「ハナ~奇跡の46日間~」ペ・ドゥナ“熱烈に愛したから、思い残すことはない”

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映画「ハナ~奇跡の46日間~」は実話の映画化であるため、大どんでん返しはない。ただ実話だけあって感動を深く心に刻むスポーツ映画である。

しかし映画「ハナ~奇跡の46日間~」は、ペ・ドゥナが女優としての存在感をもう一度解き放った映画だということから、ある意味ではどんでん返しがあったとも言えるだろう。彼女の活躍に注目が集まったのは、映画「グエムル-漢江の怪物-」の出演後、スクリーンで彼女の姿を見ることが出来なかったためだろう。「ハナ~奇跡の46日間~」では初登場の場面から強烈な眼差しを見せる彼女は、同い年の他の女優とは異なる彼女ならではの存在価値を証明した。

ソウルの三清洞(サムチョンドン)にあるカフェで、決して演技が下手な女優ではないが、改めて好評を受けている女優ペ・ドゥナに会った。彼女は「褒めていただいてとても嬉しいですが、動揺しないようにしています。でも、嬉しくて恥ずかしいのは仕方がないですね。ありがたいです」と述べた。

映画「ハナ~奇跡の46日間~」で彼女の演じるリ・ブンヒ選手に成りきるというのは難しかったはず。実在の人物だが、参考に出来るような資料はほとんどなかった。さらに彼女が実在する人物を演じるのは初めてでもあった。

「これまで実話や実在の人物を演じたことはないですね。人形は演じたことがありますが、実在の人物を演じたことはありません。これまで役作りにハードルというものはなかったのですが、今回は実在の人物だったので、その人物を意識せざるを得ませんでした。再現までではないけれど、ある程度は反映してキャラクターにリアリティーを与えたかったです。80%はリ・ブンヒ役にリアリティーを与えようとして、20%はシナリオで私が感じたことを表現しようと思いました。それで北朝鮮の訛りを教えてくださった先生から当時のリ・ブンヒ選手の知名度などを聞いて参考にしました。撮影当時は本当に難しかったのですが、振り返ってみると、新鮮でユニークな経験でした。またすべてを慎重にしなければならなかった作業でもありましたね」

さらに卓球映画だったため、プロの選手を凌ぐ厳しいトレーニングを受け、肉体的に厳しかったということは言うまでもないだろう。時間が経ったものの、当時苦労したことを思い出したのだろうか。ペ・ドゥナはインタビューの前日に行われた卓球選手向け試写会で涙をこぼした。

「映画『グエムル-漢江の怪物-』でも矢を撃つなど大変でしたが、『ハナ~奇跡の46日間~』の方が肉体的にもっと辛かったです。でも、体よりは精神的に辛かったですね。弱音を吐くようで恥ずかしいですが、韓国と北朝鮮の若い国家代表選手が一つになってまた別れてしまうというストーリーで胸を痛めました。そのためでしょうか。その時を思い出すと胸の底の熱いものが込み上げてきます。私は公式の場で泣くのが嫌いです。特にリ・ブンヒというキャラクターの役にも全然立たないですしね。観客が“ペ・ドゥナという女優は弱い”ということを知ってから映画のリ・ブンヒ役を見られるのが嫌です。でも、映画の話をしていると、その時を思い出してしまいますし、思わずカッとなってしまい恥ずかしいです」

自分自身でも思わず涙をこぼしたことを恥ずかしがっているペ・ドゥナは、新しい作品「クラウド アトラス」の撮影に合流するために映画「ハナ~奇跡の46日間~」の撮影が終わって2日後にドイツへと向かったという。

「友達にも会えずにすぐドイツへと向かいました。ドイツに行って新しいキャラクターに成りきるために頑張りました。映画『ハナ~奇跡の46日間~』では、北朝鮮の訛りを教えてくれた先生がいましたが、今回は英会話の先生がいました。その先生と一緒に自分が演じるソンミという役に成りきるために努力しました。リ・ブンヒ役に愛着を持って最後まで諦めずに頑張ってきたから、思い残すことなくリ・ブンヒというキャラクターと別れることが出来ました。“熱烈に全力で愛すれば、別れてから未練がない”という気持ちでした。熱烈に愛したから、未練を残さず、リ・ブンヒというキャラクターと別れることが出来ました」

リ・ブンヒ役への彼女の愛が感じられる映画「ハナ~奇跡の46日間~」は5月3日から韓国で公開されている。

記者 : ペ・ソニョン、写真:ユ・ジニョン、翻訳:チョン・ジュヨン