Vol.2 ― 「太陽を抱く月」終了 - “ハプニング連続……紆余曲折の3か月間”

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MBCの水木ドラマ「太陽を抱く月」(脚本:チン・スワン、演出:キム・ドフン)が15日、第20話を最後に幕を閉じる。1月4日に放送された第1話が18.0%(AGBニールセン・メディアリサーチ集計)の視聴率を記録し、スタートから好調だった「太陽を抱く月」は、すでに視聴率40%を突破。最終回が迫ってきた状況で、果たして視聴率がいくら跳ね上がるのか関心を集めている。

同時間帯の他社のドラマに比べて圧倒的な優位を占め、なんと10回も自己最高視聴率を更新するなど「太陽を抱く月」の人気は非常に高かったが、その分、いろいろなハプニングもあった。ヨ・ジング、キム・ユジョン、シワン(ZE:A)などの子役俳優に対する視聴者の偏愛とイ・フォン役のキム・スヒョンに対する国民的な「アリ」(夢中になること)は、鵜の目鷹の目でドラマを見る視聴者を量産したからだ。


朝鮮時代のコーヒー女、サッカーの試合を見ているスタッフなどが“玉にきず”

写真=MBC「太陽を抱く月」スクリーンショット、TVレポート DB
鋭い目を持った視聴者によって始まった“太陽を抱く月ハプニング”の一つは“玉にきず”である。ドラマの人気が急上昇した第3話で、撮影しているスタッフの姿がそのままカメラに映される大きなミスが起きた。フォン(ヨ・ジング)とウン(イ・ウォングン)など、イケメンたちがサッカーの試合を見ている姿が画面に映された、笑うに笑えないハプニングだった。

またホ・ヨム役のシワンは、冬の野外撮影に備えて衣装と類似した色のダウンジャケットを衣装の下にかけていたが、視聴者の鋭い目を避けることはできなかった。これに対してシワンは自身のTwitterにて「この日に限って、私のダウンジャケットが愛しかったんです。今度からはいくら愛しくても放送では露出しません」と愛嬌を混ぜて謝った。

他にも撮影現場でコーヒーカップを手に持っている観光客“朝鮮時代のコーヒー女”の姿が登場したり、ヤンミョン役のチョン・イルの茶色に染めた髪の毛が指摘されるなど、視聴者の“鵜の目鷹の目”は実にすごかった。


子役俳優と成人俳優のシンクロ率が残念

子役俳優に対する視聴者の愛情が特に大きかったため、成人俳優に移る過程での騒ぎもあった。幼いイ・フォンとホ・ヨヌを演じたヨ・ジングとキム・ユジョンに対して称賛を送った視聴者は、彼らの大人時代を演じるキム・スヒョンとハン・ガインを厳しく評価した。キム・スヒョンは厳しい評価から逃れただけでなく、“スヒョンアリ”(キム・スヒョンに夢中になっていること)を生みながらお姉さんファン(年上の女性ファン)を獲得したが、ハン・ガインはそうではなかった。終始彼女を巡っていた“シンクロ率議論”は実に厳しかった。しかしこれはホ・ヨヌを受動的なキャラクターに設定したこととも関係がある。イ・フォン役に焦点を合わせたドラマであるたけに、キム・スヒョンが叫び、怒り、絶叫すればするほど、ハン・ガインが演技する幅は狭くなったからだ。

「シンクロ率議論」からは大人のホ・ヨム役ソン・ジェヒも逃れなかった。秀麗な顔がもっとも重要なホ・ヨム役であっただけに、子役のシワンからソン・ジェヒに移る過程では「老化」議論まで起こった。これに対してソン・ジェヒは自身のTwitterに「妹が急に亡くなったショックで母は気を失い、私は左遷され、その後父も亡くなりました。そのため、自分だけ老化が進んだことを認識していませんでした」と書き込み、議論をなだめるウィットな発言を発揮した。


「40時間も洗顔ができなかった」過酷な撮影スケジュールが指摘される

ドラマの大きな人気で撮影現場の雰囲気はいつよりも和気あいあいだと言われていたが、俳優たちの疲労の色は次第に濃くなっていった。疲れはすぐ俳優の肌に表れ、あえてHD画面で見なくても分かる俳優たちの状態は、厳しい撮影スケジュールとともに韓国ドラマ制作環境の病弊として指摘された。

朝のワイドショーで公開したドラマのビハインドストーリーで、ハン・ガインは「寝ることも、洗うこともできず肌が腐っている」という多少激しい発言で、疲れを訴えた。きれいな肌と清々しい笑顔がトレードマークであるチョン・イルも両頬にできたできものを公開し「40時間も洗顔ができなかった」と発言した。このような過酷な撮影スケジュールは、50年ぶりの寒波で体感温度がマイナス20度まで下がった日にも撮影しなければならない状況を生んだ。

これに対してプロデューサーのキム・ドフンは自身のTwitterに「二度と経験したくない撮影だった。息まで凍るほどの零下20度の徹夜撮影。放送スケジュールの問題でなかったら無条件にキャンセルすべきスケジュールだったのに、このまま進めるしかない厳しい現実が悲しい」と書き込み、苦しい心境を表現した。


最終話が2話後に迫ってきた状況で放送休止騒動

何と言っても、もっとも大きかったハプニングはドラマのクライマックスに起こった放送休止騒動だった。1月から始まったMBC労働組合のゼネラルストライキが激しくなった結果、ドラマプロデューサーまで仕事を止める状況が起き、「太陽を抱く月」はクライマックス2話が人質になる史上初の事態を迎えた。

視聴者は、ドラマを人質にするなと批判する側と、厳しい選択をしたプロデューサーのキム・ドフンを擁護する側に分かれ、放送再開を待った。結局、キム・ドフンは現場に復帰し、制作陣及び俳優たちの団結力のもとすべての撮影が終了した。8年前の事件の背後と関係者が明らかになり悲劇が予告される状況で、以降の展開を待ち望んでいた視聴者は1週間を待ってからドラマのエンディングを楽しんだ。

キム・ドフンは自身のTwitterに、放送休止に関して視聴者に謝罪する一方「政治的な問題や騒ぎは気にせず、楽しんでください。最後まで皆様の心に残るドラマになることを願っています」という書き込みを掲載し、紆余曲折の多かった3か月間の長程を無事終えることとなった。

記者 : チョン・ソンハ