幕を下ろした「乱暴なロマンス」下手なロマンス?それでも価値のある挑戦

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写真=KBS 2TV「乱暴なロマンス」スクリーンショット
23日、KBS 2TV水木ドラマ「乱暴なロマンス」が16回という短い航海にピリオドを打った。

「型にはまったようなラブコメディで、夢を語りたい」という企画意図から始まったこのドラマは、一般的という言葉とはかけ離れた人物たちの恋愛をコミカルかつ淡々としたタッチで描き、視聴者から愛された。王者「太陽を抱く月」の高い視聴率に押され、16回までずっと一桁の視聴率にとどまったが、個性あふれる展開でマニア層を形成、記録以上の成果を作り上げた。


見たことのない人物たち、変わってるけれど憎めない

マニアたちをとりこにしたこのドラマの魅力は常識とは程遠いキャラクターたちにあった。乱暴だけどかわいらしい魅力でイ・シヨンのための、またイ・シヨンによるドラマを作ったイ・シヨンのウンジェキャラクターをはじめに、日非常識的なストーカー行為で周囲を追い込むが、その裏にはつらい過去と愛があったイ・ボヒの家政婦キャラクターまで。立体的なキャラクターたちが、普通ではないドラマを作った。

その中でも目立つのは、悪役がないという点。キャラクターそれぞれにエピソードを与えることで、ドラマに健康的な笑いを与えた。このドラマでメインとなる対立は、ほかのドラマのように人間関係によるものとは距離があった。ストーリーの初め、悪役に描かれていたコ記者、イ・ヒジュンが代表的なケースで、彼がムヨルに執着せざるを得ない理由と野球に対する真心はキャラクターの動きに説得力を与えた。

中盤から合流したジェシカが演じたジョンヒも同じ。主人公の初恋の相手で、ヒロインのウンジェ(イ・シヨン)と対立する人物だが、愛情がある人に噛み付くというディテールと変わった性格と、ウンジェに手を差し出すまでの過程をドラマチックに描写し、愛らしいキャラクターを完成した。このようにドラマは、人物関係に中心をおき、善と悪を分ける、従来のドラマとは違う選択でマニアの心をつかんだ。


完璧とは程遠い、だが、試みだけでも

ドラマの初頭で、お互いに目の敵になった男女主人公のエピソードを描き、典型的なラブコメディだったドラマは、中盤を基点に方向を変えた。人物と人物をつなぐ短いエピソードにとどまると思ったミステリーがドラマの前面に出て、本格的な“ミステリーロマンス”としての歩みだした。早くから犯人と予想されていた人物をひねりなくそのまま出す、直球勝負は、ミステリーの基本となるスリルと緊張を与えることはできなかったが、その試みだけでも十分意味があった。

説明したように、人物間の対立を際立たせ、一律的に展開されるほかのドラマとは違い、「乱暴なロマンス」は恋のケンカといった陳腐な対立は省略、無駄のない展開を完成させた。これを可能にしたのがミステリー設定で、ドラマの頭にストーカーやアンチといったキーワードでスリルを設定し、休まずエピソードを作り出した。早くから完成されたキャラクターたちは、対立にとらわれることなく、自由に動き回り、魅力を見せた。

このように強い個性で、マニアドラマとなった「乱暴なロマンス」だが、記録に対する残念な気持ちを隠すことはできない。緻密とは距離のあるミステリーラブコメディというジャンルと、エピソード中心の展開は大衆受けが足りず、同じ時間帯で視聴率最下位という結果を生んだ。差別化に先立ち、すべての視聴者をターゲットにした要素が必要であることを裏付けているのだ。ポピュラー性と、個性の二つを手に入れた第2の「乱暴なロマンス」の誕生を期待してみる。

記者 : イ・ヘミ