【PEOPLE】カン・ドンウォンを構成する5つのキーワード
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カン・ドンウォン
「ただ君の話だけすれば、かっこいい、ハンサム、ものすごく愛してる、そんな言葉だけ。でも事実じゃない」――映画「M」から。ハンサムであることは重要だ。だがハンサム、それ以上のものが必要だ。カン・ドンウォンのように。
ハ・ジョンファ
カン・ドンウォンの中学時代の体育の先生。カン・ドンウォンは雑誌「いい友達」で彼に対する感謝の気持ちを綴った事がある。カン・ドンウォンは幼い頃から勉強と運動がどちらもよくできる子で、中学に上がってからは背が25センチも伸びて180センチになるなど、いわゆる“オムチナ”(オールマイティな男)であった。しかし両親の反対で好きなサッカーが出来なくなると典型的な反抗期を経験する。そんな時期にハ・ジョンファ先生は彼に気を遣ってよく面倒を見てくれた。その後、カン・ドンウォンは再び勉強に励み、高校入試では200点満点中192点を取るなどし、地元の名門高に入学した。だが、高校では勉強に興味を示さず、その代わりに友達と酒を飲んだり、ビリヤードで「150」というスコアを取ったりしていた。それでもカン・ドンウォンは両親の信頼を裏切らないため、高3からは再び勉強を始め、大学に進学する。いわゆる、やらないだけで出来ない事はない生徒であったと言える。
チョ・ソンモ
歌手。カン・ドンウォンは彼の曲「誓い」のミュージック・ビデオに出演した。カン・ドンウォンは大学に進学してからソウルで一人暮らしを始めるが、目立つスタイルのため、何回もスカウトされた。結局カン・ドンウォンは一番堅実そうな会社に入り、モデルの仕事を始めた。当時のカン・ドンウォンは同じ身長のモデルと比べて足の長さの平均値が2インチも長いなど、生まれながらのスタイルの良さに加え、「モデルは見た目の派手さとは違い、自己管理や投資、努力がないとすぐ淘汰される職業」というプロ意識を持っていた為、パリのプレタポルテに立つなど海外進出の提案を受けた事もあった。
しかし、カン・ドンウォンは未来を考え「誓い」などのミュージック・ビデオで演技を始めた。当時の彼は、初めて会った相手役とキスシーンをするという状況で演技を始めるのがとても大変だったと話している。カン・ドンウォンはまた、ファッションショーでは常にプロのモデルより俳優が優遇される雰囲気が嫌で、俳優になってからはファッションショーの舞台に立っていない。
キム・ジョンファ
MBC「1%の奇跡」で共演した俳優。彼はこの作品で冷たくも礼儀正しい、財閥2世でありながらも質素なキャラクターを演じて、瞬く間にファン層を獲得した。現実離れしていると言ってもおかしくない程ハンサムな彼が、現実的なキャラクターを演じることで作られたアンバランス感。これが彼を“あり得る”ファンタジーにした。カン・ドンウォンはMBCの「威風堂々な彼女」でも訛りのある医者を演じている。キム・ハヌル
映画「彼女を信じないでください」で共演した俳優。カン・ドンウォンはそれ以前のドラマ出演作のように、「彼女を信じないでください」でもどこか間の抜けた田舎の薬剤師を演じた。監督のペ・ヒョンジュンは「周りからは“日本人顔のハンサム”という認識があったので田舎の男の役が合うかどうか悩んだが、ヒチョルの持つ純粋さを確かに持っている」と考えたので彼をキャスティングしたと言う。
カン・ドンウォンは辛い唐辛子を食べる場面をリアルに表現するため、激辛の青唐辛子にわさびを混ぜて食べるなど、キム・ハヌルから「相当な表情演技の達人」と評価されるくらいに様々な表情を見せてくれた。カン・ドンウォンが「M」を除いたほどんどの作品で見せてくれた、少々のろくてもどかしい話し方が彼の演技の特徴であるとすれば、キャラクターにマッチする様々な表情は、彼が「モデル出身のイケメン」という偏見を乗り越えられた理由でもあった。完璧なビジュアルを持った青年がボーっとした表情で続けざまにやられる姿は、言葉通り「純粋なバカ」と言えるほどのものだった。訛りを使ったりヘラヘラ笑うだけで女性を熱狂させてしまう俳優の登場だ。
チョ・ハンソン
映画「オオカミの誘惑」で共演した俳優。カン・ドンウォンは「オオカミの誘惑」で少女マンガの主人公さながらの姿で出演し、道を歩くと女の子たちから髪をむしられてしまうほどの人気を集めてしまった。高校時代に容姿で“トン”(一番の「チャン」を意味する地元の訛り)になっていた彼の人生をより劇的にしたと言えるだろう。
カン・ドンウォンはこの映画の最も印象的な場面として「壁を伝う飛び蹴り」を挙げる程、アクション演技を経験し、いつでも涙を流せる技を学んだ。またチョ・ハンソンとは一緒に運動やゲームをしながら撮影現場の雰囲気を覚えた。「彼女を信じないでください」の撮影前半には映画の撮影方法さえよく分かっていなかったカン・ドンウォンにとって、この「オオカミの誘惑」は、人気はもちろんのこと、映画の演技や現場経験を充分に教えてくれた作品であるとも言える。しかし「オオカミの誘惑」は彼をファンタジーに近い少女マンガの主人公にしてしまい、それまで着実に役者としての道を歩んで来たカン・ドンウォンを一躍映画界のアイドルにしてしまった。そして少女マンガの主人公の代わりに、成功への欲望に満ちた主人公を演じたSBSの「マジック」では期待された成績を上げることが出来なかった。
シン・ヨンウク
デビュー当初のカン・ドンウォンに演技を教えた役者。カン・ドンウォンは彼の熱意を見習いたいと語ったことがある。「彼女を信じないでください」と「オオカミの誘惑」を経て、カン・ドンウォンは「長続きすることがあまりないのに、サッカー以外で唯一面白くなって来た」と言う程、演技が少しずつ楽しくなり始めていた。特に彼は「彼女を信じないでください」で助演を務めた先輩たちの演技を見て、「照明の真ん中に立っているより、照明の脇や外側で輝く演技の大切さ」というものを知り、監督と相談して、自分のキャラクターをわざと抑えながら演技してみたりした。もちろん当時のカン・ドンウォンの演技は、どんなものが演技の理想であるかというよりは、「これからどれだけ演技力がつくのか」について考えている時期であった。しかし、彼が本格的に演技というものについて考え始めた事は、演技のために「感情の幅を大きく広げ、経験を積んだ方がいい」と知るきっかけになり、彼がより様々なスタイルの作品を選択できるようにした。「マジック」の後、彼は作品ごとに違ったジャンルとスタイルを持った作品に出演している。「僕には大まかとか妥協はない」と話すほどの負けず嫌いが、演技との本格的な勝負をスタートさせた時期。
ウォンビン
カン・ドンウォンと最も親しい先輩の一人。二人は芸能人のサッカーチームである「ウィナーズ」のメンバーで、サッカーゲームの「ウィニングイレブン」を楽しんでいる。またカン・ドンウォンは「威風堂々な彼女」の出演料でオートバイを購入したり、好きなものトップ10は?と言う質問に、サッカー、ウィニングイレブン、ラジコン・カーを挙げたりするなど、少年のような趣味を持っている。面白かった本は?と言う質問には、漫画の「GANTZ」を挙げて、「あり得ない暴力と緻密なつながりの展開は本当に驚く」と話している。
なりたい自分の姿としては「男の認める男」と語るほど。カン・ドンウォンは「デュエリスト」で刺客、「私たちの幸せな時間」では殺人を犯した死刑囚を演じ、その中で男性の“純粋さ”というものを表現した。特に「デュエリスト」の中で、男性的でありながらもハ・ジウォンより女性的と言われた「悲しい目」のキャラクターは、カン・ドンウォンの独自のキャラクターとビジュアルがぶつかり合って出来上がった絶妙な結果であった。
ハ・ジウォン
映画「デュエリスト」で共演した役者。「デュエリスト」はカン・ドンウォンが本格アクションを試み、「前は何となく現場が苦手だった。でも『デュエリスト』は本当に楽しく撮影することができた」と語るくらいに現場の楽しさを教えてくれた。また「デュエリスト」は、それまで誰もが感じていながらも的確に掴みきれなかった“カン・ドンウォンの使い方”の極端な例を示してくれた。「デュエリスト」で彼は、「悲しい目」という役をほとんど台詞ゼロでこなしながら、完全に観客の“鑑賞”の対象となった。
カン・ドンウォンをただ見つめている間に初恋に落ちてしまったハ・ジウォンのように、カン・ドンウォンは演技で何かを伝えるより、観客に何かを感じさせる神秘的な生き物のようだった。写真作家のパク・ジヒョクが話したように「モデルのスタイリッシュさと俳優としての深い表情が混ざり合い、被写体として完璧な人物」となったのだ。「デュエリスト」は興行的には大きな成功を収める事はなかったが、カン・ドンウォンの「デュエリスト」は観客を“魅せて”しまったし、自分だけの領域を作り出す始まりとなった。
イ・ミョンセ
「デュエリスト」と「M」の監督。「デュエリスト」がカン・ドンウォンの外面を極端に表してくれたとすれば、「M」は最初から終わりまでカン・ドンウォンの内面を見せてくれた。彼はシーンごとに時空間が変化するこの映画で、演技のトーンを“人工的で誇張されるように”捉えたまま、神経質な小説家の日常を見せてくれる。
「M」でのカン・ドンウォンは、彼のハンサムなビジュアルよりも神経質でひねくれた表情が先に目に入ってくる。実際にカン・ドンウォンは「あれこれ気にかけることが原因で重要なことを逃してしまうよりは、さらに悪い人になってしまいたい時がある」と話すほど自分のカラーが明確で、自分でも神経質だと言うくらい演技については細かくなる。論語の「よく知る人も好む人には勝てない、好む人も楽しむ人には勝てない」を座右の銘としているだけに、自分の仕事を楽しもうとは思うが、やるとなれば完璧にこなしたいという性格。「M」はそんなカン・ドンウォンの姿をスクリーン上で見せてくれた作品であり、カン・ドンウォンはそれを、より誇張された身振りと台詞の言い回しで形にした。
少女マンガの主人公の顔に隠れていた寡黙な慶尚道(キョンサンド)男の「意固地」を垣間見せた瞬間だ。「M」を経て、カン・ドンウォンはよりはっきりとしたキャラクターの中で自分の姿を見せ始めた。
チェ・ドンフン
「チョン・ウチ 時空道士」を構想する段階からカン・ドンウォンをチョン・ウチに考えていた監督。彼は「誇張された笑いではなく、軽快さで人を楽しませる演技」をしたと賞賛を惜しまなかった。カン・ドンウォンは生まれつきのビジュアルを、「デュエリスト」で学んだダンスのような流れるアクションと独自の余裕で、チョン・ウチを最もユニークな韓国超大作のヒーローとして誕生させた。他の超大作のタフなヒーローとは異なり、チョン・ウチはいくら荒っぽいアクションをしても少女マンガの主人公並の優雅さを失わなかった。
質素な伝統の韓服と派手な現代の服が同時に似合い、アクションにおいても美しさやユーモアを失わなかった彼の演技は、「チョン・ウチ 時空道士」を導く中心的な雰囲気も併せ持つ。また、それまで現場に上手く馴染めなかったカン・ドンウォンが「チョン・ウチ 時空道士」を撮影しながら同僚の俳優たちとお酒を楽しんだし、チェ・ドンフンが「全てのスタッフがカン・ドンウォンのファンになった」と言うほどの俳優になった。彼は今、20代後半で超大作を丸々引っ張っていける俳優となった。
ソン・ガンホ
「義兄弟」で共演した俳優。カン・ドンウォンは「義兄弟」で“何一つ外に出してはならない窮屈な”キャラクターである北朝鮮の工作員を演じた。しかし彼のキャラクターは多くの秘密を持った危険なキャラクターではなく、傷つき道に迷っている純粋な青年に近いものであった。だから観客は彼の人生がハッピーエンドになることを望み、これは緻密で冷たい雰囲気をベースにしているソン・ガンホと調和して「義兄弟」に温かみを与えた。「私たちの幸せな時間」について作者のコン・ジヨンは“多くの人に死刑制度の廃止を支持させるくらいハンサム”な顔をしていると言われた彼が、自分のビジュアルを自分だけの雰囲気で表現する。そしてこれをきっかけにカン・ドンウォンは、どんな作品でも自分の色を出す事が出来るようになる。これはカン・ドンウォンが日頃から言うように、「楽しみたい事」をしながらも人々から愛される力になるだろう。彼はデビュー当初、「顔で勝負出来るのはそれ程長くないだろう、サッカー選手も演技者も結局は長く生き残り、上手く出来る人が強い人」と語った事がある。その言葉の通り、彼は今まさに強くなってきているところだ。
記者 : カン・ミョンソック、編集:イ・ジヘ