「武神」フュージョン時代劇ブームに逆らい正統派時代劇で挑戦

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写真=MBC、TVレポート DB
正統派時代劇を公言したMBC週末ドラマ「武神」が11日の初回放送を控えている。
「王女の男」から「根の深い木~世宗(セジョン)大王の誓い~」まで、昨年から続くフュージョン時代劇ブームの中、「武神」は徹底した歴史的考証と豪快な男らしさで武装し、正統派時代劇の魅力で勝負に出る計画をしている。


脚本家イ・ファンギョン「ひとつひとつ過去を再現する」

「武神」は高麗時代、モンゴルに立ち向かって抗争したチェ氏武臣政権時代を舞台に、最高権力者となったキム・ジュンの一生を描くドラマだ。キム・ジュンは高麗王朝実録に記録されている実在の人物で、奴隷の身分から門下侍中(高麗時代の最高の官職)の座までのし上がり、国権を握った立志伝的な主人公。「武神」は彼を全面に押し出す。

これに先立ち、慶尚南道(キョンサンナムド)の合川(ハプチョン)で開かれた「武神」の制作発表会で、脚本家のイ・ファンギョン氏は「全体的に歴史に基づいて、忠実に書いている」と武臣政権記を再現する意志を見せた。続いて「『武神』では男とは何かについて、そして国家とは何かについて問いかける。対モンゴル抗戦で国中が火の海となり、木の皮を食べながらも一団となって戦う。それはフィクションではない。全国民が疲弊したのがこの時期だが、それらの事実が与えてくれる力がある」と時代劇の長所について述べた。

今回の「武神」では、劇的にならざるを得ない対モンゴル抗争期という時代を全力で駆け抜けた人物たちの生き様や悲劇的なストーリーがお茶の間に届けられる。そのため、制作スタッフは約250億ウォン(約17億円)の制作費を投入し「武神」の時代を再現する。

また、対モンゴル抗争期の民たちの精神的な柱となった八萬大蔵経(高麗時代に仏教の三蔵を漢訳したもの)がドラマで初めて登場する。制作スタッフは昨年12月、合川の海印寺(へインサ)の協力を得て、撮影に成功した。高麗時代、武臣たちが武術を鍛える方法として好んで行なっていた撃毬(馬に乗って走りながら棒で球をうつ競技)というスポーツもドラマに登場し、時代を再現するツールとして使われる。


権力を争う男たちの話は女心を掴むか?

男たちの時代である高麗武臣政権期、時代の第一人者チェ・チュンホンと反対勢力、そして公然の敵であるモンゴルと戦う武人たちの壮絶な戦いが「武神」を彩る。

8日に公開された試写会の映像では、権力を維持するために子息たちの闘争を当然視し、姻戚の命まで奪う当時の第一人者チェ・チュンホン(チュ・ヒョン)の荒々しい姿が印象深く再演された。

また、撃毬大会に無理やり出場させられ、殺生を禁じていた僧侶から人を殺さなければならない孤独な奴隷となったキム・ジュンの姿や、高麗時代の特権層僧侶と武臣たちの命をかけた闘争が殺伐と描かれ、生と死を行き来する男たちの物語が力強いタッチで描かれている。

奴隷となったキム・ジュンが足を火であぶる残虐な刑罰を受け追放されるシーン、また、都城の修築過程で事故が起こり、大勢の奴隷が死ぬシーンなどに注目が集まった。

「武神」は週末夜9時、ホームドラマに見慣れた視聴者の元に届けられる。MBCは夜9時に正統派時代劇を初めて編成し、勝負に出ると明かしたこともある。フュージョン時代劇ブームの中、正統派時代劇の魅力で武装した「武神」の今後に、期待が高まる。

記者 : チョン・ソナ