Vol.1 ― ペク・ソンヒョン「チュンシクがカッコよくなると『ビッグ』は駄目になる」

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デビュー19年目……「ビッグ~愛は奇跡~」でコミックキャラへの変身を狙う

こんなに可愛い弟、優しい息子が他にいるだろうか。体は大きくなった高校生だが、お姉さんには逆らえず、両親にもこれ以上ないほど優しい。家に帰ると、自分の部屋に閉じこもってコンピューターゲームばかりやる、そこら辺の男子高校生とは違う。KBS 2TV月火ドラマ「ビッグ~愛は奇跡~」で笑いを取る“お馬鹿キャラ”キル・チュンシク(ペク・ソンヒョン)のことである。


“お馬鹿”から“厄受け未婚の男”まで……真面目だった彼が変わった?

1989年生まれで今年24歳だが、1994年にデビューし、既に19年の経歴をもつ役者である。そんな彼にとって「ビッグ~愛は奇跡~」は“挑戦”だったという。ペク・ソンヒョンの悩みは三つあった。一つは“現在の自身の立ち位置”、二つ目は“自身に必要なもの”、最後の三つ目は“やれるもの”だった。これまでは様々な悩みを抱える役ばかりを演じてきたため、演技の幅が狭かったというペク・ソンヒョンは、「監督から信頼される役者になりたい。“終わる時には何か自分のものにしたい”と願っていたけど、マリ役にスジ(miss A)がキャスティングされて、これはできると思った」と明かした。

「僕の位置からどれほどのキャラクターが演じられるか、どんなキャラが自分の役に立つか、色々と悩んだ。周りからは『案外似合う』『こんなのもできたんだね』と言われている。偏見を超えたのが一番嬉しい。監督と脚本家も最初から『暗いとか反抗的とかじゃなく、天真爛漫で暖かいキャラクターにしたい』と語っていた。僕もカッコつけたくないし。思春期の反抗とかカッコつけよりは、見栄っ張りを演じて笑いを取りたい」

これからも彼は多くの作品に出演するだろうが、「ビッグ~愛は奇跡~」ではまず出番が多くないため、“これも編集されたら悔しい”と思って、さらに頑張っているという。彼は「出番が少ないと、楽に演じられると思った。しかし、出しゃばらず、劇中で存在感を放つ、シーン・スティラー)Scene stealer:優れた演技力や独特の個性を発揮して主演以上に注目を集める脇役)になるのは至難の業だ」とため息をついた。さりげなく存在感を放つためには、バランスが肝心だという。ペク・ソンヒョンは「ボケるセリフにはアドリブも入れるけれど、やり過ぎないようにする」と語った。

撮影は既に生放送レベルになって時間に追われているが、ペク・ソンヒョンの賢明な選択は少しずつ成果を挙げている。まだ「ビッグ~愛は奇跡~」が終わっていないが、オファーを受ける作品の幅が広くなった。「今は『ビッグ』のことだけを考えたい」と前置きしながら、「もう少し見極めたい。これまでのシナリオはドラマの前半を見ていただいたものだから、『ビッグ』を最後まで頑張って、次のことを決めたいと思う」と慎重に話した。


「いたずらされてもいい。スジだから……」

ペク・ソンヒョンにキル・チュンシクとどれほど似ているか聞いてみた。「性格は良く変わるほう」と切り出した彼は「『仁粋大妃』の桃源君役を演じていた時は、無口でいい子だった。最近は『どうすれば馬鹿なことができるか』『どううまくボケられるか』ばかり考えている」と答えた。硬い語調を和らげるために冗談を混ぜるという。そうだとしても、どこまでもリラックスするわけではない。ペク・ソンヒョンは「ずっと軽い調子でいて、一回押すと、重さが感じられるように、うまくコントロールしたい」と述べた。

「スジとのシーンは僕のほうから先に何かをしようとしない。マリのキャラクターが強いから、できれば突っ込まれたい。そうしないと、バランスが崩れちゃうから。ずっと突っ込まれていて、軽いリアクション一つで笑いを取るとか。“どうすればスジがもっとリラックスできるか”と考える。ラブコメディは現場の雰囲気が大事。スジが僕のことを殴ったり、思いっきり何かを壊したりしないと、盛り上がらない。ずっと徹夜で疲れてはいるけれど、もっとふざけあって仲良くならないと。幸い、スジは性格も良いし、付き合いがいい。現場でよくふざけたりするけど、可愛い。スジだから」

ペク・ソンヒョンは後半を迎えた「ビッグ~愛は奇跡~」について「キャラ同士の関係や状況の説明に随分と時間が掛かった」と感想を述べた。また、魂が変わったソ・ユンジェ(コン・ユ)とカン・キョンジュン(シン・ウォンホ)を取り巻く秘密のベールが剥がれると、劇の展開や視聴率にもメリハリがつくと予想した。「チュンシクがカッコよくなると、『ビッグ』は駄目になっちゃう」という言葉からも伺えるように、彼は欲張りせず、劇の一部となって、視聴者を笑わせたいと覚悟を決めた。

「2012年の目標は“休まない”ことだった。『仁粋大妃』から『ビッグ』までがむしゃらに走ってきたから、目標はある程度達成している。最近は休みを取らないと、とも思うようになった(笑)」

記者 : イ・ジョンミン、イ・オンヒョク