キム・ジンピョはラッパー?それともレーサー?

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写真=レモンブリーズ

6枚目のフルアルバム「JP6」でカムバック

この男。芸能人なのか、スポーツマンなのか、紛らわしい。1995年からずっとラップを続けていたのが、ある瞬間からレーシングトラックの上で車を走らせている。ましてや、各種レーシング大会の1年分のスケジュールを立ててから、他のスケジュールを調整するという。それだけではない。最近はMCも努めており、テレビでもよく見かけるようになった。4年振りに6枚目のフルアルバム「JP6」でカムバックするキム・ジンピョのことだ。


「ありきたりの愛を避けようとしたら…夢見てはならないものだけになってしまった」

「音源だけリリースするには少し歯がゆいし、ミニアルバムは職務放棄のような気がして」フルアルバムをリリースしたという。音楽への渇きは常に持っていたが、「マルチプレイヤーになれないスタイルなので、やりこなす自信がなくて」持ち越しているといつの間にか4年が過ぎていた。キム・ジンピョは11月XTM「Top Gear Koreaシーズン1」が終了してから、2012年2月までもっぱらアルバム作業に集中した。

「アルバム作業だけは他のことと並行できません。流れが絶たれるんです。1年半前から曲を集めて、時間ある度に歌詞を練り出しました。いつもより準備が整えられていたので、11月から毎週1曲ずつ作業を終えました。冬はレーシング大会がないので、冬だけ時間が空くんです。心に決めて時間を割いておいて、全ての作業を終えて『ボイスコリア』『Top Gear Koreaシーズン2』のMCをしていたらまたこんなに遅くなってしまいました」

話したいことをラップで伝えるキム・ジンピョ。以前は恋物語を避けようと務めたが、「愛を交わすために生きる」という自分の哲学に合わせて思う存分恋物語を語っていると打ち明けた。ただ、ありふれた話は避けようとしたという。「いざ結果を見たら、夢見てはならない恋物語だけになっていた」と笑いながらも、「共感できる中でも、ありふれた物語でないのが僕らしいと思う」と伝えた。

「語り手の立場から、興味と共感が重要だと思います。ここに何と言っても最も重要なのは、“デリバリー”です。聞き手の関心を惹き寄せる、魅了させる何かをとりいれるために務めています。くどくど言うよりは、巧みな単語と文脈を見つけ出そうとしています。僕のラップの最大の主眼点は、デリバリー力です。もごもごしているように聞こえないように努力する方です」

「おじさん」を聞いてすぐJ Rabbitを思い浮かべたし、「戻れるものなら…」は以前からイム・チャンジョンのために、「どうしてなの?」はCherry Filterのチョ・ウジンのために残しておいた曲だ。「僕の彼女はスーパースター」のために7年振りにキム・ヒョンジュンと連絡も取った。その反面、タイトル曲の「悪かったよ、ゴメンね」を聞いてG.NAは思い浮かばなかった。キム・ジンピョは「共同プロデューサーのRhymerがG.NAを推奨した。これまでG.NAはルックスで注目されていたので少し心配したが、声もよく似合っている上に、本当にいい人だった」と褒め称えた。

多くの人と呼吸を合わせたが、まだ一緒に作業できていない人もいる。キム・ジンピョはユンナとLYnなどを“とっておきのパートナー”に挙げた。機会があれば、ハン・ヨンエ先輩ともいつかきっと声を交えてみたいという。キム・ジンピョは「(ハン・ヨンエ先輩は)あまりにも名声の高い方なので、適正な曲を見つけるのに苦労すると思う。ブルージー(ブルース風)な曲を出すときは、是非お願いしてみたい」と述べた。


「10億ウォン支払ってくれるCM撮影があっても、レーシングが先」

キム・ジンピョはラッパーであると同時に、レーサーでもある。プロチームに所属しているキム・ジンピョは「普段から何をやるにしても、少なくとも後悔が残らないくらいハマり狂う傾向がある。二つとも全うしようという思いから、レーシング入門後1年間は何もしないでレーシングだけやった」と述べた。そんなにハマったレーシングは、いつの間にか彼の人生から排除できない部分になっていた。

「芸能人が他の仕事を始めると、その意図がどれほど純粋だとしても目くじらを立てられがちです。誤解と歪んだ視線を正すために、さらに一生懸命やりました。音楽は成績順じゃないですけど、レーシングはすべて成績が物を言います。プロのレーシングチームにスカウトされ給料ももらいながら本業となりました。責任感も負担もありますがそれでも楽しいです。そこでは誰も僕を芸能人扱いしないんです。音楽とレーシングが僕の人生の半々を占めていますが、スケジュールはレーシングが先です。10億ウォン(約6900万円)支払ってくれるCM撮影があるとしても、レーシングが先です」

韓国で初めてラップだけのアルバムをリリースした彼は、「ラップだけでアルバムが出せることを証明するために、意地で始めた」と言う。また、デビューして16年が経った今、“死ぬまでラップ以外歌わないこと”を目標にしているという。PanicとNovasonicとしてはステージに立ったが、ソロコンサートを開いたことはないというキム・ジンピョに公演の予定について尋ねた。

「いつかはやるでしょうが、今は適切な時期ではありません。フィーチャリングしてくれた方たちが全員来てくれるわけもありませんし、全員が来てもおかしいじゃないですか。だからと言って一人でも抜けると、観客への侮辱だと思います。申し訳ない気持ちがあるから公演をしたくありません」

2012年キム・ジンピョの目標は(レーシング)シーズンチャンピオンと、アルバム発売だ。シーズン2位を守っている上にアルバムまで発売したので、ある程度は目標を達成したことになる。「幸せに、元気に、そして平凡に楽しく生きている」と微笑むキム・ジンピョの姿から、戦闘力100%のラッパーではない、平凡な家庭の大黒柱であり、二人の子供の父親の姿が垣間見られた。

「騒ぎの中心になりそうなものを全部排除しました。疲れるんです。だといって得にもならないし、アルバムが大成功するわけでもないし。一つのイベント、それ以上でも以下でもないことが分かったんです。これ以上騒ぎの中心に立つのは疲れます」

記者 : イ・オンヒョク