My name is チョン・ソグォン「時間は逆に流れる」

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その声を聞いていると、めまいがする俳優。がっしりした体と、姿勢を正したびしっとした歩き方は、海兵隊そしてアクションスクール出身という、チョン・ソグォンのキャリアを表してしていたが、時間が経つほど彼は元気な少年のように話し始め、ついにはこんなことを口にした。「僕、少し単純で子供っぽいところがあるんですよ」。それはSBS「ドクターチャンプ」でパク・ジホン(チョン・ギョウン)のライバルであるユ・サンボンとして見せてくれた硬派なイメージや、KBS「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち」で自ら“イケメンでセクシーな男”だともっともらしく話すキム・ジェハのイメージからは、想像しがたい話だ。しかし、苦い食べ物が好きではなく、コーヒーと焼酎よりは甘いものを好むチョン・ソグォンは確かに、無理に大人の振りをするより、自分だけの野心を育てている熱い若者に近かった。これといった特別な理由もなく「ただケンカが強くなりたくて」運動を始め、「自分にサインをしてくれたチョン・ドゥホン武術監督が、MBC『勝手にしやがれ』に出てくるのが不思議に思えてアクションスクールに入った」という、大胆な性格のためだけではない。彼は映画「物事の秘密」の撮影前に監督と、役柄の解釈についての打ち合わせをしたことについて「細かすぎて正直、頭がおかしくなるかと思いました。本当に」と手のひらを振りながらも、「台本を分析する方が、運動よりもっと大変でヘトヘトになります。でもそれが面白いんです」と、自分だけの演技を作り出して行く楽しさを味わっている真っ最中だ。


「僕の、また違う姿に驚くと思います」

予想外の出来事でアクションスクールを辞めたチョン・ソグォンにとって、俳優は確かに偶然出会った道だった。そのため、「運動していたときについた癖のある歩き方から直すべきで、発声練習も必要」と、一つ一つ学んでいる今は、もしかしたらまだ、道のスタート地点に立っているのかもしれない。しかし、“海兵隊で死にかけて”も目標のために自ら勝ち抜いたチョン・ソグォンには、一つ一つ学ぶ楽しみが感じられる時間だ。カッコいい武術監督になりたかった少年は、今では“頭の中に演技しかなくて”絶えず努力する若者になった。それは「『物事の秘密』のイ・ウサンは、以前演じていたキャラクターとはまったく違います。僕のまた違う姿に驚くと思います。どんでん返しのキャラクター、カッコいいじゃないですか」と誇らしげにおどける彼を憎めない理由でもある。俳優チョン・ソグォンのカラーはまだ定まっていないかも知れない。だが、「やっと、演じる際に他の人の言葉が聞こえてきます。でも、カメラの捉え方や演技のテクニックなどはまだよく分からないので、少しずつ勉強していくつもりです」という彼の話は十分頼もしい。ただ一つを見つめて走って行く若者は単純かもしれないが、そのエネルギーは簡単には抑えられないものでもある。

My name is
チョン・ソグォン。

1985年5月16日に
生まれた。

アクション映画が
好きだった。ジャッキー・チェン、ジェット・リー、ドニー・イェン、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが出演する作品をいつも観ていた。彼らの映画で人々がケンカするのを観ていたら、とても不思議な気分になった。

子供の頃、非常に集中力が散漫で
父に精神病院に連れて行かれそうになった。父は僕が小学生の頃、朝6時くらいに僕を起こして、本を30分読ませて、予習と復習をさせた。でも、兄弟はちゃんとこなしているのに、それにストレスを受ける僕のことを、両親は“突然変異”と呼んでいた。それで、運動を始めると言ったとき、「わかった。そっちを頑張れ」と支えてくれた(笑)

実は“ホダン”(抜けている、天然の意味)だ
いつも抜けていて、そそっかしくて失敗も多い。ご飯もこぼしちゃうし(笑) 運動すること以外は全部“ホダン”だった。最近は一人でよく台本を見ていて、少し落ち着いて来た気がする。

仁川(インチョン)にある住公アパート(韓国土地住宅公社によって建てられたアパート)に
住んでいた。今もたまに仁川に行くと、アパートの隣に唐辛子の畑があって、サッカーをしている子供たちがいるけど、そういったものが好きだ。

“無敵道”
という、海兵隊で特殊捜索隊と武術有段者だけが参加できる団体の助教を務めた。人前に出ることが好きだったんだと思う(笑) 小学校5年生から高校3年生まで、いつも運動部の部長だったし、高校の学園祭のときは(武道の)段証明書を持っている友達を集めて、映画「将軍の息子」と同じような舞台を作った。シナリオは文章が得意な子に書かせて、武術監督、主役を僕が全部やった。

ソウルアクションスクール
から出た後、今の会社の代表に偶然出会った。代表も海兵隊出身で特殊捜索隊に行きたかったけど、行けなかったらしい。僕が特殊捜索隊出身だと言ったら、最初は信じてくれず、ミニホームページを確認した。僕がベレー帽をかぶっている写真を見た後は名刺を渡してくれて、「誰かに名刺を渡されたら、真っ先に私に連絡しなさい」と言った(笑)

どんでん返しのあるストーリーが
大好きだ。「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち」のキム・ジェハも、どんでん返しのある役だった。その役の話を聞いてすぐ、「おお、これはやりたい!」と思った。

あまりにも勉強をしなかったので
分析するということを知らなかった。台本をもらうと、ただ読んでいた。それですごく怒られた(笑) いきなり分析をしようとしたら大変だった。ベンチプレスを数百回あげることより、さらに大変なことだと思う。勉強をしてこなかったことをすごく後悔している。

変な写真を
撮ることが好きだ。ちゃんとした写真を……滅多に撮らない(笑) 小さい頃から写真を撮る時は変なことをするけど、ただ楽しくて面白い。除隊する時も、ベレー帽をかぶってカッコよく一枚撮って、そしてすぐふざけた写真を撮った(笑)

Twitterに変な顔の写真をアップすることを
全然恥ずかしいと思わない。僕が楽しくてやっていることだから。僕はもともと自分だけが堂々としていればいい、というところがある(笑) ただ、これからはそういうことも気にしていかなければいけないのか、と思ってもどかしくなることはある。

お酒、タバコは
中学生のときにやってたけど、それ以後はやっていない。その時はタバコがないと、他の子供たちと仲良くなれなかった。初めて出会って気まずくても「ライターある?」「タバコある?」で親しくなれた。でも、先生にものすごく怒られて、両方ともやめることにした。お酒も中学生の頃すごく飲んだけど、一杯飲んだだけで顔が真っ赤になった。それがとても恥ずかしくて、その時から友達には運動を言い訳にして、飲まないことにした(笑)

RAIN(ピ)兄さんは
すごく義理堅くて素敵な方だ。映画「飛翔」を一緒に撮ったけど、僕をとても気遣ってくれた。映画「The beast(獣)」のVIP試写会の時も、もともと当日に雑誌の撮影が入って来られないかもしれない、と言っていたけど、間に合わせて急いで来てくれた。周りから似ているとも言われているし、兄さんも「僕らは一重まぶたの兄弟だよ」という冗談を言う。あ、シン・セギョンさんもすごく義理堅い。

記者 : ハン・ヨウル、翻訳:ハン・アルム、写真:イ・ジンヒョク、編集:イ・ジヘ