じたりもして、僕は何がやりたいのだろうと悩んだこともありました。今、演技の世界は、僕の初めての夢になっています。なので、とにかく今は役者をやっていたいんです。他のことであえてあげれば……ドラムかな。チャンスがあったらドラムはやってみたいですね。

―いろいろな役をやることによって発見した、新たな自分はありますか?

パク・ユファン:新しいキャラクターを演じるたびに、それは感じますね。ムングォンの場合も、僕ってこんなに泣けるんだとか、僕もこんなに感情を出せる人間なんだと、思いましたし。「K-POP~」のときは、ああ、僕ってこんなに気難しいところもあるんだ、なんて発見がありましたね。

―最近のお気に入りは何ですか?

パク・ユファン:実は、デビュー作の時から癖になっていることがあって、それは漢江で台本を読むことなんです。今でも時間があるときは、一人で漢江へ行って、静かに台本を読んだりします。

―以前プライベートで来日しているそうですが、その時の日本の印象は?

パク・ユファン:JYJのコンサートの時に一度来日しましたが、時間がなくてコンサートだけ見てすぐに帰りました。日本は元々美味しいもので有名ですが、そういうグルメを体験できずに帰ったので、すごくもったいなかったです。

―来日について、ユチョンさんから助言はありましたか?

パク・ユファン:僕も新作「あなたなしでは生きられない」の準備などスケジュールが詰まっていて、兄も「屋根部屋のプリンス」の撮影中なので、一緒に住んでいても家で会えるのは週に1度あるかどうかなんです。来る前に電話では話しましたが、「仕事をしっかり頑張れ」と、それから「美味しいものがたくさんあるから食べてこい」と言われました。それで、今回の来日はとても楽しみにしていました!

―日本でやりたいことは?

パク・ユファン:日本でもどこでも、ひたすら演技をやっていたいのですが……。今回、日本のTVでも「千日の約束」が放送されることになり、またDVDも出るということで、本当に良かったです。僕の顔が日本のTVにも映り、視聴者の方々にあの感動を伝えられるので、本当に嬉しく思っています!

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・「千日の約束」公式サイト

記者 : Kstyle編集部、撮影:矢島英幸