【CLOSE UP】YGEX ― 「韓流2.0」世代にYG-POPで勝負をかける

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2011年7月21日は、YGエンターテインメント(以下YG)のヤン・ヒョンソク代表にとって記憶に残る日だったであろう。彼は読売新聞を始めとした日本の総合日刊紙400社余りのメディアが出席した中、大手レコード会社であるエイベックスとYGミュージシャンの専門レーベル「YGEX」のローンチのために、エイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人代表取締役と共に立っていた。ソテジワアイドゥル(ソ・テジと子供たち)が1st、2ndアルバムをリリースし、しばらくの間日本に滞在してテレビ番組に出演して以来、約20年ぶりに日本進出に向けて重要な基点を整えた。

YGEXの登場はエイベックスとYGのニーズがぴったり合った結果だ。エイベックスは、東方神起と韓国の所属事務所との間で起こった葛藤のあげく、メンバーのうち3人がグループを脱退してから同事務所との関係が遅々としていた。BIGBANG、2NE1など韓国トップレベルのアイドルを保有しているYGとの協力は、最近日本で起こっているK-POPアイドルブームを逃すことのない、良いカードになれるはずだ。YGではかつてSE7EN、最近ではBIGBANGなどが日本での活動をしたが、他の会社のように日本で長期滞在しながらプロモーションを展開することはなかった。それほど日本での活動に消極的だった状況で、エイベックスと手を組んだことはより安定的に日本での活動ができる橋頭堡を築いたと言える。YGEXのカギはYGミュージシャンだけのレーベルを日本で作ったということ自体より、両社のシナジーが日本で動きを起こせるかどうかにある。


韓国歌手ではなく、韓国音楽そのもので勝負する

YGとエイベックスが日本での活動のあり方として専門レーベルを選んだのは、依然として興味深い。単に日本でK-POP市場がそれほど高く評価されているということを証明したという理由だけではない。エイベックス所属ミュージシャンのマネジメントとA&Rを総括する渡辺ヨシミは、YGの音楽を「YG-POP」と名付け、「音楽が斬新であり、エイベックスもダンスミュージックを流行させた会社だが、YGもそうだ。YGの音楽とエイベックスが共に手を取り合った時、どんな絵が完成するか楽しみだ」と述べた。YGの音楽を日本市場で通じるように合わせるよりは、YGの音楽が持つ特性をそのまま強調するということだ。実際に、YGEXの初シングルは先日韓国で発表された2NE1の「I AM THE BEST」は、歌詞だけ日本語に変えて曲はそのままだ。ヤン・ヒョンソク代表は「日本市場の特性に合わせた曲を作る代わりに、原曲に重点を置いて活動する」と語った。かつてBoAが日本の作曲家の曲でオリコンチャート1位となり、SE7ENも主に韓国の曲ではなく、日本で作った曲で活動したことを踏まえると、正反対に近い活動方式だ。この約10年の間で、韓国“歌手”ではなく韓国“音楽”そのものが日本でそれなりの市場を持つようになったという証拠だ。

YGEXのローンチは、いわゆる「韓流2.0」と呼ばれる新世代の韓流に対する一種の実験になると見られる。ヤン・ヒョンソク代表はYGで作った音楽で日本で活動するだけでなく、依然として彼らが「韓国を中心に活動する」つもりであることを明らかにした。韓国でコンテンツを作って、それをYouTubeなどで広め、海外で長期滞在しながら活動したりはしないということだ。「韓国で作ったポップミュージックを世界に広げることができる」という自信がないと不可能なことだ。一時、韓国のトップ歌手も、日本での活動は厳しいと思われた時期があった。10年前には優れた韓国歌手が、日本のシステムの中で成長した。そして、今は韓国のアイドルがありのまま“K-POP”というアイデンティティで日本に勝負をかけようとしている。果たして韓国のポップミュージックは、日本の企画会社と同じ目線で協力していけるのだろうか。

記者 : カン・ミョンソク、翻訳:ハン・アルム、編集:イ・ジヘ、写真:YGエンターテインメント