「蜜の味」ユン・ヨジョン、65歳でも優雅な女性

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「昔はマスコミも多くなかったのですが、今は昔と違ってインタビューも多過ぎです」という彼女の言葉から始まったインタビューだったが、女優ユン・ヨジョン(65)は質問に丁寧に答えてくれた。

あえて正しいことを言おうともせず、率直に答える彼女の姿は他の女優よりも優雅な女性のように見えた。時には少女のように笑い、「カンヌ国際映画祭の主演女優賞を受賞したいと思ったことはないのか」という質問には手を振って否定した。また後輩のことを語る時には、優しい表情になった。さらに演技について、自身の哲学を語る彼女は少女から中年女性までの姿をすべて持っているようだった。

女優ユン・ヨジョンの人生は決して順調な人生だったとは言えない。インタビューで彼女は、自分の人生で一番辛かった時期について「海外生活を終え、韓国に帰ってきた時でしたね。ユン・ヨジョンという存在は忘れられていて、新人に戻って女優活動をしなければならなかったのです。また個人的に辛かったこともあったので大変でした。また米国に帰ろうとも思いました」と語った。彼女にとっては言葉に出来ないほど辛い時期であっただろう。

その辛かった時期を乗り越えた彼女は女優として多くのことをやり遂げた。まさに2012年は彼女の努力が実った年だと言えるだろう。彼女は、16日(現地時間)に開催される第65回カンヌ国際映画祭にイム・サンス監督の映画「蜜の味 テイスト オブ マネー」だけでなく、ホン・サンス監督の映画「3人のアンヌ」でもカンヌのレッドカーペットを踏むことになった。カンヌが愛する二人の監督の愛を独り占めにしたユン・ヨジョン。彼女は「運が良かった」と話すが、すべてが“運”だと言えるだろうか。

65歳になって初めて濡れ場に挑戦する女優は多くはない。チャンスも多くなく、チャンスがあったとしても出演を決めるのは難しいはず。イム・サンス監督からシナリオを受け取り、初めは監督に「何ですか」と言ったという彼女は、イム・サンス監督に説得されてしまったことについて「イム・サンス監督は私が何を言っても言い返す人だったんです」と語った。

「『とても不愉快です。どうして私なんですか』と聞いたら、イム・サンス監督は『ユンさんと同年代のおばさんは、それを見てショックを受けながらも自分にもこの様なことが起こるのではないかと思うでしょう』とおっしゃいました。それで私が『おばさんではなく、おばあさんですよ』とイム・サンス監督に言いました。ご存知のようにイム・サンス監督は衝撃的な題材を扱う監督です。好き嫌いがはっきり分かれる映画ですし、その映画に監督の道具として私が使われたのだと思います。濡れ場にフォーカスを当てないようにしました。権力を持っている女性、お金をたくさん持っている人ならば、面白半分で私が劇中で演じたペク・グムオクのように行動するかもしれないと思います。権力とお金の両方を持っている人には出来ないことはあまりないと思います。監督は劇中のキャラクターの行動を表現しようとしただけで、65歳の女優が露出をしたからといって関心が集まるとはとても思えません。でも、露出という言葉を何度も聞くと恥ずかしくなりますね。『注目を集めるために、露出までするのか』と言われそうですし」

そう語る彼女だが、彼女はすでに終わった撮影については心配していないように見えた。映画の濡れ場は30歳年下の後輩俳優キム・ガンウとともに撮影した。心配はしたが、撮影は無事に終わったという彼女は演技の確認をしなかったという。

このような彼女の小さな勇気が積み重なり、今のユン・ヨジョンが存在する。彼女はイム・サンス監督について「監督に『今回の映画も衝撃的ですね。妥協したらどうですか』と言ったら、『妥協するというのは年を取ってしまったことの証拠です』と言い返されました。私がまた『年を取るのも悪くないよ』と話しました」と語った。

「今後また濡れ場のある作品に出演したいと思いますか」という質問には首を振る彼女。すでに多くの作品の出演依頼を受けており、出演依頼を受けている作品のシナリオは、現在出演中のドラマ「棚ぼたのあなた」「キング~Two Hearts」の撮影や映画の広報スケジュール、カンヌ国際映画祭への参加などが重なり、まだ読んではいないが、面白い作品が多いと言う。

彼女にとって65歳という年齢はただの数字に過ぎない。女優ユン・ヨジョンの人生は、20代に比べ、演じられる役が減ってしまったという30~40代の女優に教訓を与えている。

記者 : ペ・スジン、写真 : ソン・イルソブ、翻訳 : チョン・ジュヨン