イ・ジョンソク「『デスノート』のLのような役を演じたい」

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片思いの演技がかなりリアルだ。大好きな女性にいいところを見せたくて堂々としているふりをしてみても、彼女の笑顔にいつも間にか残っていたプライドは消えてしまう。氷のようだった彼の性格が彼女によって溶け始める。

これは俳優のイ・ジョンソクがMBCのドラマ「ハイキック3~短足の逆襲」(以下「ハイキック3」)で演じるアン・ジョンソクの姿である。ドラマでジウォンに対する片思いに悩むが、ジウォンはゲサンに向けて愛情表現している。ついに敬語をやめたジウォンとゲサン。これをきっかけに二人の関係が急速に進むと思われる中、チョンソクの心は不安でいっぱいだ。

「僕もその日、台本を読んで驚きました。クライマックスにゲサン兄さんがジウォンにタメ口を使うところがあったんです。本当に二人の恋が叶うかも知れないですね(笑) 実は、僕には片思いの経験がありません。でもドラマを撮影しながら勉強しています。ゲサン兄さんとジウォンが一緒に演技するシーンを見ていると、なぜか鼻がジーンとするんですから」

ジョンソクはこれまでジウォンに対する片思いを隠してきた。バレそうになった時もあったが、何とか免れてきた。しかし15日の放送で、秘かにジウォンの写真を携帯電話で見ていたジョンソクは、ペク・ジニに気づかれてしまう。「ハイキック3」で片思いをする男女の運命的な出会いだった。

「実はジニとは一度も長く撮影したことがありません。一緒に撮影するシーンもほぼありません。だからその日はかなり大変でした。セリフを完璧に覚えても、ジニと目が合うだけで忘れてしまったんですよね(笑) 『こんなに僕と合わない俳優は初めてだ』とジニに言ったら、ジニは『やっぱりゲサン兄さんが最高だよ』と答えました。やはりジウォンが最高ですね(笑)」

このところで彼のいたずらっ子のような一面がふと見えた。彼に「いたずら好きですよね」と聞くとイ・ジョンソクは少しためらってから「僕はたまに毒舌になってしまうんです」と慎重に答えた。

「共演しているクリスタル、ジウォン、ジニとはよく遊んでいます。主に言葉遊びですね。特にジウォンとは話の途中でとんでもない言葉を使ったりします。一種の宇宙語といいますか。『ウウカカ』みたいな変な言葉です(笑) 面白いのはジウォンもちゃんとノッてくれるところですね」

「ハイキック3」のイ・ジョンソクというと断然「プインプイン(かわいこぶって愛嬌を振りまく様子を表す新造語)」という言葉が頭に浮かぶ。初めて使ったのはスジョン(クリスタル)だが、いつの間にか彼女より有名になった彼の流行語になった。

「どのエピソードも、自分のキャラクターの新しい一面を見せた瞬間に、はじめてシチュエーションコメディドラマの真価が発揮されると思います。ジョンソクは普段『プインプイン』のような愛嬌を振りまくことはしないキャラクターなのに、それを破ったからその分反応がよかったんだと思います」

前作の「ハイキック1、2」にはそれぞれチョン・イル、ユン・シヨンというキャラクターが今のジョンソクと似ている。ぶっきらぼうに投げかける口調、つんつんとした性格、たった一人の女性を見つめる純愛まで。そのため、イ・ジョンソクはチョン・イル、ユン・シユンとずっと比較されてきた。そしてその比較自体が不愉快だったとイ・ジョンソクは言う。

「初めの頃はストレスが多かったです。僕は正直、シーズン3のシナリオが一番完璧だと思ってますから。もう世代が変わりましたし、感じられることも確かに違うと思うのに、何度も比較してくるから腹が立ちました。シーズン3のチョンソクは確かに前作のキャラクターとは異なります。“僕に一体どうしろというのか”とも思いました」

最初から俳優になりたいわけではなかったと言うイ・ジョンソク。ドラマが好きだったジョンソクは偶然にRain(ピ)とソン・ヘギョ主演のKBSドラマ「フルハウス」を観て、かっこいいと思った。その瞬間、俳優になろうと決めたジョンソクはすぐ芸術高校への進学を決めた。

しかし彼のデビューは順風満帆ではなかった。初めて入った会社が実はモデル会社だったからだ。当時はモデル出身の俳優たちの活動が盛んで、モデルをした後に俳優になってもメリットはあるだろうという口車に乗せられ、モデルの仕事を始めたという。そして契約期間を終え、他の会社に入った。

「この会社は歌手を育てる会社でした。僕の意思ではなかったんですが、そこでちょっとアイドル歌手になるための準備をしました。でも僕、歌が下手なんです。だからまた会社を出ました。今の会社に来てから3年間は見捨てられていましたが、昨年は一日も休まず仕事をしました。今もあの頃のことを考えると元気が出ます。大変だった経験が僕を成長させてくれたんだと思います」

その後イ・ジョンソクはSBSの話題作「シークレット・ガーデン」と出会う。彼はこのドラマでサン役を演じ、不思議な魅力で視聴者に顔を広めた。彼は「シークレット・ガーデン」というタイトルを聞くと「僕には忘れられない作品ですね。僕のスタート地点とも言えますから」と言った。

彼にチャレンジしたいキャラクターがあるのか聞いた。しかし彼の答えはとんでもないものだった。

「映画『デスノート』のLやドラマ『サラリーマン楚漢志』のペク・ヨチみたいなキャラクターを演じてみたいですね。かっこいいキャラクターもいいけど、Lやペク・ヨチみたいにユニークで特徴のあるキャラクターを演じてみたいです。二人とも一見悪役にみえるけど、決して憎むことのできないキャラクターですからね。似合いませんか?(笑)」

これからの目標を聞くと、さっきまで大きく笑いながら冗談を言っていた彼の顔が真剣になった。そして「これは僕が悩んで思い出した目標です」と口を切った。

「誰も僕の代わりができない俳優になりたいです。あるシナリオが与えられたとき、これはイ・ジョンソクじゃないとダメだ、と言われるような俳優になりたいです」

記者 : チャン・ヨンジュン