パク・ミニョン「何かをした時、一番幸せになれそうな道を選ぶ」

10asia |

「本当に頑張らなくてはいけない時期なんです」

SBS「シティーハンターin Seoul」で自分の感情に素直なキム・ナナを演じたパク・ミニョンは、自分の考えを臆せず語った。MBC「思いっきりハイキック!」のカン・ユミ、KBS「トキメキ☆成均館スキャンダル」のキム・ユニ、「シティーハンターin Seoul」のキム・ナナまで、志を持って行動する女性を演じたパク・ミニョンの姿は、彼女たちと重なって見える。

「思いっきりハイキック!」で華麗にデビューし、続いてKBS「アイ・アム・セム~I am Sam~」でヒロインを務めた彼女は、「誰かが私を雲の上まで運んでくれたようだった」と淡々と当時を回想する。しかし、演技に対して以前より渇望することとなった、SBS「幻の王女 チャミョンゴ」の後は、新しい作品にめぐり合う事が出来ずにスランプに陥る。「スランプを経験してからは何事にも動じなくなったんです」と語るパク・ミニョンは、機会が与えられたことに感謝し、役を愛しながら演技しようとする。「1年3ヶ月の間、連休は3日しかなかったんです」と言いながらも、「シティーハンターin Seoul」に続き、KBS「栄光のジェイン」を選択して嬉々とした表情で演技について語る女優のパク・ミニョン。そんな彼女にインタビューした。

―「シティーハンターin Seoul」の最後にユンソン(イ・ミンホ)とナナが再び出会うが、お互い見つめ合うだけのシーンがある。その結末について心残りはなかったのだろうか。

パク・ミニョン:語るべきことが多すぎたんです。感傷的な恋愛以外にも結論を出すべき話が多かったから、あれは最善の選択だったと思います。とにかく最後は再会してるでしょ?(笑)

―ナナはユンソンに「私の感情は私のもの」と話している。他のヒロインとは違い、主体性のある人物像である。「トキメキ☆成均館スキャンダル」の頃から主体的で意思の強いヒロインを演じているが自分自身との相性は?

パク・ミニョン:私の性格とは結構違う人物なので楽とは言えません。自分から先に告白するなんてパク・ミニョンの考えでは理解出来ないけど、キム・ナナだから出来たと思います。私がナナの心や考えで話していると、それはナナが話していることになるので。なのでそのようにするだけです。

―「シティーハンターin Seoul」のナナに点をつけるとしたら何点だろう。

パク・ミニョン:満足出来ていないから50点か40点。心残りな部分が多いです。ユンソンとのロマンスも、過程をもっと細かく描いていればよかったのにと思いますし。感情的な部分の説明がベースに敷かれていない状態で急いで進められた部分がありました。後半でユンソンとナナの気持ちが行ったり来たりしたために、演技が難しかったです。ユンソンとナナがお互いにケンカしながらも「ああ、恋なんだな」って感じた時に障害を与え、二人の関係が離れることの出来ない関係になって「(危険にさらすことを避けるために)この人を離してあげないと」って思う瞬間や、「やはり離したくない」って感じる過程、そうした感情をもう少し上手く抜き差ししてつなげていけば良かったのではないかと思います。それでも努力はしたから50点。

―イ・ミンホはパク・ミニョンと言う女優に対し、「僕がどう表現しようと上手く合わせてくれる女優さんなので演技がしやすかった」と語っているがイ・ミンホとの演技の呼吸はどうであったのか。

パク・ミニョン:彼とは演技のスタイルが似ています。相手の話を聞かないとリアクションがとれないし、真面目な時はとても真面目だけど、ふざける時はふざけたり。イ・ミンホさんは演技する相手をとても配慮してくれます。だから本人が演技する時よりリアクションをとるシーンでさらにいい演技をしますし、私もお互いにやり取りするシーンの演技の方が上手く撮れました。演技のスタイルが似ているから呼吸が合ってお互いに勉強になりましたね。

「演技をすればするほど探究心が涌いてくる」

―「栄光のジェイン」では元気で堂々とした准看護婦のジェイン役を演じているが、どんな工夫をしたのか。

パク・ミニョン:自分なりにジェインのキャラを作り上げている最中です。ジェインは准看護師の資格試験を受けるために、ご飯を食べる時間さえ惜しんでファーストフードで済ませ、言葉も早口になっていきます。患者さんの面倒も見なくてはならないので動きもてきぱきとしてますし、声のトーンも自然と高く大きくなる設定です。最初はすごく明るいけど、出生の秘密が明かされていくにつれ感情が大きく揺れ動きそうです。

―ジェインとキム・ナナは明るく堂々としたヒロインだという点でどこか似ているのだが。

パク・ミニョン:似たようなキャラクターを違うように見せるのは私のやり方次第だと思います。1・2話までは「パク・ミニョンがあんな役も演じるの?」と思われるかも知れませんが、だんだんと役にはまっていく3・4話あたりからはただのジェインとして見てくれるのではないでしょうか。ですからそういった点では、負担として捉えないようにしています。それにいい脚本家さんとめぐり逢えましたから大丈夫です。

―作品を選択して演技するとき、脚本家の力を信じる方だと話しているが、撮影の間そうした信頼を続けるには、初めから信頼の置ける制作チームと出会うのを重視しそうなものだが。

パク・ミニョン:「栄光のジェイン」を選択した決定的な理由ですね。「シティーハンターin Seoul」を終えてから間を置かずにこの作品へ無理して参加しようと思った理由は、確信があったからです。まず脚本家のカン・ウンジョンさんが頼もしいです。初めてお会いしてすごく嬉しかったのが、私の演技スタイルを把握してらして、ジェインを演じる上でどのスタイルが合うか、助言をくださったことです。頭の中にジェインという人物の絵をとても鮮明に思い描いている方です。脚本家さんの頭の中にあるジェインについて行くだけで自然とジェインになりそうだなって思いました。

―脚本家カン・ウンギョンはどんなジェインを望んでいるのか?

パク・ミニョン:私の声は女性としては少し低めなんですけど、地声のトーンに変化を与えた方がジェインのイメージと合いそうだとおっしゃいました。声をワントーンくらい上げた方がよさそうだ、と。話す時もラップをするように早口にしてヨングァン(チョン・ジョンミョン)との呼吸をそのくらいに維持して欲しいともおっしゃいました。それを実際に行うのは私の課題になりますが、正確な方向を示してくれるとそこに私のやり方で肉付けが出来るので、演技がし易くていいですね。

―ドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」、映画「猫」、ドラマ「シティーハンターin Seoul」「栄光のジェイン」まで、立て続けに作品に出演している。演技は感情の労働だと思うのだが、こうして続けて出演すると自分を消耗するのではないだろうか?

パク・ミニョン:幸いにもジャンルがすべて違いますから。だから選んでいる面もあります。それに、映画の「猫」を撮影するまでモーターでも取り付けたように演技が面白く感じて、もっとやりたいと思いました。すぐ探究心が湧くし、演技に対する疑問が次々に湧くから続けたんです。「シティーハンターin Seoul」や「栄光のジェイン」の間には時間を置きたかったけど、与えられていた時間が少なかったから。やるかやるまいか分かれ道に立ちましたが、作品に対する意欲があったので、やはりやった方がいいと結論を出しました。だって、これは逃してしまうと出来なくなるから。

―短い時間の中で役に入り込む必要があるが、休みもなく仕事をしながらどうやって役に入り込むのか。

パク・ミニョン:まずドラマが終わると、私の演じた人物に「お幸せに~、さよなら~」とするのが第一の過程です。そして同時に新しい役を入れるんです。それを別々にすると時間も長くかかるし、思いを引きずります。だから性急にならない範囲で役を出して入れる感じです。あまり器用な性格ではないので新しい役がまだ吸収しきれていないと素直に言います。「栄光のジェイン」の初めての台本合わせでも、たぶんまだ完全にはジェインになりきれていなかったと思います。ジェインの真似をしていただけかも知れませんね。だから脚本家の方にはあらかじめお話ししました。「私はゆっくりな性格ですので」って。そしたら、「撮影の前までは完成させてね」って(笑) 正直に言うと私は、技術的に演技の上手いタイプではありません。発音が不明瞭な時もありますし、早く話そうとすると気ばかり急いで言葉が上手く出ませんし。自分の持っているものが多いとは言えないんです。だけど自分の持つ物に比べると役に対する愛情は大きいから。ですから自分の役を本当に好きになり、理解しようと努力しながら演技します。

「一度スランプに落ちてからは何事にも動じなくなりました」

―通常はどういったシナリオに惹かれるのか。

パク・ミニョン:ある人物の感情を追いかけることが出来ればいい台本で、誰にも感情移入が出来なければよくないと考えています。「シティーハンターin Seoul」の場合、ユンソンの感情に最後まで合わせられたし、面白かったんです。「トキメキ☆成均館スキャンダル」の場合は登場人物は多くても最初から最後までユニの感情を追いかけるしかない作品だったのでやりたいと思いました。自分の役でも他人の役でも感情を追うことが出来ると自分が感情移入しやすいし、相手にとって私の役はどんな意味があるのか考えると近づきやすいんです。

―「思いっきりハイキック!」の時からして成長が早かったと思うのだが。

パク・ミニョン:本当に運がよかったんです。大学に入学したことから、事務所に入ったこと、「思いっきりハイキック!」にキャスティングされたこと、それにそのコメディドラマがヒットしたことまで、運がよかったんです。それから「アイ・アム・セム~I am Sam~」ですぐ主演になったんですから最高ですよね。誰かが私を雲の上まで運んでくれたようでした。でも運はそこまでだったんです。演技に対して真剣に臨まないで雲に乗って飛んでましたから壁に突き当たってしまった感じですね。演技がすごくしたかったのに、作品に本当に参加したかったのに、ツキに見放されて一時期休んでました。多分そうした時間がなく、演技に対する切実さが生まれなかったら「あの頃は楽しくやってたよね」と思いながら他の仕事に就いてしまったかもしれません。紆余曲折を経て「トキメキ☆成均館スキャンダル」と出会い、自分の中に貯めていた物をすべてぶつけながら猛烈にやって来ました。演技をしながら、知りたいことも多くなり、それをひとつずつ解決しながら楽しくやりました。今は運が向いていると思います。自分の持っているものに比べ大きな役についてますし、成果も大きく上げてますから。

―自分に対して厳しいようで、満足する基準も高いように見えるのだが。

パク・ミニョン:「持っているものより大きな役を与えられた、どうしよう」なんて悩んでいるうちに時間は流れてしまいます。だから自分で出来ることを探します。与えられたものに感謝して、頑張ろうとだけ思うんです。できなければまたスランプに落ちるかも知れませんから。一度スランプを経験すると、どんな事にも動じないようになります。今はいい評価を受けていても、努力しないとその評価は変わってしまうと言う事が分かっているから、舞い上がらないで平常心でいようと努力しています。もう頑張るだけではだめなんです。だから自分を鞭打とうと思います。本当に頑張らないといけない時だから。

―自分の歩もうとする道が確かなように見える。これからどう言った道に進むか計画はあるのだろうか。

パク・ミニョン:与えられた役を上手く演じてその人物として見られたいと思っていますが、確固とした計画を立てて動くのではなく与えられた状況で頑張ろうと思います。私は考えが単純な方ですから。いろいろと考えの多い時期もありましたが、それを捨ててみると演技をする時も早く役になりきる事が出来ました。これからどうなるか分かりませんが、その時に考えて面白そうな、何かをした時に一番幸せになりそうな道を選択しています。「栄光のジェイン」をやるかやらないか考え、やる方がいいと思ったらやるんです。その次がどうなるかなんて誰も知らないんですから。

―韓国では女優に多くのものが要求される。“ファッショニスタ”でありながら演技も上手くないといけないし、行動の制約も多い。女優で生きるのはどう言う意味があるのだろうか。

パク・ミニョン:女優は我慢しなくてはならないことが多くて、初めは「そんなことまで?」と思って大変でした。でも今は演技のみに力を注いでますから、そうした考えはなくなりましたね。むしろ休んでいる時にそうした事を感じる方です。「こんなに忙しい女優業をいつまで続けられるのだろうか」と考えることもあるかもしれませんが、今は立て続けに作品に出会えて、応援してくれる人がいるという事実が嬉しくてありがたいです。そうでない方も多いし、私だってその中の一人だったのですから。

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「栄光のジェイン」特集ページ
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記者 : パク・ソジョン、写真 : チェ・キウォン、翻訳 : イム・ソヨン