「30歳に入隊、振り返る時間があってよかったです」

「軍隊に行って来たら世間が変わっていました」

「結婚ですか？天が定めるものじゃないでしょうか？」

「自由な魂？計算的な面もあります」

「好きな俳優はアン・ソンギさん、ハン・ソッキュさん、そして最近はハ・ジョンウさんです」

俳優ヤン・ドングン(33)はかなり肩の力が抜けたように見えた。軍隊が彼を変えたのか、それとも30歳を過ぎたからなのかは分からない。子役から始め、この業界にもすでに20年を軽く越えているため、もう気楽になる時期にもなったのだろう。

27日のインタビューでは個人的な質問にもすんなりと答えてくれた。もちろん、たまに気まずい表情もしたが、インタビューの最後には、「人生において様々なチャプターがあると思いますが、もう私は自分の意見をいくらでも話せる年齢だと思います。実際みんなする話じゃないですか。私も自然体で行くつもりです。そうしてみるとまたそれが合っているような感じもしますし。もちろん俳優なので良い餌になるかもしれません。でも、そんなことを気にしてどうなるんですか」と話した。それは自分自身を励ます言葉にも聞こえた。

ヤン・ドングンは1987年ドラマ「塔里(タムニ)」でデビューし、それから20年以上芸能界で活動を続けてきた。その長い間、自分だけの生活や、ヤン・ドングン自身を振り返るきっかけになったのは軍隊生活だけだった。もちろん軍隊は他の男性もそうであるように彼も、行きたくない、永遠にやりたくない宿題のようなものだったはずだ。

ヤン・ドングン：軍隊から帰ってきた後の穏やかさは言葉にできないぐらいです。早く行けばよかったと思います。でも、30歳に行ったのがちょうどよかったと思うんです。実は20代はずっと休まずに突っ走っていたので、自分のための時間が全くなかったんです。軍隊に行ってたくさん考えたことは、私にとって必要な時間でした。一番いい時期に行って来たんだと思います。

―軍隊という人生の大きな宿題を終えた後も、まだ結婚という課題が残っている。実際彼は家の中で妙な空気を感じたこともあると言う。

ヤン・ドングン：いや、休みに家に帰ったらドラマでしか見たことのない妙な空気が流れているんですよ。急に結婚話とかをしながら。私がそういうことを経験するとは思いもしなかったです。“これは何だろう？”と思いました、本当に。でも甥っ子が生まれると、その話は幸いにも出なくなりました。それまでは姪っ子しかいなかったから。私が頑張って働いて家計を助けたらもう「仕事をもっと頑張って」という雰囲気に自然となりました。ハハ、結婚なんてしたいと言って出来るものではありませんよね。必死で結婚相手を探すのも気まずいですし。結婚という前提で人間関係を結ぶと始めから違うんです。神様が決めることじゃないでしょうかね？ もちろんお見合いして出会う人もいるけど、私は演技も人生も自然さを追求しているので

―彼の話す通り、彼は自由な魂を持つ俳優だ。よく見ると演じる姿も、“だらしない”感じだ。しかし俳優仲間のチョ・スンウも、チャ・ヒョヌも「彼の手振りひとつ、動作ひとつ、表情ひとつまでもがすべて計算されたものでした」と言うのだから驚きだ。チョ・スンウは彼のことを“怪物”とまで表現した。

ヤン・ドングン：自由な魂ですか？あ、もちろん計画的なほうではありませんが……それでも保守的な面もあります。いや、と言うよりも、その反対の進歩的というのがよく分かってません。それに今まで自由を全然満喫してないので、その意味もよく分かりませんね。でも、どうしても映画の中で私が演じる役をちゃんと位置づけて、感情をきちんと伝えなければならないので。セリフで伝えるのは限界があるじゃないですか。特に今回の映画「パーフェクト・ゲーム」では台詞が少なかったんです。全部目つきか語りでした。だから私はその面でも最善を尽くさなければならないんです。はい、全部計算したものです。でも、わざとというよりメカニズムを理解すると自然とそうなるんです(笑) 幼い頃からカメラの前に立っていたので、体に染み付いているような気もします。計算は計算ですね。でも、そのせいで頭が痛くなったりはしません

―ある意味天才的な俳優でもある。他の人には徹底的な計算に見える演技が、彼にとっては体に染み付いた自然なことなのだ。そんなヤン・ドングンにも、真似したいアイドルのような俳優がいるのだろうか？

ヤン・ドングン：幼い頃は漠然とアン・ソンギさんのようになろうと思っていました。それから韓国の俳優の中で一番好きだったのはハン・ソッキュさん。そして最近「本当にうまいな」と思ったのはハ・ジョンウさん。彼はこれからたくさんの作品に出演するんじゃないでしょうか。

―2011年を振り返ってくださいと話すと、ポジティブな話を聞かせてくれた。

ヤン・ドングン：今年は「パーフェクト・ゲーム」だけやっていたような気がします。年始に始めて一番熱い時期に撮影し、冬には広報活動をしているからです。本当にありがたい一年でした。作品にもチョ・スンウさんが直接誘って下さいましたし、私が今までに出た映画の中で最も人気のある映画だと思います。野球は大変でしたが、全羅道(チョルラド)の方言もそんなに難しくなかったですし、映画の完成度もいいし、雰囲気もいいし。本当に良いことだらけです。私には身に余る一年でした。

―そして来年に対しては“漠然とした期待感”と表現した。

ヤン・ドングン：33歳までは気楽なんです。ダブル3とも言うので、ハハ。でも34歳からは重みが変わってくるような気がします。幼い頃から俳優は34歳からだとよく言われていて期待しています。ものすごく……