Vol.1 ― 「太陽を抱く月」イ・ウォングン “初めてのオーディションでなんと合格、冗談かと思いました”

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深い眼差し一つで際立った存在感をアピールした新人俳優がいる。ブームを巻き起こしているMBC水木ドラマ「太陽を抱く月」(脚本:チン・スワン、演出:キム・ドフン)で、武術科の試験にトップで合格した朝鮮一の雲剣(ウンゴム:朝鮮時代の武官の一つ)、キム・ジェウンを演じたイ・ウォングンがその人だ。ドラマでは伝統衣装である韓服を着こなし、鋭敏な剣術の腕を誇っていた鋭い眼差しの朝鮮男子も、普段は長い首が見えるゆるいニットを着て、明るい笑顔を見せる。彼は少女漫画のイケメン主人公のような、美しさを持っていた。


気持ちのいいスタート

―イ・ウォングンは同ドラマに出演したことで一気に認知度が上昇したが、このような状況がまだ実感できていないという。彼は「自分の演技を見る度に足りないところがたくさんあると気づき、視聴者の方々から見たらさらに多くあるだろうと心配していた」と恥ずかしそうに話した。

イ・ウォングン:「太陽を抱く月」にキャスティングされた時、とても信じられませんでした。キム・ドフン監督が「やってみよう」と声を掛けてくださいましたが、当時はそれがどんな意味なのか分かりませんでした。なぜなら、「太陽を抱く月」のオーディションは俳優になるために初めて受けたオーディションだったので、絶対に受かりたいという気持ちよりは、オーディションの経験を積める良いチャンスだと思って監督を訪ねました。それなのに、なんと声をかけてくださって、とても感謝しています。最初はそれがどんな意味なのか分からずぼんやりとしていた僕を見て、笑っていた監督の顔が今も忘れられません。

―大きな幸運は撮影現場でも訪れた。配慮と思いやりに富んでいた同ドラマの撮影現場では、新人のイ・ウォングンを責めるというよりは、支えながら教えようとする先輩俳優やスタッフの配慮があった。

イ・ウォングン:新人の俳優でしたが、不平等なことはありませんでした。とても忙しいスケジュールでしたが、スタッフの方々が「ウン(役名の略称)、こっち来て」と、僕にお金では買えないノウハウをたくさん教えてくれました。自分の撮影が終わってからもずっと現場に残って、先輩の方々の眼差しや行動を見つめ、カメラの位置を分析しながらたくさんのことを学ぶことができました。

―このような努力が功を奏したのか、イ・ウォングンは短い出演にも関わらず“チャグォルナム”というユニークなニックネームを手にして、同ドラマの“イケメントップ4”に名前を連ねた。

イ・ウォングン:キム・ジェウンということで終わっていたら、ただの無口で冷たいキャラクターにすぎなかったと思います。けれど、ユニークなニックネームのおかげで視聴者の方々が興味を持ってくださいました。脚本家の先生のネイミングセンスのおかげです。

「チャグォルナム」の片思い

―イ・ウォングンが演じたキム・ジェウンは、父は両班(ヤンバン:朝鮮時代の貴族)であるが妓生(キーセン:歌舞、文芸に長じた朝鮮の芸妓)の母を持ち、虐待の中で育った人物だ。イ・ウォングンはキム・ジェウンを「どこか哀れな人」だと話し、そのキャラクターをどう受け止めたのか説明した。

イ・ウォングン:ウンは冷たい人ですが、悲しみも同時に見せなければならないキャラクターです。出生をめぐる傷が成長期にさらに広がってしまったので、すべての人間に不信感を抱きながら生きてきました。愛されず、家族にも見捨てられたウンを想像してみました。彼が実在の人物だとしたら、多分言葉で気持ちを表現するよりは我慢をすると思いますし、我慢することによって生じる痛みがあるだろうと感じました。劇中でヤン・ミョンと出会い、ウンも変わっていくので、良かったと思いました。

―傷を背負っているためか、ウンは誰よりも思慮深く、今後「太陽を抱く月」で重要な役割を果たすことになる。記憶を失い、巫女として生きるウォルが実はヨヌであるという事実に最も早く気付く人物がウンであるためだ。その後、ウォルへのウンの片思いが始まる。

イ・ウォングン:ウォルを愛していても、主君のフォンが愛していた人だということを知って 、ウンはまた心の内を話せなくなります。ですが、ウォルがヨヌであるという事実をフォンに簡単に言うこともできないので、どうしようもない立場になってしまいます。

記者 : チョン・ソナ、写真:キム・ジェチャン