【2011放送決算】行き先失った「私は歌手だ」と伝説が生かした「不朽の名曲」

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MBC「私は歌手だ」KBS 2TV「不朽の名曲2」スクリーンショット
ふと見たら、“ドッペルゲンガー”のようにそっくりな番組だが、じっくり見てみると異なっている。
MBCの「私は歌手だ」とKBS 2TVの「不朽の名曲2」はスタートからこれまで、似ているようで異なったフォーマットで視聴者たちを混乱させたが、最近、番組の色がはっきりと分かれ、確かな差が表れている。
スタートから比べてみると、7人のベテラン歌手がサバイバル形式で競演する「私は歌手だ」がオーディション番組のブームの中で登場し、兄のような役割をしたのも事実。しかし、「私は歌手だ」と「不朽の名曲2」の運命は分かれた。

「私は歌手だ」はアマチュアではなく、プロの歌手が対決を繰り広げ、脱落者がいるという事実だけでも話題となった。LENA PARK(パク・ジョンヒョン)、キム・ボムス、イ・ソラ、キム・ゴンモ、YBなど、そうそうたる面々の中で、誰が脱落するかを予想するだけでも新鮮だったこの番組は大きな話題となったが、その分、多くの問題を作ったのもまた事実だ。
初めて脱落したキム・ゴンモに再チャレンジのチャンスを与えて議論が起きた後、イム・ジェボム、オク・ジュヒョン、チャン・ヘジン、ジョクオなど、出演歌手の資質と能力に対する議論が立て続けに起こり、番組が全体的に力を失っている状態だ。
しかし、これは出演歌手だけの問題だけではなかった。番組の形式に対して疑問を持たせた制作スタッフにも大きな問題がある。最近では「私は歌手だ」の方が「不朽の名曲2」のコンセプトを追っているイメージを払拭できない。9月の「チョー・ヨンピル歌王スペシャル」がそうだったし、12月のサンウリムスペシャルも一緒だった。

しかし、これは番組の形式の問題だけでは終わらない。番組の本質である歌にも繋がる。最近、各ラウンドの1次競演で出演歌手が選曲できるようにし、2次競演では、似合わないアレンジしかできないような曲を選ばせ、競演させているため、緊張感が著しく薄れてしまった。つまらなさを越え、だるさを感じる視聴者が増えている。
これに対して制作スタッフが切り出した「ジョクオ」カードは、劇的なドラマを意識した「私は歌手だ」の思惑を露呈した。制作スタッフは、「私は歌手だ」が実力者を再発見する働きをすると主張するが、結局、彼らが狙ったのは無名歌手の彗星のような登場と、それによる感動的なドラマの誕生だったのだろう。まるで、イム・ジェボムが妻の闘病を告白し、歌で深い感動を与えて「私は歌手だ」の新たなヒーローとして浮上した、あの時みたいにだ。

しかし、急げばことがダメになるように、ジョクオの投入は懸念が現実になる姿のみを映した。それまで私たちが聴いていた、いわゆる「私は歌手だクラス」と呼びにくいほどの、曲に対する曖昧な解釈とアレンジ、あわせて歌唱力疑惑はノイズだけを発生させたまま、「私は歌手だ」の品格を落とした。
今年3月、キム・ヨンヒプロデューサーの交代以降、現在、トップを務めているシン・ジョンスプロデューサーが3ヶ月間海外研修に出たため、再び変化と直面した「私は歌手だ」だが、最近は視聴率の下落など、低迷している雰囲気をどのように逆転させることができるか、気になるところだが、昔のような期待には及ばない雰囲気だ。
「私は歌手だ」より3ヶ月遅れて始まった「不朽の名曲2」はアイドル版「私は歌手だ」という影から脱するための努力を重ね、今、その効果が徐々に表れている。初期にSISTARのヒョリン、2PMのジュンス、MBLAQのジオ、BEASTのヤン・ヨソプなどアイドルグループのメンバーが出演し、注目を集めた「不朽の名曲2」は、中堅歌手に出演陣を交代しながら、だんだんと進化している。
シム・スボン、チュ・ヒョンミ、故キム・ヒョンシクなど、毎週、伝説的な歌手の名曲で競演を繰り広げ、昔の名曲に対する思い出を持っている中年世代のノスタルジーを刺激した。また、出演歌手たちが、進化するアレンジと歌唱力、時にはパフォーマンスまで披露し、20代以上の中高年層から支持を得るようになった。
番組のフォーマットそのものも、新たなラインアップが確定すれば6~7週間競演を行い、再びラインアップを構想するという形に固めていった。ところどころ、特集などを通して「息抜き」を導入するなど、雰囲気を盛り上げるのはもちろん、視聴者の反応を調べ、これを反映してラインアップを決定した。
このような制作スタッフの苦労と汗は、K.willの「トゥオ(飛べ)」ステージが放送された今月3日を起点に、変化が起こり始めた。「不朽の名曲2」の観客たちが立ち上がり始めたのだ。最初は「不朽の名曲2」が子どもたちのお遊戯会を見ているようだったとすれば、今は、まさに「公演」を見ているようだ。
出演歌手も注目を集め始めた。グループの中で、個人の能力を発揮することができなかったSISTARのヒョリン、DAVICHIのカン・ミンギョンが抜群の実力で堂々と「不朽の名曲2」のミューズとなった。他にもアリ、ホ・ガク、シン・ヨンジェ、K.willなど“過小評価優良株”の若い歌手たちが自分の位置を獲得した。

進化の中で、低迷していた視聴率も徐々に安定していき、土曜の午後の絶対強者MBC「無限に挑戦」の牙城に慎重に挑戦している状況だ。来年初頭から音源を配信する予定の「不朽の名曲2」が、音源流通の拡大、再生産を通して視聴率と認知度の面において前向きな影響に繋がるだろうか。また、「私は歌手だ」の類似品ではなく、今や堂々と「不朽の名曲2」というタイトルで呼ばれることができるだろうか。それが次なる課題だ。

記者 : チョ・シニョン